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「経営者会報ブログ」&「ニュートップリーダー」編集記者・酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」
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2008年03月17日(月)更新
【取材日記】池田工業 池田裕幸さん
先日、経営者会報4月号特集
『頼りになる経営幹部育成法』の取材で、
愛知県刈谷市の池田工業さんにお邪魔させていただきました。
お相手は二代目社長の池田裕幸さん。
この写真の印象の通り、
大変に真摯で、真面目なかたでした。
■池田工業 ホームページ>>>
http://www.ikeda-ind.co.jp/index.html
池田さんは社員教育に非常に
力を入れておられます。
それは五年前、お父上に直談判して
自ら社長に就任する以前から、
以下のような、元請けに依存する自社の体質に
危機感を抱いておられたからです。
「昔は図面通りに作って納めさえすればよかった。
いまは違う。お客さんも当社に何ができるのかを
知りたがっています。強みを磨いて、その強みを
きちんとお伝えして、ご提案までできないと、仕
事は減るばかりです」
同社の教育の特徴は、時期を区切った研修と、
その研修を単なる研修のままで終わらせず、
現実の仕事に落とし込む工夫をしておられる点にあります。
詳しくは、4月1日発行の経営者会報4月号をご覧いただければと思いますが、
そうした工夫と並んで、印象に残ったのは、
池田さん自ら率先して「学ぶ」姿勢でした。
池田さんは寸暇を惜しんで極力、外部の人に会い、
お話を聞くようにしておられます。
しかも、ご自分だけでなく、現在の経営幹部のかたを誘って、
セミナーなどにもよく足を運ぶそうです。
同じ話を聞くことで、経営理念の共有などにも
大いに役立っているのではないでしょうか。
ちなみに池田さんは、社内の応接室兼社長室に、
下のような額を自らしたためて、飾っておられます。
毎年、その年のご自身のテーマを、一文字で
示すのだそうです。
「成長するにはなにをおいても『学ぶ』ことです。
私自身まだまだ学んで成長しないといけません。
私を含め、経営幹部が成長することが、部下を育
成するうえでの大前提だと思っています」
この社長の姿勢そのものが、社員のみなさんにとっての範となり、
成長を促していくのでしょう。
池田さん、ありがとうございました!
■中小企業経営者のための羅針盤『月刊経営者会報』 ご購読はこちら>>>
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■経営者会報ブログにご興味をおもちの方・入会ご希望の方はこちら>>>
http://office.keikai.topblog.jp/blog/10006133.html
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社 >>>
http://www.njg.co.jp/
『頼りになる経営幹部育成法』の取材で、
愛知県刈谷市の池田工業さんにお邪魔させていただきました。
お相手は二代目社長の池田裕幸さん。
この写真の印象の通り、
大変に真摯で、真面目なかたでした。
■池田工業 ホームページ>>>
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池田さんは社員教育に非常に
力を入れておられます。
それは五年前、お父上に直談判して
自ら社長に就任する以前から、
以下のような、元請けに依存する自社の体質に
危機感を抱いておられたからです。
「昔は図面通りに作って納めさえすればよかった。
いまは違う。お客さんも当社に何ができるのかを
知りたがっています。強みを磨いて、その強みを
きちんとお伝えして、ご提案までできないと、仕
事は減るばかりです」
同社の教育の特徴は、時期を区切った研修と、
その研修を単なる研修のままで終わらせず、
現実の仕事に落とし込む工夫をしておられる点にあります。
