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2007年10月29日(月)更新

【こんな人に会ってきました!】城山三郎さん

ことしの春に亡くなられた作家の城山三郎さんに、
一度だけお会いしたことがあります。

過去、経営者会報本誌にはたびたびご登場いただき、
経済小説の第一人者として
経済合理性を優先する財界の風潮に警鐘を鳴らしつつ、
リーダーがもつべき矜恃、採るべき行動について、
持論を展開してくださいました。

私がお会いする機会を得たのは、
最後に弊誌にご登場いただいた
4年前のセコム最高顧問・飯田亮氏との特別対談、
『今こそ「美しい経営」を!!』でした。

「儲けるのがうまいだけの人は、
描いていて面白くないんです」


というご発言を印象深く記憶しています。

当時、城山先生にご登場をお願いするに際して、
何度か先生に取材をしたことのある
ベテラン編集者のA先輩からこんな指導を受けました。

「電話やファクシミリは御法度。
封書でないと受けて下さらない。
返信用の葉書も当方の宛名を書い
たうえで入れ、裏面に『お受けい
ただけるかの可否』『ご希望の日
程・時間』の項目も記すこと!」

 
受諾のご返信をいただいてほっとしましたが、
対談中の以下のご発言で腑に落ちました。

「最近、マスコミ関係者は何でも電話で済ま
せるから閉口する。手紙なら自筆で誰々様と
宛名を書きます。宛名を書く瞬間は相手のこ
とを思わないと書けないんです」


手紙でないとお受けにならないというのは、
自分の都合を優先するのでなく、
相手の立場を思いやることの大切さを
身をもって示しておられたからなのでしょう。

今の時代、著者の方々のなかにはメールでのやりとりを
最初から好む方も増えてきていて
実際、それで十分足りたりもします。

一方で、そんな時代だからこそ、
手紙や、直接会うといった
アナログなコミュニケーションの価値は
なおのこと高まっているようにも思うのです。

私は、この対談を担当してから、
メールで原稿依頼をさせていただいた方にも
すぐ直接お会いするよう、
心がけるようになりました。

城山さんには、人として大切なことを
教えていただいたと思っております。

(編集部・酒井俊宏)




けいかい
■中小企業経営者のための羅針盤 月刊経営者会報
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/
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