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2013年08月20日(火)更新

【取材日記】埜庵 石附浩太郎さん


過日、月刊ニュートップリーダーの取材で、
神奈川県藤沢市・鵠沼海岸のかき氷店『埜庵』(のあん)に行ってまいりました。
店主・石附浩太郎さんへのインタビューです。
 
弊社より単行本「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」
出していただいた(川上徹也氏との共著)ご縁から、
誌面にもご登場いただこうという流れになりました。
 
上記のタイトルの通り、石附さんのお店・埜庵は、
真冬でも行列ができるという、それまでになかったかき氷屋さんです。
自然の素材でつくるシロップの味わいと
天然氷を丁寧に削ったふわっとした食感が人気を呼び、
シーズンなら多い日で一日500人以上が来店。
しかも全国各地から熱心なリピーターがやってくるそうです。
 
石附さんです。
 



 
冬でも行列ができる、埜庵のかき氷。
 

 
埜庵 ホームページ >>>
「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」 >>>
 
いくらおいしいとはいえ、なぜ、それほど熱心なファンがついたのか?
 
詳しくは、月刊ニュートップリーダー7月号と、
石附さんのご著書をご覧いただければと思いますが、
本誌記事から引用しつつ少しだけ、記します。
 
音響メーカーで営業マンをしていた石附さんは、
あるかき氷屋さんで口にしたかき氷に衝撃を受け、独立を決意。
当初二年間は鎌倉市内に出店。その後、現在の鵠沼海岸に移転します。
 
しかし、なかなかうまくいきません。
ランチメニューなどを充実させたことから、
特徴の薄い店になっていたのです。
 
「かき氷屋をやりたくて、勤めを辞め、あえてこの道に入ったのに、
かき氷以外のことに振り回されているのは、やはりおかしい」
 
そう考え、かき氷一本でやっていくと決意してから、
すべては好転していったそうです。
 
とはいえ、埜庵はおいしいだけのお店ではありません。
とにかく、居心地がよい。店員さんの感じがよい。
足を運んだ人は、ほとんどがそう思うはずです。
そうしたお店の雰囲気自体、かき氷と同じく、
石附さんが手ずからこしらえたものと言っていいでしょう。
 
いまは夏の盛りで、連日行列だと思いますが、それでも、
興味をもたれたかたは、ぜひ、訪ねてみてください。
 
石附さんが人生賭けてつくりあげたお店には、
人が引き寄せられる魅力とは何かを知るヒントがつまっています。
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 
 




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2013年07月03日(水)更新

【取材日記】中里スプリング製作所 中里良一さん


過日、『月刊ニュートップリーダー』の取材で、
中里スプリング製作所・中里良一社長にお会いしてきました。
 
『トップが育てば会社が育つ』と題した特集記事で、経営危機や不祥事、
あるいは社内の軋轢などをきっかけに、ご自身を成長させることの大切さを痛感し、
自分で自分を鍛えてこられた社長さんにご登場いただいています。

 
中里社長です。


 
 

工場内部。キリンのオブジェは自作されたものです。

 
 
■中里スプリング製作所 ホームページ >>>
 
 
群馬県甘楽(かんら)町に工場をかまえる同社は、
技術力あるばねメーカーとして業界内外から高い評価を得ています。
それだけでなく、独自の経営でも注目されています。
くわしくはニュートップリーダー6月号をご覧いただきたいと思いますが、
少しだけ紹介します。
 
大きな特徴は、企業としての判断基準を「好きか嫌いか」に置いていること。
営業は社長だけがやるそうです。中里社長はこう言います。
 
「中小製造業で社員が一番嫌で苦手なのは営業です。
嫌なことはやらせたくないので社長がやる」
 
毎月一回、全社員で集まり、半日から一日かけて、
それぞれの個人的な夢を語り合うという「夢会議」。
社長が独断で年に一度、がんばっている人を1、2名表彰する「ご褒美制度」。
後者では、受賞者に「会社にある材料と設備を使って好きなものをつくれる権利」か、
「嫌いな取引先を一社、切ることのできる権利」を与えるそうです。
いずれも30年以上続けているそうです。
 
中里社長は、社員が会社を「好き」でいられるように心を砕いてきました。
 
「儲かるか儲からないか、うまくいくかいかないかで
考えるから失敗する。善良な人間の集う組織であるな
ら、好き嫌いで決めればいいんです」
 
独自の経営は、経営者個人の強い自負や器の大きさがあってこそ、可能になります。
 
二代目の中里社長は、東京で商社に勤務したのち、25歳で入社します。
そして、すぐに、社員との距離を感じます。
二代目として尊重されこそすれ、誰からも尊敬はされず、侮られてすらいると感じたのです。
 
そこでまず、誰にも負けない技術力を磨こうと決意します。
毎晩、社員が帰ったあと、工場に戻って明け方近くまでばねをつくる。
両親には「飲みに行ってくる」と言い残し、工場に戻る。
そんな生活を続けて技能を身につけ、五年もすると全員に一目置かれるまでになっていました。
 