詳しくは、4月1日発行の経営者会報4月号をご覧いただければと思いますが、
そうした工夫と並んで、印象に残ったのは、
池田さん自ら率先して「学ぶ」姿勢でした。
池田さんは寸暇を惜しんで極力、外部の人に会い、
お話を聞くようにしておられます。
しかも、ご自分だけでなく、現在の経営幹部のかたを誘って、
セミナーなどにもよく足を運ぶそうです。
同じ話を聞くことで、経営理念の共有などにも
大いに役立っているのではないでしょうか。
ちなみに池田さんは、社内の応接室兼社長室に、
下のような額を自らしたためて、飾っておられます。
毎年、その年のご自身のテーマを、一文字で
示すのだそうです。
「成長するにはなにをおいても『学ぶ』ことです。
私自身まだまだ学んで成長しないといけません。
私を含め、経営幹部が成長することが、部下を育
成するうえでの大前提だと思っています」
この社長の姿勢そのものが、社員のみなさんにとっての範となり、
成長を促していくのでしょう。
池田さん、ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2008年02月28日(木)更新
【取材日記】桂経営ソリューションズ 桂幹人さん
昨日(2月27日)、
経営者会報4月号特集「頼りになる『経営幹部』育成法」の取材で
桂経営ソリューションズ代表取締役会長の桂幹人さんにお会いしてまいりました。
桂さんは、企業再建を生業とする経営コンサルタントです。
「ナニワの凄腕再建屋」と呼ばれる、凄いかたです。
そうした“通り名”に加え、
下の写真(私が撮って、しかも逆光ぎみ……)をご覧になると、
「こわもて」の印象をもたれてしまうかもしれませんが、
もちろん、ソフトで大変おだやかなかたです。
■桂経営ソリューションズ ホームページ>>>
http://www.katsura-ms.co.jp/co-profile.html
この企画の趣旨は、トップの考えをよく理解し、
片腕として、さらにトップに万一のことがあった際に、
代役も務められるほどの人物をどう見出し、
どのように育てていくべきか、というものです。
詳しくは、4月1日発行予定の経営者会報4月号を
お手に取っていただければと思いますが、
桂さんのご発言を、一部ご紹介しましょう。
「支援に入らせていただいてきた実感としては、
実はどの企業にも必ず、一人か二人はそういう
人物がいるものです。問題は、そうした社員が
いても社長が気づいていないか使えていないこ
とが多いんです。その意味で社長は方向性や目
標をきちんと掲げることが大事。それも厳しい、
しかしやりがいのある目標を、です。能力もや
る気も高い人間は、必ず手を挙げますから、そ
れでわかる」
とはいえ、ことは簡単ではなく、
そこから育てていくためには、
辛抱と苦労が必要なのだそうです。
ちなみに桂さんはご自身もかつてサラリーマンをしておられました。
そのとき、手を挙げ、様々に建設的な提案をされたにもかかわらず、
社長さんはほとんど採りあげてくれなかったとのこと。
「僕も言い方がまずかったり、若気の至りもあ
ったけど、提案したことをもっと聞いてもらえ
たら、もう少しその会社にいたかもしれません」
優秀な人材は、経営幹部として遇しないかぎり、
というより、本人のいわば「事業意欲」を満たせる場や
そのための機会を与えないかぎり、
会社を出ていってしまうものなのかもしれません。
桂さん、そしてご同席いただき、深いお話をしてくださった
社長の星川真一郎さん、どうもありがとうございました!
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経営者会報4月号特集「頼りになる『経営幹部』育成法」の取材で
桂経営ソリューションズ代表取締役会長の桂幹人さんにお会いしてまいりました。
桂さんは、企業再建を生業とする経営コンサルタントです。
「ナニワの凄腕再建屋」と呼ばれる、凄いかたです。
そうした“通り名”に加え、
下の写真(私が撮って、しかも逆光ぎみ……)をご覧になると、
「こわもて」の印象をもたれてしまうかもしれませんが、
もちろん、ソフトで大変おだやかなかたです。
