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2015年10月20日(火)更新

『吉田基準』が示す、これからの日本のモノづくり


前回に引き続き、弊社の新刊をご紹介させていただきます。

今月発売の吉田基準です。
(※「吉」の字は、上が「土」の字です。以下同)



吉田基準──価値を高め続ける吉田カバンの仕事術

吉田カバン ホームページ
 >>>


基準、というと、昨今、建築基準であるとか
規制であるとかを連想される方も多いと思いますが、
これは、「吉田カバン」というカバンメーカーの、
企業としての「仕事」の進め方や考え方が記された本です。

吉田カバン、正式社名は株式会社吉田といいます。
「PORTER」(ポーター)「LUGGAGE LABEL」(ラゲッジ レーベル)などのブランド名のほうがよく知られているかもしれません。
若々しいイメージ、男性向けのイメージがありますが、実際には老若男女問わず、人気です。

もっている人を街なかや電車の中などでよく見かけますし、知っている人は多い、
吉田カバンの商品ですが、実はすべて「メイドインジャパン」であることをご存じでしょうか。

アパレル業界では、最終的に縫製を行なった場所を「生産国」にすることができますが、
同社はすべての工程を国内で行なっています。いわば真性のメイドインジャパンといえます。

もう一つ、大きな特徴が、自社内でカバンを製造するのではなく、
長いおつきあいのある外部の職人さん
(同社では必ず「職人さん」と敬意を表して“さん”づけする)と
工房に委託しています。

新しい製品は、社内のデザイナーの方と、外部の職人さんの「二人三脚」で生み出されています。
しかもすべてが手作業です。

創業80年を迎えた同社は、ずっとそうやって生き残り、堅実な成長を遂げてきました。
創業者である故・吉田吉蔵氏の創業の志と、ものづくりにかけた矜持が、そのもととなりました。

本書では、吉蔵氏の次男で三代目社長にあたる吉田輝幸氏が、
吉田カバンのものづくりと経営哲学、創業者の志を語ってくださいました。
外部の腕利きの職人さんや、デザイナー、さらに晩年の吉蔵氏からカバンの手縫いの真髄を学んだ、
輝幸氏のお姉さん・野谷久仁子さんの声も、収めています。

タイトルにある「吉田基準」とは、吉田カバンの社内で使われている言葉ではありません。
外部の職人さんたちの間で、同社のものづくりに関する要求水準の高さを指して、
誰ともなく使い始めた言葉だそうです。

本書では、同社と外部の職人さんたちが手を携えて取り組む、
ものづくりの1つの「理想形」が描かれています。
同時に、究極のプロダクトアウトを軸にした、「広告を打たない」「値引きはしない」
「修理は必ずつくった職人さんに任せる」
といった、
独自性ある同社の仕事の進め方も、あきらかにしていきます。

吉田カバンの「モノ」については、ファッションやモノ系の雑誌・ムックなどでよく紹介されますが、
「ヒト」と「仕事」については、これまでそれほど明らかにされていませんでした。

ものづくりに携わる人はもちろん、すべてのビジネスリーダー、ビジネスパーソンに、
手に取っていただきたい一冊です。





【追記】
私は、もともと吉田カバンのユーザーでファンでしたが、本書の製作に携わって、もっともっと吉田カバンが好きになりました。なお、本書も『「ネジザウルス」の逆襲』同様、雑誌『ニュートップリーダー』での取材がきっかけの1つとなっています。中小企業の経営に資する書籍を、今後も発刊してまいります。ご期待ください。
 
(編集部・酒井俊宏)

2015年10月15日(木)更新

『「ネジザウルス」の逆襲』に、中小企業はなにを学べるか


みなさんは、「ネジザウルス」という工具をご存じでしょうか。

一見、普通のペンチのようですが、
ネジ頭がつぶれてしまったりドライバーの入る溝がつぶれてしまった、
いわゆる「なめた」ネジを、しっかりつかんではずすことのできるすぐれものです。

工具の世界では、1万本売れれば大ヒットだそうで、そうした業界にあって、
2002年の発売以来、なんと250万本を超える、破格のヒット商品となっています。
この「ネジザウルス」のヒットは、多くの中小企業を勇気づけるヒントに満ちています。

・「ネジザウルス」にネーミングを変えるまでは売れなかったこと
・ヒットしたあと「もう十分売れたしこれ以上売れない」と小売店さんに言われてもあきらめず、
トップ以下、知恵を絞って新たな機能を追求したこと
・ネジザウルスのヒットを通して、ヒットを生み出す法則をとらえたこと 等々……。