並行して、自分の甘さを克服しようと、それまでの知人・友人関係を断ったというから驚きます。
こちらも、五年ほどして、それでも会いたい、教えを乞いたい、という人には詫びて、
つきあいが復活していったそうです。
 
「二世、三世は裏口入学みたいなもの。だからよほど
覚悟を決めて、自分を鍛えないとダメ」
 
なかなかできないことです。己を鍛え抜いてこられたこと、鍛えられたという自覚が、
経営者としての自信を育み、求心力を手にすることになったのでしょう。
 
自らを鍛えて得た強さと、従業員さんにむける眼差しの温かさ、優しさ──。
こういう社長さんのもとで働ける従業員のみなさんは、幸せだと思いました。
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 
 
 


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2013年02月25日(月)更新

テストマーケティング研究所in八戸そして講演会


さる2月22日、23日の両日、
経営者会報ブログのイベントを青森県八戸市にて開きました。
 
経営者会報ブログ会員さんである、八戸ニューシティホテル常務、
“虎鯖棒寿司”谷口圭介さんのご要望と、
多くの会員さんのリクエストにもお応えしての、
「テストマーケティング研究所 in 八戸」です。
 
同ホテルに到着したその足で、さっそく夕方17時からスタートした
「テストマーケティング研究所」では、谷口さんの新しい鯖棒寿司の可能性と、
地元からご参加いただいた株式会社・ひろの屋代表取締役、
下苧坪(したうつぼ)之典さんによる、国産=北三陸天然ワカメの素晴らしさ、
そしてワカメとイカをふんだんに使った地元有志のコラボ商品「イカシウマイ」について、
活発なご意見が交わされました。
 
■八戸ニューシティホテル ホームページ >>>
■ひろの屋 ホームページ >>>
 
 


 
鯖寿司は2種類。どちらも美味しく、意見も百出。
 
 
 
こちらはイカシウマイ。絶品です。
個人的には、おでんの具に入っていたらうれしい、と思いました。
 
 
続いて、ご参加いただいたみなさま。




八戸ニューシティホテル常務・谷口圭介さん。



ひろの屋代表取締役・下苧坪之典さん。


久米繊維工業会長・久米信行さん。

 
創代表・村上肇さん。


日本金属工芸研究所社長・山田敏晶さん。


小高莫大小工業社長・小高集さん。

京都工芸社長・寺田元さん。

エビスヤ社長・山岸健一さん。

レーザーテック社長・浜野太郎さん。
(すみません、この絵しかピントが合っていなかったもので……)


ジェイ・ポート社長・樋下茂さん。


そして、NTTデータ・津田博史さん、
 
 
懇親会のあと、
翌日は皆さんで八戸港、「八食センター」などを観光。
記念に一枚。



午後から、八戸市役所勤務の相模将喜さん、
学校法人光星学院八戸大学さんのご尽力で開催した、
株式会社創代表・村上肇さんのご講演と、久米繊維工業会長・久米信行さん、
京都工芸社長・寺田元さん、八戸ニューシティホテル・谷口圭介さんに
村上さんを加えた4名さんでのパネルディスカッション。





 
 
中小企業経営者がいかにして、ご自身と会社の価値をアピールし、
お客さんの支持を広げていくか、その具体的な実践法を、前段のご講演で。
そして実体験をもつ経営者のみなさんによる、熱のこもった語り口で紹介されるエピソードの数々は、
きっと聴講された方々にとって、ご参考になったことと思います。
 
それにしても、八戸はすばらしいところでした。
その魅力、そして今回の「八戸旅」の面白さは、すばらしい書き手の揃った、経営者会報ブログ・
ブロガーのみなさんのエントリでお楽しみいただきたいと思います。
 
 
■久米繊維工業 久米信行さん 
 
 
■コクホー 庄山悟さん
 
■八戸ニューシティホテル 谷口圭介さん 
 
■エビスヤ 山岸健一さん 
 
■京都工芸 寺田元さん 
■ジェイ・ポート 樋下茂さん
 
■小高莫大小工業 小高集さん 
 
最後に、残念ながら風邪を召されてご参加いただけなかった、
クエストリーの櫻田さんのブログです。
板長のコメントと合わせて、こちらもご覧いただきたいと思います。
 
■クエストリー 櫻田弘文さん
 
 
会員のみなさまの会社をお互いにお訪ねするこうした機会は、
これからも、定期的に設けたいと思います。
よろしくお願いいたします。
 
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 


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2013年01月18日(金)更新

【取材日記】湯佐和 湯澤剛さん

制作中の『月刊ニュートップリーダー』2月号の取材で、
神奈川県鎌倉市内を中心に居酒屋を複数営んでおられる
湯佐和社長・湯澤剛氏にお会いしてきました。
 
『失敗に学び 生かす経営』と題した特集記事の中の事例として、
湯澤さんと同社にご登場いただいたものです。

同チェーンは、新鮮な海鮮料理と、明るくゆきとどいた接客で、
どのお店も人気店になっています。
 
 

(撮影・柚木裕司氏 以下同)