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この企画の趣旨は、トップの考えをよく理解し、
片腕として、さらにトップに万一のことがあった際に、
代役も務められるほどの人物をどう見出し、
どのように育てていくべきか、というものです。
詳しくは、4月1日発行予定の経営者会報4月号を
お手に取っていただければと思いますが、
桂さんのご発言を、一部ご紹介しましょう。
「支援に入らせていただいてきた実感としては、
実はどの企業にも必ず、一人か二人はそういう
人物がいるものです。問題は、そうした社員が
いても社長が気づいていないか使えていないこ
とが多いんです。その意味で社長は方向性や目
標をきちんと掲げることが大事。それも厳しい、
しかしやりがいのある目標を、です。能力もや
る気も高い人間は、必ず手を挙げますから、そ
れでわかる」
とはいえ、ことは簡単ではなく、
そこから育てていくためには、
辛抱と苦労が必要なのだそうです。
ちなみに桂さんはご自身もかつてサラリーマンをしておられました。
そのとき、手を挙げ、様々に建設的な提案をされたにもかかわらず、
社長さんはほとんど採りあげてくれなかったとのこと。
「僕も言い方がまずかったり、若気の至りもあ
ったけど、提案したことをもっと聞いてもらえ
たら、もう少しその会社にいたかもしれません」
優秀な人材は、経営幹部として遇しないかぎり、
というより、本人のいわば「事業意欲」を満たせる場や
そのための機会を与えないかぎり、
会社を出ていってしまうものなのかもしれません。
桂さん、そしてご同席いただき、深いお話をしてくださった
社長の星川真一郎さん、どうもありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2008年02月22日(金)更新
【取材日記】エルプ 千葉三樹さん
昨日、経営者会報4月号『異能経営者がゆく!』の取材で
まさに、異能と呼ぶにふさわしいかたに
お会いしてきました。
世界で唯一、「レーザーターンテーブル」を
製造・販売しておられる、
エルプ社長の千葉三樹(さんじゅ)さんです。
千葉さんは、同社を創業される前は、
あのGEに長く在籍、副社長まで務められ、
最後は、当時のジャック・ウェルチ会長と
事業売却の経営方針を巡って衝突し、GEを去ったという、
ものすごい経歴の持ち主です。
レーザーターンテーブル(以下LT)とは、ひとことでいえば、
レーザー光線で情報を読み取るレコードプレーヤー。
千葉さん自ら、原理を説明してくださいました。
LTは、レーザー光線によって音溝を検知し、
音声信号を読み取ります。
通常のアナログプレーヤーと違い、針を使わず非接触のため、
レコードが傷つくこともない。
使い勝手や操作性の面でも、一発で頭出しができたりと、
CDプレーヤーと遜色はありません。
機械のサイズもほぼ変わりません。
ご存じのかたは多いと思いますが、
CDではノイズカットのため超高音をカットしており、
実はアナログレコードのほうが、繊細でみずみずしく、
音質自体は上だというのが定説です。
しかも、レコードは音溝の面すべてに同じ音信号が刻まれていますが、
針は一部にしか当たらず、そのために摩耗し、音質も劣化していってしまう。
同社のレーザーターンテーブルは、削っていない部分から読み取るため、
録音当時の音声がそのまま蘇るのだそうです。
■エルプ ホームページ>>>
http://www.laserturntable.co.jp/
GEに長く勤めた千葉さんが
どうしてこの事業を手がけることになったのか。
それはGE時代の同僚から、
この技術の開発者である米国人、ロバート・ストッダート氏を
紹介されたのがきっかけでした。
ストッダート氏はこの画期的な技術を開発しましたが、
再生できるレコードの率がまだ低く、
実用化の壁と資金難に苦しんでいました。
当時30歳前のストッダート氏と
千葉さんは、初対面から意気投合。
当初は、開発に協力してくれる日本のメーカーを
探すことで、支援しようとします。
しかし、時は1989年。
すでにレコードからCDへの移行が進んでおり、