このたび、ネジザウルスを開発した
株式会社エンジニア社長・髙崎充弘さんが、
貴重なご経験をまとめた本を当社より上梓されました。




『「ネジザウルス」の逆襲』

とくに、ヒットを生み出したうえ、そのヒットした商品をさらに大きく売り伸ばしたことは、
中小製造業関係者のみならず、業種を問わず、すべてのビジネスパーソンにとって
教訓になると思います。
従業員のみなさんの、モチベーションアップや組織としての一体感の醸成にも役立つヒントも満載です。

本書は、もともと「ニュートップリーダー」で取材をさせていただいたり、
対談にご登場いただいたりしたことでご縁をいただき、
担当編集者がお声がけをさせていただいて、発刊の運びとなりました。
ネジザウルスを愛用されている所ジョージさんに、オビに登場いただいています。
書店の店頭で、すっと目に入ってくるはずです。

そして、こちらもぜひご覧ください。
東洋経済オンラインに髙崎さんご自身が寄稿をされています。
商品開発や、売り伸ばしに課題を感じる中小製造業経営者、関係者のみなさんにとって、
多くの教訓が示されています。(↓)

『隠れた巨大ヒット「ネジザウルス」の秘密』

『「ネジザウルス」をヒットに導いた3つの秘訣』

株式会社エンジニア


今回、ひさしぶりのアップですが、あえて当社商品のご紹介をさせていただきました。

雑誌媒体を通して、中小企業の経営者をお手伝いし、中小企業の経営に資するのが、
『経営者会報』『ニュートップリーダー』を通じて、私どもが心がけてきたことでした。
このような書籍の発行も、同趣旨の取り組みといえます。

経営者のみなさま、中小企業関係者のみなさまのお役に立てるよう、
引き続き、さまざまな形で情報発信してまいります。
なにとぞよろしくお願いいたします。
 
(編集部 酒井俊宏)


 

2014年06月05日(木)更新

【取材日記】シューズセレクション社長 林 秀信さん


ニュートップリーダー6月号『連載・一点突破の経営』では、
傘の国内トップメーカーで小売も行なう、
シューズセレクション・林秀信社長にご登場いただいています。
偶然なのですが、梅雨時の6月号でのご登場です。

「傘なのにシューズ?」と怪訝に思われる人もいるかもしれませんが、
これは、林社長の「秀」の字を「シュー」と読みかえているのです。
「秀さんのセレクション」の意です。

ブランド名は「water-front」。
持っているという人も多いのではないでしょうか。

林さんです。



■シューズセレクション >>>

くわしくはニュートップリーダー6月号をご覧いただきたいと思いますが、
記事をまとめられたコンサルタント・福永雅文氏の文章からの引用も交えつつ、
少しだけ、ご紹介します。

林社長は、もともと飲食店などを経営し、成功を収めていました。
ものづくりに携わる事業をしようと、40歳のときに決意。
同社を立ち上げ、傘業界に参入するのです。

ホームページをご覧いただければおわかりになると思いますが、
同社の傘は非常に品揃えが多く、高機能・高品質。

一例を挙げると、2000年に売り出した、
背広の内ポケットにおさまる超コンパクトな『ポケフラット』シリーズは
月間30万本を売り上げる大ヒットとなりました。
しかも希望小売価格は500円(税抜き)。

林社長は次のように振り返ります。

「コストを積み上げて500円にしたのではなく、はじめに、
タクシーの初乗りよりも安いワンコイン、500円で、品質、
機能、デザイン、カラーで優れたものをつくることを決めま
した」


値決めこそ経営者の仕事、とはよく言われることですが、
同社のように大きく成功している例は、意外と聞こえてきません。
しかし、本来、事業とはそうあるべきではないでしょうか。



(直営店・東京自由が丘の「クール・マジック・シューズ」)

林社長は、傘業界の常識を一つ、打ち破っています。
「アソート販売」です。

カラフルな傘をセット売りすることで、売り場全体が賑やかになり、
雨の日にしか売れなかった傘が、晴れた日にファッション雑貨として
売れるようになったそうです。

成熟産業といわれた傘業界においても、
経営者次第で、ここまで市場を切り拓くことができたわけです。
林社長の成功には、学ぶべき点が非常に多いと思います。

くわしくお知りになりたい方は、ぜひ本誌6月号を、
そして、林社長ご自身が書かれたこちら↓のご本、
『晴れの日に、傘を売る。』も、ぜひ、ご覧ください。
もちろん、直営店に足を運ばれるのも、よいと思います。


 
(編集部 酒井俊宏)





