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2011年08月18日(木)更新

【取材日記】 ヤマウチ・山内正文さん

再三、この場でお知らせしてきました通り、
月刊ニュートップリーダー(=旧誌名「経営者会報」)
9月1日発行9月号の取材で
ライター・吉村克己さんと一緒に東北を回ってきました。
 
自宅も会社も失うような苦難のなかで、それでも意思を強くもち、
再起をはかる経営者のみなさんの奮闘ぶりをレポートした
「立ち上がる被災企業 復興への途(みち)」と題した記事は、
ぜひみなさんに、ご覧いただきたいと思います。

そのようにしてご紹介することが、
弊誌なりの支援であるとも考えています。
 
発行に先立ちまして、
ご登場いただいた経営者の方の素顔をご紹介します。
今回は、株式会社ヤマウチ山内正文さんです。
速報的に一度、ご紹介しましていますが、
改めて記したいと思います。

山内さんは、津波被害の大きかった南三陸町・志津川で
鮮魚店・鮮魚加工業を長年営んでおられます。

 

■ヤマウチ(山内鮮魚店)>>>
 
ご覧の通り、明るく元気でエネルギッシュな方でした。
ご家族も社員のみなさんも全員無事だったとはいえ、
お店、ご自宅、加工場と、すべて流されてしまったというのに……。

むしろ、取材に訪れた私たちが、元気をもらった格好になりました。
 
大津波が町を襲ったとき、
山内さんは高台にある志津川中学校に避難していました。

町が呑み込まれるさまを、呆然と見下ろすしかなかったといいます。
生まれ育った町がすっかり呑み込まれてしまうまで、
わずか10分くらいだったそうです。
 
志津川中学校は、そのまま避難所になり、
偶然、トラックの運転手さんが魚を満載した車ごと避難していたため、
同じように避難していたお寿司屋さんらと一緒に腕をふるって、
煮たり焼いたり、さらにホタテや牡蠣入りの雑炊まで
被災された人たちにふるまって、大いに喜ばれたそうです。
 
しかも場所が場所でしたから、子供がたくさんいます。
 
山内さんは皆で子供の面倒をみようと周囲の大人に呼びかけて、
避難所に自治会をつくったそうです。
 
さらには南三陸町の復興をはかるべく、
「福興市(ふっこういち)」の実行委員長にも就任されました。
このイベントがまた素晴らしい!
 
■福興市・公式サイト >>>
 
実は、ヤマウチでは、高台で工事中だった
冷凍庫兼工場だけは無事でした。
 
現在は工事を再開し、ここを拠点に、
山内社長はご家族のみなさんや社員さんとともに
再帰に向かって歩んでおられます。
 


長年経営誌の編集を手がけてきて、私なりに考え感じるのは、
実はリーダーは、平常時はそこそこ・ほどほどに何事も、
部下に任せられるなら任せてにこにこしているのがよくて、
リーダーシップとは、危機や窮地でこそ、
その真価が発揮されるものだということです。
 
とはいえ、このたびの震災は
危機と形容するのもはばかられる大惨事です。

こういう状況にあって、なすべき行動を見つけ、
そこに向かって動くことのできる発想力と行動力、
人が信じてついてくる人間性と明るさをお持ちの
山内さんのような方は、天性のリーダーなのだと感心します。
 
山内さんはこうおっしゃいます。
 
「復興には早くて五年、まあ一〇年はかかる。その間は
好敵手だった地元の同業者とも休戦協定だと言って申し
合わせている。抜け駆けはなし(笑)。みんなでよくな
って、この街の復興の力になりたいからね」
 
なお、山内さんのところもですが、
このたびの震災で被災し、
以下のファンドを利用している企業がかなりあります。
 
こうしたファンドを通じた支援も素晴らしいと思います。
ご興味のある方は、ぜひご覧ください。
 
■セキュリテ被災地応援ファンド >>>
 
 
 





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