手を挙げるメーカーは皆無だったのです。
思い悩んだ挙げ句、千葉さんは、
ストッダート氏から特許権を買い取り、
すべて自分の責任で事業を手がけることを決意。
ストッダート氏はその後も千葉さんとともに
研究を続けます。
それはまさに茨の道でした。
「誰もやらないなら俺がやる、と決意しましたが、
大変でした。なぜなら、レコードもCDも、昨今
話題のブルーレイディスクにしろ、通常、ハード
とソフトは同時に開発されます。したがって、ハ
ードの不備はソフト側に機能をもたせることで補
完することができる。しかしレーザーターンテー
ブルは、ハード面だけの開発です。市販化への難
しさもその点にありましたし、大手メーカーが手
を挙げなかったのも当然といえます」
千葉さんは、私財を投入し、自宅を売り払い、
開発に勤しみます。
そして、95%のレコードが再生可能になりました。
ついに2000年には収支とんとん、
翌年には念願だった黒字化を果たします。
いまでは、月産12台を生産し、
多くのバックオーダーを抱えるまでに。
詳しくは、4月1日発行予定の経営者会報4月号を
お手に取っていただければと思いますが、
事業売却を進めようとしたウェルチ氏との衝突も、
誰もが無謀だといったこの事業への取り組みも、
すべては、千葉さんの、
長年、ものづくりに携わってこられた
矜恃がそのもとにあるといえるでしょう。
新技術が、常に大量生産、大量消費のみに投入される現状を見て、
そうではない道もある、と示したかったのだそうです。
加えて、多くの人々からの感謝の声が、
千葉さんを支えました。
有名なジャズピアニスト、キース・ジャレット氏は、
LTを自ら購入後、その音質に感動し、
「推薦文を書きたい」と連絡してきたそうです。
「一番感動したのは、カナダの政府筋からの依頼
で、国立図書館に納めたとき。実は英国から独立
した際の国会議長の初めてのスピーチが録音され
たレコードがありました。いうなれば独立宣言。
しかし、反り返ってしまって再生できず、誰も音
声を聴いたことがなかった。それがLTで再生し
たら、当時の音声がそのまま出てきた。多くの政
府関係者や現地マスコミがいる場です。全員、感
動しておられて……あんな嬉しいことはなかった」
千葉さんはこのとき、
いっそうの事業意欲が湧いてきたとおっしゃいます。
技術革新の陰で消えてしまう、こうした文化遺産に
まさに“光”を当てる──。
そこに大きな使命感を感じたそうです。
それにしても、ショールームで聴かせていただいた
LTの音質は艶があって響きに余韻があって、
とても素晴らしいものでした。
1台約105万円と、通常のCDプレーヤーや
アナログプレーヤーとは到底、比較にならない高価格ですが、
さして問題にならない、高い付加価値のある商品だと思います。
ブログで特定の商品に肩入れするのは、極力控えていましたが、
このLTは、特別です。
そのくらい、びっくりしましたし、
感動しました。
クラシックやジャズがお好きで、
レコードを多くコレクションしておられるかたなら、
きっと満足されることでしょう。
「企業の都合で事業を撤退すれば、迷惑を被るの
はお客さんです。ウェルチさんとぶつかった理由
の一つでもある。オンリーワンの企業は、なおの
こと、潰れたり、撤退してはいけない。その技術
をもっている会社が一つしかないんですから、潰
れたら誰がお客様にアフターケアをするのか。だ
から絶対に潰さない。頑張りますよ」
千葉さんは、無条件で応援したくなる、
すばらしいかたでした。
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お会いしてきました。
世界で唯一、「レーザーターンテーブル」を
製造・販売しておられる、
エルプ社長の千葉三樹(さんじゅ)さんです。
千葉さんは、同社を創業される前は、
あのGEに長く在籍、副社長まで務められ、
最後は、当時のジャック・ウェルチ会長と
事業売却の経営方針を巡って衝突し、GEを去ったという、
ものすごい経歴の持ち主です。
レーザーターンテーブル(以下LT)とは、ひとことでいえば、
レーザー光線で情報を読み取るレコードプレーヤー。