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2014年01月28日(火)更新

【取材日記】和郷園代表理事 木内博一さん


過日、ニュートップリーダー2月号の取材で、
ランチェスター戦略コンサルタント・福永雅文さんに随行して、いま大いに注目されている
農事組合法人・和郷園をお訪ねし、代表理事の木内博一さんにお話をうかがってきました。

詳しくは、本誌にて福永氏の連載『一点突破の経営』を
ご覧いただきたいと思いますが、少しだけ紹介いたします。

和郷園は、千葉県北東部を中心に多くの農家を
組織化して「六次産業化」を果たしました。

六次産業化とは、念のため記しますと、一次産業に従事する生産者が、
加工(二次産業)および流通(三次産業)まで視野に入れた展開をはかること(1×2×3=6)。
同法人は、その代表的な成功例として注目されています。
その和郷園を設立されたのが木内さんです。



(撮影・photographer 山本信介)

◇和郷園 >>>


和郷園の取り組みは、一見するとシンプルです。

「野菜は鮮度を最優先する」
「穫れすぎた旬の野菜は冷凍保存し、旬でない時期に流通させる」
「形のよくない野菜は加工して市場に出す」────

いずれも、そう言われてみれば、なるほど、と思えます。
それなのに、同社ほどの規模で組織的に成果を上げている例があまりみられないのは、
考えつくことと、実際に遂行するのとでは違うことを如実に示しているようです。

農家に生まれた木内さんは、
「苦労が報われる農業にしたい」との思いで、
様々な挑戦を重ね、賛同する農家も増やしていきました。
現在その数は92軒にものぼります。

ふと、「やらなければならないこと」や「実現できたらみんなが喜ぶこと」は、
案外明確に存在しているのかもしれない、と思いました。
それ以上に大きな問題として、その課題の実現に、
「誰」が「どこまで真剣に取り組んでいるか」その点にあるのではないか、とも……。

大事を成し遂げる経営者の要件を、
木内さんに教えていただいた気がします。
ありがとうございました。

TPP参加も日本の農業が世界にはばたくチャンスと
前向きにとらえる木内さんの記事、読めば元気になれます。
ぜひご一読ください!
(編集部 酒井俊宏)


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2013年10月31日(木)更新

【取材日記】イシド(石戸珠算学園)会長 石戸謙一さん


過日、取材で、千葉県白井(しろい)市の白井そろばん博物館にお邪魔し、
同館館長の石戸謙一さんにお話をうかがってきました。

くわしくは11月1日発行の月刊ニュートップリーダー11月号
連載『小よく大を制す ビジネス兵法』をお読みいただきたいと思いますが、
少し、ご紹介します。

石戸さんは、石戸珠算学園(運営企業・イシド)の創設者で現会長。
そろばん塾業界の革命児です。

それまで、いわば厳しい修行の場、就職に有利な資格を取得する場であったそろばん塾を、
「子供のための楽しい学びの場」と定義して幼稚園児から学べるようにすることで人気を博し、
業界における新たな流れをつくります。

腕の立つ段持ちの先生を採るのはやめ、素直で性格のよい若者に理念とそろばんを教えて、
先生として育成する形に変えたのだそうです。



↑石戸さんです。


◇イシド >>>
◇石戸珠算学園 >>>

具体的にどういう指導かといいますと、
その子にとっての小さな課題を見つけてあげて、
「すごいね。あとちょっと、ここに気をつけてがんばると、もう5点取れちゃうよ」
というふうに、小さな成功体験を積ませて褒めながら、
やる気にさせるのが基本のスタイルだそうです。

そろばんであきらめない心、努力するクセをつける「いしど式」は、
一生モノの生きる力を身につける、
効果的な幼児教育法としても注目されています。

そろばんは、段持ちにでもならないかぎり、「学んだ」と胸を張っていえない空気もあって、
かつて勉強したことのある人でも、挫折感とともに、距離を置く感覚でいたりするようです。

石戸さんは、そんな風潮をなんとかしたいという思いを強くおもちです。
上記のような手法にいたったのも、そろばんは本来楽しいもの、と思ってきたからだそう。

会長に退いたいまは、2年前に地元にオープンした「白井そろばん博物館」の館長として
そろばんの楽しさを教える伝道師としての仕事に力を入れています。

「ここ(そろばん博物館)を白井市の新名所にして、町おこしに力を入れていきたいんです」
と語る石戸さんからは、大変僭越ながら「私欲」のようなものがまるで感じられませんでした。
大をなす創業者は、そうしたところが共通しているように思います。

以下はそろばん博物館の写真です。
歴史的に価値あるそろばんも多数収蔵され、
見応えのあるコレクションが並んでいました。





◇白井そろばん博物館 >>>
 
(編集部 酒井俊宏)

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