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2007年07月30日(月)更新

取材日記 中村ブレイス 中村俊郎社長 ─2─

(から読んでください)

企業の社会貢献とは、まず、サービスや商品など、
本業そのもので貢献することでしょう。
そしてきちんと利益を上げて納税し、雇用を維持、創出する。

それだけで十分に社会に貢献しているわけですが、
中村社長の場合、そのレベルにとどまりませんでした。

なんと約30年にもわたって、後継者が都会に出てしまうため、
廃屋になりかけた近隣の家々を私財を投入して買い取り、その数、実に
30軒以上。年商に近いくらいの額を投資してきたそうです。
それらの家を修繕して社員寮や工場に活用したりと
保存に努めておられます。

中村社長自身、知事からの要請も受けて、県の教育委員長も務め
「世界遺産を目指す会」の理事にも就任。
そして数年間の活動を経て、今年の7月2日、めでたく正式に
石見銀山の世界遺産への登録が決まりました。
「登録延期」勧告を覆しての登録はほとんど前例がないそうです。

中村社長は「町民や県民の皆さんや、ユネスコ日本政府代表部の
近藤誠一特命全権大使など、関係者の方々の努力のお陰です」と
おっしゃいます。

私も取材のあとで、周辺を回ってみました。
なるほど、こんなところで育ったら、郷土愛も湧くなあ、
と思わせられる、よいところでした。
下手な写真で恐縮ですが、ご覧下さい。


代官屋敷
(代官屋敷跡・現在は石見銀山資料館)



町並み
(旧大森町の町並み)



羅漢
(五百羅漢の入り口)



ちなみに、取材を終えた26日の午後は、中村社長が後援会長を
務める地元の大田高校野球部が県ベスト4に進出、
強豪・江の川高校(中日ドラゴンズ・谷繁選手の母校)
との準決勝があり、これから応援に向かうとのお話でした。
(残念ながら3対2で惜敗)

奥様にもお話をうかがいましたが、
中村社長は大田高校の応援となると、
そのソフトなルックスから想像もつかないくらい熱くなるそうで
太鼓や鉢巻きも自前のものをもって駆けつけるそうです。

郷土への深い愛情と誇り──。

世界遺産登録にしても、
中村ブレイスというスモールトップ企業の存在も、
成功の要因を一つだけに絞るなら、
中村社長の地元への深い愛情に尽きるでしょう。

中小企業の経営者、というより、一人の人間には、
これほどのことができるということに深く感じ入った次第です。
大きな感銘を受けた取材でした。

中村社長、奥様、写真撮影に快く応じてくださった社員の皆様、
本当にありがとうございました!

■中村ブレイス株式会社
■過去の取材日記はこちら…


(編集部・酒井俊宏)




keikai

■中小企業経営者のための羅針盤 月刊経営者会報
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/

2007年07月30日(月)更新

取材日記 中村ブレイス 中村俊郎社長 ─1─

先週の25日、26日と
経営者会報の連載『異能経営者がゆく!』の取材で
島根県の大田市へ行ってまいりました。

ご存じない方のためにご説明すると
『異能経営者がゆく!』は経営者会報の巻頭カラー記事。
「異能」という言葉を辞書で引くと「人に秀でた能力」と
あります。経営者として、その方のどこが秀でているのか、
ワンテーマ的かつドキュメンタリータッチで示すものです。

今回ご登場いただいたのは中村ブレイス中村俊郎社長(59)。

同社は先頃、世界遺産に認定された石見銀山の入り口、
旧大森町にあります。
ここは、かつて江戸幕府の代官屋敷が存在したエリアです。
実は中村社長ご自身、石見銀山の世界遺産への認定に
大きく貢献されたかたなのです(ご本人は否定されますが)。

取材の申し込みをさせていただいた直後に
石見銀山の世界遺産登録が決まり、偶然とはいえ、
いいタイミングでの取材となりました。


本社
(中村ブレイス本社屋。和風な感じが周囲の景観とよくマッチしています)

中村社長のお父上は、合併前の大森町で収入役を務めるなど、
中村家は町の名士でした。お父上は中村社長が幼い頃から
「石見銀山は日本だけじゃなく世界に貢献した町なんだ」
と言ってきかせたそうです。

京都やアメリカで義肢装具などの製作の修業を積んだ中村社長は
1974年、26歳で故郷の大森町に戻り、
過疎化の進む町に少しでも貢献しようと実家の納屋を改装して
たった一人で義肢装具の会社を起こします。
この「郷土愛」こそが中村社長の「異能」たるゆえんです。

「こんな田舎では無理だ」という周囲の声をよそに
中村社長は奮闘を続けます。(その奮闘ぶりについては、
9月1日発行の経営者会報9月号をどうかご覧ください!)

その甲斐あって、義肢装具のほか、
乳がんで乳房を失った女性のための「人工乳房」をはじめとする
芸術作品とすら言ってもおかしくない製品開発も可能になり
同社の製品は多くの人に生きる希望を与えています。
最近では、人工肛門なども開発し、医学界からも大きな期待を
寄せられています。

同社の存在は、独自性さえあれば、地方都市に拠点を置くことは
なんらハンディにはならないということを
示しているのではないでしょうか。(へ続く)

■中村ブレイス株式会社
■過去の取材日記はこちら…

(編集部・酒井俊宏)




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■中小企業経営者のための羅針盤 『月刊経営者会報』
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
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