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2008年12月02日(火)更新

【取材日記】きたやま南山・楠本貞愛さん&サカエヤ・新保吉伸さん

この経営者会報ブログが始まってから、
経営者会報本誌の取材ソースは、
明らかに広がってきています。

会員のみなさんが、ご自分の周囲の、
素晴らしい取組みをされている経営者を
紹介してくださることが増えてきたからです。

もちろん良識ある会員さんばかりなので、
“情実”のようなものではなく、
「誌面に出てもらう価値のある人(会社)だ」
という確信に基づく判断で、推挙してくださるのです。
それは編集部から見て正当なものです。

サカエヤ新保吉伸さんから推薦いただき、
過日、取材をさせていただいた
京都の焼肉屋さん、きたやま南山社長の
楠本貞愛さんも素晴らしいかたでした。

くすもとさん

■きたやま南山 ホームページ >>>

「素晴らしい人がいるから、ぜひ誌面で
ご紹介していただけませんか?」

10月のある日、新保さんからいただいた丁寧なメールから
この記事は始まっています。
たしかに、楠本さんのこれまでの人生は
部外者にとっては想像しようもない
壮絶なものでした。

ぜひとも読者にご紹介したいと思い、
新保さんに取り次いでいただき、
取材にうかがった次第です。
新保さんにもご同席いただいています。

くすもとさんにいほさん

新保さんはその日の模様をブログに綴ってくださっています。

■新保さんのブログ >>>
■サカエヤ ホームページ >>>

楠本さんも弊誌のことをブログでご紹介くださっています。
ありがとうございます。

■きたやま南山 ブログ >>>

楠本さんのお話は、経営者会報12月号に
「乾坤一擲の大勝負!」と題した特別記事に
まとめさせていただきました。
詳しくはそちらをご覧いただきたいと思いますが、
さわりだけ、ご紹介します。

楠本さんのお父様の作られた会社(焼肉屋さん)が
18億円という巨額の負債を抱えて経営破綻し、
お父様は病に倒れ、入院。
その負債の整理のため、
メーカーで派遣社員として働いていた楠本さんが
債権者との交渉の矢面に立つことになり、
最終的には経営も引き継ぐことになります。

しかし、整理の方向性について目途がついたと思ったとたん、
国内発のBSE発症例が報道され、その翌日には米国で
同時多発テロが勃発。
BSE禍とテロ後の不況のダブルパンチで、
同業者はばたばたと潰れていきます。

そんななかで楠本さんは、和牛の一頭買いという
普通の焼肉屋さんでは手を出せない取組みに挑戦するのです。
それまでの南山さんは、輸入牛が中心でした。
楠本さんはこうおっしゃいます。

「素人だからやれたんです。
怖いもの知らずでした(笑)」

輸入牛と違い、和牛はデリケートで捌くのも大変。
しかも、一頭買いだと、うまくはければよいですが、
すべてを計算して使い切らないと、経営を圧迫してしまいます。
とにかく「素人」では無理、というのが
業界の常識なのだそうです。

楠本さんと社員さんたちは、それをなしとげ、
業績も急回復。見事に再建を果たしました。
いまでは、信頼できる生産者のかたたちとの交流を深めて
牛肉だけでなく、お米や野菜のトレーサビリティも完璧。
農作業のお手伝いなどにもみなさんで行かれるそうです。

最高級の近江牛の生産者として名高い
木下牧場さんとの取引も生まれ、同牧場の美味しいお肉は、
このきたやま南山さんでなら、誰でも味わうことができます。

木下牧場さんとは、
サカエヤの新保さんの仲介で知り合えたそうですが、
では新保さんと楠本さんの出会いはと言いますと、
話は数年前に遡ります。

年末のギフト商戦に乗り出した楠本さんは
梱包方法で壁にぶつかります。
他社がどんな梱包をしているのか知ろうと、
さまざまな業者のお肉を取り寄せて研究していると、
すっかりなじみになった宅配便の人が事情を知るところとなり、
その人は、こうアドバイスしてくれたそうです。

「それならサカエヤの新保さんに相談すればいい。
あの人は凄いよ」

果たして新保さんに相談すると快諾。
新保さんご本人は、
「なんでも安請け合いして、あとで後悔するんです(笑)」
と照れ隠し的発言をしておられましたが……。

しかし、その後は、楠本さんも遠慮があり、新保さんには
たまにメールで相談するくらいだったそうですが、
偶然、セリの場で新保さんと再会。
そして木下牧場さんを紹介されることになったとのこと。

お話を聞けば聞くほど、縁というのは不思議なものです。
私がこのように取材にうかがっていること自体、
新保さんのご厚意にもとづく縁ですし、
本来、オープンにしにくいお話なのに、
楠本さんが信頼して取材を受けてくださったのも
新保さんを深く信頼なさっていたからでしょう。

いわゆるネット時代ではありますが、
ネットで完結することってたぶん少ないのではないでしょうか。
リアルな人と人との縁をツールとしてのネットが取りもっている。
でもその縁は、新保さんや楠本さんのような「よき人」に起因している。
そんな気がします。

楠本さん、そして新保さん、
ありがとうございました!

実は取材のあと、秘かに美味しい近江牛を
みなさんと一緒にいただこうと(もちろん弊社もちですよ)
目論んでいましたが、
翌日、九州で取材が入ってしまったために、
すぐ発たなくてはなりませんでした。
それだけが心残りです……。

また機会をつくってお邪魔させて
いただきたいと思っております。


(編集部・酒井俊宏)



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