湯澤剛社長です。
下は、『七福水産』にて。
お刺身は絶品でした。




 
■湯佐和 ホームページ >>>
 
いうまでもなく、求めて失敗をする経営者はいません。
一方で、失敗は発明の母といわれるように、
経営者自身の失敗ほど、教訓として、
経営やご自身の成長に生かされるものもないでしょう。
 
この特集では、組織マネジメントや事業推進上、失敗をし、
窮地に陥ったご経験をもつ経営者にご登場いただき、
その経験を、どのように生かしたかをお聞きしています。
 
湯澤社長の場合は、経営を引き継いだとき、すでに債務超過にあったことから、
利益追求、利益重視の経営に偏り、そのことで虎口を脱することはできたものの、
会社の雰囲気はすさみ、事故も招いてしまいます。
 
その状況をどのようにして好転させていったのかは、
2月1日発行予定の『月刊ニュートップリーダー』2月号をご覧いただきたいと思いますが、
一つ、ここでご紹介しておきたいのが、ご自身が失敗をおかす以前の、
債務超過に陥っていたころのエピソードです。
 
それこそ常に死を考えるような日常だったそうですが、
湯澤さんは、あることをきっかけに立ち直ります。
 
「債務は利息だけで年に1億円以上返さなくてはならず、
当時の売上では完済まで何十年もかかる計算でした。そう
考えるのでやる気も出てこない。そこで、まず五年だけが
んばってみよう、と思ったんです」
 
そう考えて、自作したのが、日めくりカレンダーでした。
カレンダーといっても、この写真のような(実物です)、
残りの日数を示すだけのもの。
 
 
 
しかし不思議なことに、毎日、めくって、少しずつやれることに取りかかるうち、
不安も消え、徐々にやり甲斐すら感じだしたそうです。
 
行き詰まったときの打開策には魔法などはなく、
「正しいルーティン」をこなしていくことが重要なのではないか、
と思った次第です。
 
経営者でなくてもビジネスマンならあてはまる気がしています。
 
湯澤さん、様々にヒントをいただきました。
ありがとうございました!
 
 
(編集部 酒井俊宏)





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2012年10月17日(水)更新

【取材日記】リブラン社長 鈴木雄二さん

 
過日、月刊ニュートップリーダーの取材で、
都内のマンションデベロッパー・リブラン社長、鈴木雄二さんにお目にかかってきました。
 
マンションといえば一般的には、広さと立地(駅近か否か)、
ゼネコンやデベロッパーのブランドで価値が決まってしまうものですが、
同社がプロデュースする物件は、
そうした枠から大きくはみ出した付加価値や個性をもっています。
 
一言でいってしまえば、「エコ」な物件ということになります。



(エコヴィレッジ朝霞本町/写真提供:リブラン)


鈴木社長です。
ところどころ、ホワイトボードを使って、
熱心に自社の事業について話してくださいました。




(撮影・フォトグラファー 山本信介)
 
 
◇緑のカーテン応援団 >>>
 
◇リブラン >>>
 
同社のエコヴィレッジシリーズは、風の抜けるつくりや間取りを追求していて、
共有部分にはゴーヤなどを利用したグリーンカーテンや蔓系の植物を這わせ、省エネに貢献。
 
ベランダでのグリーンカーテンのつくりかたをお客さんにレクチャーしたり、
住民同士のコミュニティをつくろうとしている点も同社の大きな特徴です。
 
それらの取り組み全体で、とくに大手デベロッパーでは手がけにくい、
付加価値あるマンションを世に送り出しています。
 
鈴木社長によると、たとえば大震災後に建てられた東北地方の仮設住宅では、
真夏の日中、室内の体感温度は、なにも処置をしなければ、45度以上に上昇してしまいますが、
窓の外にグリーンカーテンをつくると同30度くらいにまで下がるそう。
私も2年連続で、拙宅にゴーヤカーテンをつくっていますが、
あるのとないのとではまったくと言っていいほど違いました。
 
同社と鈴木社長について、詳しくは掲載予定の
月刊ニュートップリーダー11月号・連載/福永雅文の小よく大を制すビジネス兵法」を
ご覧いただきたいと思いますが、素晴らしいと思ったのは、
何年も前から鈴木社長が「NPO法人 緑のカーテン応援団」をつくり、
自ら理事長に就いて活発に活動しておられること。
 
いま例に出した東北地方の仮設住宅がテレビに映る際、
グリーンカーテンがきれいに設えられている映像を見た人も多いと思いますが、
実は同法人の活躍が大きかったようです。
鈴木社長はおっしゃいます。
 
「緑に覆われた建物はわが国ではあまりイメージがよくありませんでした。
お化け屋敷みたいだと…そのイメージを覆さないといけない」

 
自社で手がける製品やサービスの価値を知ってもらうには、
広告という手段がありますが、鈴木社長は、己が信じる価値を、
広く世間にご自身と社員の方々の行動で、
楽しみながら訴えることにしたのです。
 
自社が儲かる儲からない、という立ち位置からは決して出てこない
発想であり、行動なのではないかと思いました。
 
 
(編集部・酒井俊宏)
 
 

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