千葉さん自ら、原理を説明してくださいました。
LTは、レーザー光線によって音溝を検知し、
音声信号を読み取ります。
通常のアナログプレーヤーと違い、針を使わず非接触のため、
レコードが傷つくこともない。
使い勝手や操作性の面でも、一発で頭出しができたりと、
CDプレーヤーと遜色はありません。
機械のサイズもほぼ変わりません。
ご存じのかたは多いと思いますが、
CDではノイズカットのため超高音をカットしており、
実はアナログレコードのほうが、繊細でみずみずしく、
音質自体は上だというのが定説です。
しかも、レコードは音溝の面すべてに同じ音信号が刻まれていますが、
針は一部にしか当たらず、そのために摩耗し、音質も劣化していってしまう。
同社のレーザーターンテーブルは、削っていない部分から読み取るため、
録音当時の音声がそのまま蘇るのだそうです。
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GEに長く勤めた千葉さんが
どうしてこの事業を手がけることになったのか。
それはGE時代の同僚から、
この技術の開発者である米国人、ロバート・ストッダート氏を
紹介されたのがきっかけでした。
ストッダート氏はこの画期的な技術を開発しましたが、
再生できるレコードの率がまだ低く、
実用化の壁と資金難に苦しんでいました。
当時30歳前のストッダート氏と
千葉さんは、初対面から意気投合。
当初は、開発に協力してくれる日本のメーカーを
探すことで、支援しようとします。
しかし、時は1989年。
すでにレコードからCDへの移行が進んでおり、
手を挙げるメーカーは皆無だったのです。
思い悩んだ挙げ句、千葉さんは、
ストッダート氏から特許権を買い取り、
すべて自分の責任で事業を手がけることを決意。
ストッダート氏はその後も千葉さんとともに
研究を続けます。
それはまさに茨の道でした。
「誰もやらないなら俺がやる、と決意しましたが、
大変でした。なぜなら、レコードもCDも、昨今
話題のブルーレイディスクにしろ、通常、ハード
とソフトは同時に開発されます。したがって、ハ
ードの不備はソフト側に機能をもたせることで補
完することができる。しかしレーザーターンテー
ブルは、ハード面だけの開発です。市販化への難
しさもその点にありましたし、大手メーカーが手
を挙げなかったのも当然といえます」
千葉さんは、私財を投入し、自宅を売り払い、
開発に勤しみます。
そして、95%のレコードが再生可能になりました。
ついに2000年には収支とんとん、
翌年には念願だった黒字化を果たします。
いまでは、月産12台を生産し、
多くのバックオーダーを抱えるまでに。
詳しくは、4月1日発行予定の経営者会報4月号を
お手に取っていただければと思いますが、
事業売却を進めようとしたウェルチ氏との衝突も、
誰もが無謀だといったこの事業への取り組みも、
すべては、千葉さんの、
長年、ものづくりに携わってこられた
矜恃がそのもとにあるといえるでしょう。
新技術が、常に大量生産、大量消費のみに投入される現状を見て、
そうではない道もある、と示したかったのだそうです。
加えて、多くの人々からの感謝の声が、
千葉さんを支えました。
有名なジャズピアニスト、キース・ジャレット氏は、
LTを自ら購入後、その音質に感動し、
「推薦文を書きたい」と連絡してきたそうです。
「一番感動したのは、カナダの政府筋からの依頼
で、国立図書館に納めたとき。実は英国から独立
した際の国会議長の初めてのスピーチが録音され
たレコードがありました。いうなれば独立宣言。
しかし、反り返ってしまって再生できず、誰も音
声を聴いたことがなかった。それがLTで再生し
たら、当時の音声がそのまま出てきた。多くの政
府関係者や現地マスコミがいる場です。全員、感
動しておられて……あんな嬉しいことはなかった」
千葉さんはこのとき、
いっそうの事業意欲が湧いてきたとおっしゃいます。
技術革新の陰で消えてしまう、こうした文化遺産に
まさに“光”を当てる──。
そこに大きな使命感を感じたそうです。
それにしても、ショールームで聴かせていただいた
LTの音質は艶があって響きに余韻があって、
