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2009年04月23日(木)更新

【取材日記】王将フードサービス 大東隆行さん

この不況下で強い企業に素直に学ぼう──
そんな趣旨で、経営者会報本誌5月号では、
「超元気企業に学ぶ」と題して、
業績好調な数社の経営者にご登場いただきました。

業績好調と一口に言っても、ビジネス自体が不況向きな事業形態、
業種はたしかにあるでしょう。

ただ、そうした括り方で済ませては本質を見誤るということを、
取材でお邪魔させていただいて、強く感じさせていただいた会社が
「餃子の王将」をチェーン展開する王将フードサービスでした。

2000年から指揮を執っておられる
大東隆行社長にお話をうかがってきましたが、
やはり業績好調な会社は、やるべきこと、
あるいはやろうと思ってもなかなかできない、
面倒なことに着手しています。

おおひがしさん

■王将フードサービス ホームページ >>>

FC直営合わせ500店舗以上を展開する同社は、
この8年間、増収増益を続け、
2008年度の決算では売上が545億円、
営業利益で60億円を突破する見込みです。

とくに昨秋からの景気の落ち込みは、
一皿200円(関東圏では220円)の餃子を中心に
廉価でボリュームのある食事を提供する同社にとっては、
むしろ追い風となり、ことしの3月に入ってから
業績予想を上方修正するほどの伸びを見せています。
ファミリーレストランや居酒屋のお客さんを
かなり引き寄せているのでしょう。

おうしょうに

おうしょう

ただ、先にも述べましたが、ただ安いから、早いから、
お客さんが集まっているわけではありません。

詳しくは、例によって、経営者会報5月号を
お手に取っていただきたいと思いますが、
さわりをご紹介します。

同社は実は2000年頃、新規出店した店の売上が伸び悩み、
危機的状況にありました。

創業者の義理の弟である大東さんが社長に就任したのは
その時期です。

なぜ危機に陥ったのか。
大東さんはそれにどう立ち向かっていったのか。

「かつては極力、現場で調理をしていたのに、
成長の速度が遅いということで、効率化を図
るため、ある程度セントラルキッチンで調理
済みのものをクローズドキッチンで仕上げて
お出ししたり、本来のコンセプトからずれて
いた部分がいくつもありました。450店舗の
うちオープンキッチンだったものをクローズ
ドに変えたお店が70店舗くらいがあった。業
績の上がっていないのはクローズドの店舗で
スタッフも元気がなかった」

そこで大東社長が打ち出したのは「原点回帰」でした。
店舗で極力、調理をする本来のスタイルに戻す。
メニューも主力のものを徹底的に見直す。
その“回帰”は、事業スタイルのみにとどまらず、
人材育成にも及びます。

「社員の協力なしに改革はできませんし、社
員を大切にしない企業に明日はない。これも
当社の原点。ですから赤字に陥った2002年
の決算時でも『頑張ってくれてありがとう』
という感謝の気持ちを込めて決算賞与を支給
しました。例年の半分を出すのが精一杯でし
たが、社員ありきだと考えていることを示し
たかった」


その相互の信頼感を前提に、
同社では店長に大きく権限を委譲しています。
基本のメニュー以外の、定食メニューやその店独自のメニュー、
販売・接客のスタイルも、基本を守ってさえいれば
店長の裁量に任されるのです。

もちろん、きちんとした管理・支援もしています。
業績は前日のデータが日々、精査され、
落ち込みがあれば、エリアマネージャーと店長を中心にして、
打開策をすぐに練る。

こうした努力が奏功して、同社の業績は冒頭で述べたように
上昇していくのです。
トップが確たる方針を打ち出し、
信念を持って進めたからこその成功といえます。

一方で、大東社長はいまも月に何十店舗も回り、
現場の人たちを勇気づけています。
研修を行うときも、
まず役員、部長、エリアマネージャークラスから
実施するそうです。

昨今の不況を受けて、いましきりに企業経営において
「原点回帰」の必要性が叫ばれています。

その点、王将フードサービスは模範的な存在でしょう。

ただし、その回帰は、社員に高い要求水準を求めるだけでなく、
その成長を真摯に見守り、働きに報いるという
トップ以下経営幹部の姿勢あってこそ、
可能になったという点を
見落としてはならないと思うのです。


(編集部・酒井俊宏)



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2009年04月23日(木)更新

【ブログピックアップ】フットマーク 磯部成文さん

「ブログピックアップ」では、
経営者のみなさんの書かれたブログの中から、
お薦めのブログをご紹介しています。

今回のお薦めブログはフットマーク磯部 成文さんです。
 
 *      *      *


映画制作の会社からの問い合わせです。

「40年前の水泳帽子がほしいのですが・・・
おたくにありますか?」

「40年前といえば・・・
その頃は水泳帽子ってなかったんです。
あったのは海水帽子です」

「海水帽子??」


■続きはこちら >>>
■フットマーク ホームページ >>>

 *      *      *


長く、得意なジャンルを磨き続けてこられた会社には、
こうしたオファーが入るようです。

フットマークさんだけでなく、他にも
経営者会報ブログの会員さんの企業で、
映画やテレビなどでの撮影協力のオファーは増えているようです。
 
もちろん、みなさまの企業努力の賜物だと思いますが、
おそらく社長さんがブログで発信し続けていることで、
探しておられる当人も「この人は詳しい」「この人に聞けばなにかつかめる」と
確証のようなものが得られる面もあると思います。
私も取材先を探す立場ですので、よくわかります。

磯部さん、可能な範囲で、
この件、ブログで引き続きお知らせいただければ幸いです。
私たちも楽しみにしております。

(編集部・酒井俊宏)




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