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2007年08月15日(水)更新

こんな経営者にお会いしてきました ─セコム創業者・飯田亮さん─

数年前、経営者会報の対談記事でお会いし、
そのあとも何度か取材をさせていただいた
セコム最高顧問の飯田亮さん
抱いていたイメージ通りの
とてもダンディな方でした。

1933年のお生まれですので、対談当時、
すでにお年は70を超えてらしたはずですが、
背筋はぴんと伸び、ほほえみを絶やさない。

その対談中、
飯田さんは、ご両親に温かくも厳しく育てられた
思い出を話しておられました。曰く、


「幼い頃、父に連れられて外出したときなど、
駅で疲れてしゃがみこもうとすると、父から
『しゃがむんじゃない。しゃがんでいる人を
見てごらん。恰好悪いだろう』と叱られまし
た。母は、私がため息をついたときには必ず
『ため息をついてはいけない』と厳しく諭す。
不思議なもので、そんなふうに躾けられてい
るうちに、ため息をつかなくなりました」


しゃがむのもため息をつくのも、
その行為がさらに自分の心理に影響して、
余計にマイナス思考になるように思います。
まったく及ばないながら、
私もこのお話を聞いてちょっと実践しようと思った次第です。

さて、対談前、早めにお越しになった飯田さんは、
当社でカメラを担当しているS君(現在40歳)に対してしきりと話しかけ
ふと私が気づくと、
「ほお、Sさんは猫がお好きですか。猫は可愛いよね」
などと会話が弾んでいました。

さらに驚いたのはこのあとです。
S君はそれ以前に一度、飯田さんの取材で撮影をさせていただいたことがあり
この対談の時は新婚ほやほや。

飯田さんは、彼の左手の指輪を見るなり、
「君、ご結婚なさったの?」
彼が「はい」と、おのろけ顔で言うと、間髪入れず
「そうか、それはおめでとう」
と祝福してくださったのです。

普通は事務方にはあまり話しかけたりしないのが、このクラスの人ですが
飯田さんは分け隔てはなさらない。そこにスケールの大きさを感じました。

一方で、一度しか会っていない事務方を覚えており、
しかも指輪のことまで見ている注意力と記憶力にも驚きました。
『大物』というと、細かいことにはかまわない、豪快な人を想像しがちですが
本当の大人物は、実は濃やかなのかもしれません。

だからこそ、周囲の人を魅了し、自ずと事業が育っていくのではないか。
そんなことを感じました。

     *        *        *

こんな形で、今後も、過去お会いした、立派な経営者のお話を、
ときどき書いていきたいと思っています。お目通しいただけたら
幸いです。


■セコム株式会社>>>
http://www.secom.co.jp/

(編集部・酒井俊宏)



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