とても素晴らしいものでした。
1台約105万円と、通常のCDプレーヤーや
アナログプレーヤーとは到底、比較にならない高価格ですが、
さして問題にならない、高い付加価値のある商品だと思います。
ブログで特定の商品に肩入れするのは、極力控えていましたが、
このLTは、特別です。
そのくらい、びっくりしましたし、
感動しました。
クラシックやジャズがお好きで、
レコードを多くコレクションしておられるかたなら、
きっと満足されることでしょう。
「企業の都合で事業を撤退すれば、迷惑を被るの
はお客さんです。ウェルチさんとぶつかった理由
の一つでもある。オンリーワンの企業は、なおの
こと、潰れたり、撤退してはいけない。その技術
をもっている会社が一つしかないんですから、潰
れたら誰がお客様にアフターケアをするのか。だ
から絶対に潰さない。頑張りますよ」
千葉さんは、無条件で応援したくなる、
すばらしいかたでした。
(編集部・酒井俊宏)
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2008年02月19日(火)更新
【取材日記】クロスメディア・コミュニケーションズ 雨宮和弘さん
先週の金曜日、経営者会報4月号『社長ブロガー登場!』の取材で、
クロスメディア・コミュニケーションズの雨宮和弘さんにお会いしてきました。
昨年11月のオフ会以来ですが、
相変わらず、素敵というか、ダンディなかたでした。
みなさまよくご存じのとおり、雨宮さんは、
この経営者会報ブログのスタートからご参加いただき、
様々な形で私どもにアドバイスをしてくださっています。
雨宮さんご自身、黎明期から
インターネットに携わってこられた経験を生かして、
同社では、ウェブを活用した企業コミュニケーション、
企業の情報発信等のコンサルティングを
メイン事業にしておられます。
■クロスメディア・コミュニケーションズ ホームページ>>>
http://www.crossmedia.co.jp/
■雨宮さんの社長ブログ >>>
http://crossmedia.keikai.topblog.jp/
雨宮さんは、ブログのメリットについて、
思っていた以上に、対「社内」において
その効果を実感しておられるそうです。
社員のみなさんに対して、なぜその指示を出したか、
その背景や社長の考えを補足する効果があり、
理解が早くなるとおっしゃっていました。
もちろん、インターネットのプロである同社では、
イントラネットも構築しておられて、
社内の意思疎通は、本来お手のもののはずですが、
なぜブログで発信されるのか。
雨宮さんのお答えは次のようなものでした。
社長のみなさま方は、深く頷かれることと思います。
「社長が身内と外部向けと情報の内容を変えて
発信する意味は、ほとんどなくなってきている
と思います。社内向けに発信していることを外
部に出してしまったほうが、賛同してくださる
人=同志が見つかりやすい。もはやどのような
業界、企業においても、自社だけで仕事が完結
する時代ではありませんからね。いろいろな方
々と協力しないと仕事は進みません」
さて、雨宮さんのブログを拝見させていただいていると、
ときどき、ご本人のものづくりや工業デザインに関する、
深い造詣が垣間見られる記事を書かれています。
雨宮さんは美大をご卒業されたあと、
12年も工業デザイナーをしておられましたから、
不思議なことではないのかもしれません。
そのことに水を向けると、雨宮さんはこうおっしゃいました。
「工業デザイナー時代、私を長い目で見て、鍛
えてくださった方がおられます。いまの事業と
はストレートに関わりはないかもしれませんが、
ご恩返しのつもりで、教えてくださったことを
忘れていないこと、いまの私のなかに生きてい
ることをなんらかの形でお伝えしたくて書いて
いるんです」
照れくさいから書くのは止めてくれ、と
ご本人から言われていたような記憶もありますが、
雨宮さん、すみません、書いちゃいました。
私は、そんな雨宮さんを尊敬しますし、
社員のみなさんも、
きっとそうお思いなのではないでしょうか。
雨宮さん、お忙しいなか、
ご協力いただきありがとうございました!
