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2007年10月31日(水)更新

歴史作家が認める歴史作家とは…

この仕事をしていると経営者のかたばかりでなく、
作家の方やコンサルタント、野球評論家などなど、
取材を通じて、いろいろなかたにお話をうかがう機会をいただきます。

みなさんその道のプロですので
私ごときは瞠目することばかり。
そうした話題も、この場でご紹介していきたいと思います。

私は、その道のプロはその世界で
どんな人を評価するのかが気になって、
取材時にオフレコで、
「同業者で尊敬する人は誰か」を
お聞きすることがあります。
きょうはそれに関連した話を少々。

過去、お会いした何人かの歴史作家や歴史学者の方に
ご自身が評価する歴史作家をお聞きすると、
どの方も異口同音に「あの人は凄い!」と
褒めちぎる人がいました。
昨年亡くなられた、吉村昭さんです。

ちなみに、経営者会報本誌では、
読者経営者の方からのアンケートをもとに
「社長の意識調査」に関する臨時増刊号を
年内に発刊する予定です。
その調査の「好きな作家」部門では、
司馬遼太郎さんがダントツで
以下、城山三郎さん、藤沢周平さんと続いていました。

もちろん、お聞きした作家の方々の中で
こうした大家の評価も高いのですが、
とりわけ吉村さんの、丹念な取材に基づいて
事実に極限まで迫るスケール感のある筆致は
同業の方からみても「ただ者ではない」と
唸らせるものがあるようです。

たしかに、ちょっと前に読んだ『桜田門外ノ変』では、
彦根藩士と水戸浪士の斬り合いのあった現場に、
「指の切れ端」が多数落ちていたという描写があって、
他の歴史小説にはないリアリティを感じました。

さくらだもんがい

桜田門外の変の場合、目撃者の証言が残っていて、
実際、昔の真剣のやりとりでは、“つばぜり合い”のとき、
互いに指を切ることが多かったといいます。

こうした細部についての、丹念な資料収集、
きちんとした根拠に基づくリアリティある描写が
作品全体の説得力、迫力を高めているのでしょう。

そのために払われているであろう苦労や労力は、
同業の方だからこそ、想像できるものなのかもしれません。

「プロが認めるプロ」については、これからも、
ご紹介できるお話があれば、綴っていきたいと思います。

(編集部・酒井俊宏)




けいかい
■中小企業経営者のための羅針盤 月刊経営者会報
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/
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