これからもご指導、ご鞭撻を賜りますよう、
お願い申し上げます。
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昨年11月のオフ会以来ですが、
相変わらず、素敵というか、ダンディなかたでした。
みなさまよくご存じのとおり、雨宮さんは、
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様々な形で私どもにアドバイスをしてくださっています。
雨宮さんご自身、黎明期から
インターネットに携わってこられた経験を生かして、
同社では、ウェブを活用した企業コミュニケーション、
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思っていた以上に、対「社内」において
その効果を実感しておられるそうです。
社員のみなさんに対して、なぜその指示を出したか、
その背景や社長の考えを補足する効果があり、
理解が早くなるとおっしゃっていました。
もちろん、インターネットのプロである同社では、
イントラネットも構築しておられて、
社内の意思疎通は、本来お手のもののはずですが、
なぜブログで発信されるのか。
雨宮さんのお答えは次のようなものでした。
社長のみなさま方は、深く頷かれることと思います。
「社長が身内と外部向けと情報の内容を変えて
発信する意味は、ほとんどなくなってきている
と思います。社内向けに発信していることを外
部に出してしまったほうが、賛同してくださる
人=同志が見つかりやすい。もはやどのような
業界、企業においても、自社だけで仕事が完結
する時代ではありませんからね。いろいろな方
々と協力しないと仕事は進みません」
さて、雨宮さんのブログを拝見させていただいていると、
ときどき、ご本人のものづくりや工業デザインに関する、
深い造詣が垣間見られる記事を書かれています。
雨宮さんは美大をご卒業されたあと、
12年も工業デザイナーをしておられましたから、
不思議なことではないのかもしれません。
そのことに水を向けると、雨宮さんはこうおっしゃいました。
「工業デザイナー時代、私を長い目で見て、鍛
えてくださった方がおられます。いまの事業と
はストレートに関わりはないかもしれませんが、
ご恩返しのつもりで、教えてくださったことを
忘れていないこと、いまの私のなかに生きてい
ることをなんらかの形でお伝えしたくて書いて
いるんです」
照れくさいから書くのは止めてくれ、と
ご本人から言われていたような記憶もありますが、
雨宮さん、すみません、書いちゃいました。
私は、そんな雨宮さんを尊敬しますし、
社員のみなさんも、
きっとそうお思いなのではないでしょうか。
雨宮さん、お忙しいなか、
ご協力いただきありがとうございました!
これからもご指導、ご鞭撻を賜りますよう、
お願い申し上げます。
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2008年02月07日(木)更新
【取材日記】リサイクルワン 木南陽介さん
過日、経営者会報3月号『異能経営者がゆく!』の取材で、
リサイクルワンの木南(きみなみ)陽介社長にお会いしてきました。
1974年生まれの33歳とお若く、
バイタリティに満ちた木南社長率いるリサイクルワンは、
社長さんの個性そのままに、知的かつ活気に満ちあふれた会社でした。
同社は、おそらく、日本で唯一といっていいビジネスモデルで
躍進を続けています。
地球温暖化など、深刻化する環境問題に関連して、
企業に対する社会的要請(リサイクル等、環境負荷を小さくするための処置)の
水準は、年々高まっています。
しかし現実問題、どういった環境技術があるのか、
どこに頼めば適切な処置ができるのかは、
なかなか把握できません。
同社では、信頼できる環境ビジネス業者を多数、会員登録し
技術を探している企業にとってのベストなマッチングを提案しているのです。
2000年の創業で、いま年商17億円ですから、
急成長しているといっていいでしょう。
■リサイクルワン ホームページ>>>
http://www.recycle1.com/
実は木南社長は、一度、京都大学在学中にシステム開発事業をメインに
IT関連企業を立ち上げています。96年のことです。
IT業界のバブルが膨らんでいく時期で、
業績を順調に伸ばしていきます。
しかし、面白さの半面、むなしさも覚えたとおっしゃいます。
「儲かるだけで喜びはあるし、夢中でやっているときは
いいんですが、ふと冷静になると、一体何をやっている
んだろう、という気持ちになりました。収益よりも、自
分が関わることで社会がどう変わるか、そういうことの
ほうに関心がありましたし、そんな仕事がしたかった」
木南社長は、大学卒業後、コンサルティングファームのマッキンゼーに入社。
再度、起業するうえでの勉強のための選択だったそうです。
そして、満を持して2000年の5月30日、いわゆる「ごみゼロの日」に
会社を起こしました。
「もともと環境問題に関心はありました。学者として研
究する、官僚になって法改正や制度の整備に励む、と選
択肢はありました。しかし制度は実はかなり整えられて
きていましたし、問題はむしろ、民間のプレイヤーがい
ないことだった。ならば、自分がそのプレイヤーになろ
うと思ったんです」
木南さんの世代には、いわゆるネット起業家が少なくありません。
そのなかには、事業意欲と個人の欲とが混沌と混じり合っているような
人もちらほら見受けられます。
もちろん、起業動機は人それぞれでよい。
とはいえ、ベンチャー企業の創業期は、
体質的に社長に似た人が集まる傾向があります。
社長の気質や考えに賛同する人が集まり、
それが、企業風土や企業文化の原型を形作っていく。
健全に成長していけるかどうか、まずは、
社長その人のパーソナリティにかかっていると
思うのです。
リサイクルワンさんの社内は、みずみずしい若さと活気に満ちていました。
たった1時間半ほどの取材でしたが、
木南さんたち創業メンバーの理念、志に共鳴、共感した人たちが
集まっているのだなと、強く感じた次第です。
ちなみに同社では、新人さんが毎年、その年の決意を示すため、
書き初めをすることになっています。
こういうことを大まじめにやれる社長さんも会社も、私は好きです。
詳しくは、3月1日発行予定の経営者会報3月号を
お手にとっていただければと思います。
木南さん、社員のみなさま、
お忙しいなか、ご協力いただきありがとうございました!
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リサイクルワンの木南(きみなみ)陽介社長にお会いしてきました。
1974年生まれの33歳とお若く、
バイタリティに満ちた木南社長率いるリサイクルワンは、
社長さんの個性そのままに、知的かつ活気に満ちあふれた会社でした。
同社は、おそらく、日本で唯一といっていいビジネスモデルで
躍進を続けています。
地球温暖化など、深刻化する環境問題に関連して、
企業に対する社会的要請(リサイクル等、環境負荷を小さくするための処置)の
水準は、年々高まっています。
しかし現実問題、どういった環境技術があるのか、
どこに頼めば適切な処置ができるのかは、
なかなか把握できません。
同社では、信頼できる環境ビジネス業者を多数、会員登録し
技術を探している企業にとってのベストなマッチングを提案しているのです。
2000年の創業で、いま年商17億円ですから、
急成長しているといっていいでしょう。
■リサイクルワン ホームページ>>>
http://www.recycle1.com/
実は木南社長は、一度、京都大学在学中にシステム開発事業をメインに
IT関連企業を立ち上げています。96年のことです。
IT業界のバブルが膨らんでいく時期で、
業績を順調に伸ばしていきます。
しかし、面白さの半面、むなしさも覚えたとおっしゃいます。
「儲かるだけで喜びはあるし、夢中でやっているときは
いいんですが、ふと冷静になると、一体何をやっている
んだろう、という気持ちになりました。収益よりも、自
分が関わることで社会がどう変わるか、そういうことの
ほうに関心がありましたし、そんな仕事がしたかった」
木南社長は、大学卒業後、コンサルティングファームのマッキンゼーに入社。
再度、起業するうえでの勉強のための選択だったそうです。
そして、満を持して2000年の5月30日、いわゆる「ごみゼロの日」に
会社を起こしました。
「もともと環境問題に関心はありました。学者として研
究する、官僚になって法改正や制度の整備に励む、と選
択肢はありました。しかし制度は実はかなり整えられて
きていましたし、問題はむしろ、民間のプレイヤーがい
ないことだった。ならば、自分がそのプレイヤーになろ
うと思ったんです」
木南さんの世代には、いわゆるネット起業家が少なくありません。
そのなかには、事業意欲と個人の欲とが混沌と混じり合っているような
人もちらほら見受けられます。
もちろん、起業動機は人それぞれでよい。
とはいえ、ベンチャー企業の創業期は、
体質的に社長に似た人が集まる傾向があります。
社長の気質や考えに賛同する人が集まり、
それが、企業風土や企業文化の原型を形作っていく。
健全に成長していけるかどうか、まずは、
社長その人のパーソナリティにかかっていると
思うのです。
リサイクルワンさんの社内は、みずみずしい若さと活気に満ちていました。
たった1時間半ほどの取材でしたが、
木南さんたち創業メンバーの理念、志に共鳴、共感した人たちが
集まっているのだなと、強く感じた次第です。
ちなみに同社では、新人さんが毎年、その年の決意を示すため、
書き初めをすることになっています。
こういうことを大まじめにやれる社長さんも会社も、私は好きです。
詳しくは、3月1日発行予定の経営者会報3月号を
お手にとっていただければと思います。
木南さん、社員のみなさま、
お忙しいなか、ご協力いただきありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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