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2007年12月19日(水)更新

【取材日記】一澤信三郎帆布・一澤信三郎さん

先日、経営者会報新年1月号掲載予定の
「異能経営者がゆく!」の取材で、
京都の有名なかばん屋さん・一澤信三郎帆布さんに
取材をさせていただきました。

お相手はお名前がそのまま社名になっている、
一澤信三郎さん。
信三郎さんいわく「私なんかよりはるかに働き者」という
素敵な奥様、恵美取締役も、途中からご同席くださいました。

ごふうふ

■一澤信三郎帆布のHP >>>
http://www.ichizawashinzaburohanpu.co.jp/cgi-bin/index.cgi

テントなどに使われる丈夫な帆布を使用し、
縫製にも染めにもこだわった同社の職人手作りのかばんは
京都・知恩院近くにある本社店舗でしか手に入りません。
創業2年めですが、全国に多くのファンをもっています。

取材前に当社のカメラマンが撮った写真です。
平日午前9時の開店前に、
すでにこんなにお客さんが並んでいます。

おみせ

ご存じの方も多いかと思いますが、
信三郎さんは、有名な「一澤帆布」の後継者として、
先代である父・信夫氏を助け、
一澤帆布のブランドを全国区にした人です。

信三郎さんは、大学を卒業後、
大手新聞社の大阪支社で勤務したのち、
30歳そこそこで京都に戻って3年後に社長に就任。

百貨店などから引き合いがすごかったにもかかわらず、
信三郎さんはお父上譲りの頑固さで本店舗のみの販売を貫き、
そのことで希少価値も生まれました。

大いに業績は伸びましたが、ある事件が起こります。
信三郎さんの長兄である信太郎氏が、
先代・信夫さんが亡くなられたあと、
信三郎さんに株式の大半を譲るとした遺言書と
まったく相反する内容の、
後日付の遺言書の存在を明らかにしてきたのです。

信太郎氏は、都市銀行で銀行員を勤め、
家業にはほとんどタッチしていなかったそうです。

最高裁で遺言書の真偽が争われ、
信三郎さんは実質敗訴してしまいます。
2004年のことです。
翌年には社長を解任されてしまいます。

メディアですでにさんざん報道された“事件”なので
ほどほどに記しておきますが、
重くて大きな一つの事実があります。

それは、旧・一澤帆布の社員は全員が信三郎さん側についた
ということです。そのため、信太郎氏の一澤帆布は、
一時的に休業を余儀なくされています。

私見ですが、
これほど明確な「ジャッジ」はないと思っています。

強制執行で工場から立ち退きを命じられた信三郎さん以下は、
新たに「一澤信三郎帆布」を創業。

それまで手がけてこなかった柄ものなどラインナップも
大幅に増やしたにもかかわらず、
強制執行の日から、なんと一か月後の2006年4月6日、
オープンに漕ぎ着けます。
しかも初日に訪れたお客さんはなんと4000人。
いまも多い日だと一日1500点は売れるそうです。

しんざぶろうかばん

なぜ信三郎さんに社員の皆さんがついていったのか。
なぜ、「いままでどこに隠しとったんや、ちゅうくらいの
やる気と気概を見せてくれた」
(信三郎さん)のか──

詳しくは、経営者会報・新年1月号を
ぜひ、ご覧いただければと思います。

余談ながら、ひょうひょうとした語り口の信三郎さんの、
綺麗な京都弁を活かしたくて、今回の記事は
ほとんどおっしゃったままに再現しています。

通常は、いわゆる方言を活字にすると、
ニュアンスやイントネーションがうまく伝わらないことが多いため、
ほぼ標準語にして記事にしていますが、
今回はあえてトライしてみました。

結果は見てのお楽しみですが、
かなりの臨場感ある記事となりました。
もちろんそれは、お話に内容があるからにほかなりません。

さらに余談ながら、下の写真のかばん、
つい、自分用に購入してしまいました。

ぬのかばん
(自宅テーブル上にて)

ブログを書き出してから休みの日もデジカメを持ち歩くようになり、
仕事用ではない、こんなサイズの(ジャストA4)かばんを探していました。
まさに一目惚れ状態でした。

デザイン、皮の使いかた、縫製、生地の強さ、柔らかさと、
すべてが好みでした。大事に使わせていただきます。

信三郎さん、恵美さん、社員のみなさん、
ありがとうございました!

(編集部・酒井俊宏)



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2007年12月14日(金)更新

【ブログピックアップ】双和食品工業・高尾幸子さん

「ブログピックアップ」では、
経営者のみなさんの書かれたブログの中から、
お薦めのブログをご紹介しています。

今回のお薦めブログは双和食品工業高尾幸子さんです。
 
 *      *      *


年賀状を出す準備のため、名刺の整理をした。

社長となって、人とお会いする機会が増え、名刺の数も

かなりの量で、整理するのが大変になった。

(続きはこちら)>>>
http://oukoku.keikai.topblog.jp/blog/104/10007123.html

 *      *      *
 

私ふぜいでも、一年にお会いする方、いただいた名刺の量はかなりの数になりますが、
社長ともなると、私の比ではないことと思います。
ご苦労を察します。
 
ところで、高尾さんのブログのおかげで、
自分がまだなにも年賀状がらみで着手していないことに気づきました。

高尾さんを見習って、いただいたご縁に感謝しながら、
この一年を振り返ってみようと思った次第です。

(編集部・酒井俊宏)



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2007年12月06日(木)更新

【ブログピックアップ】フットマーク・磯部成文さん

「ブログピックアップ」では、
経営者のみなさんの書かれたブログの中から、
お薦めのブログをご紹介しています。

今回のお薦めブログはフットマーク磯部成文さんです。
 
 *      *      *


本日冬の賞与を支給することになりました、ハイ

私はテーブルの上にずらりと並べた一人ひとりの賞与の封筒を見て、
毎年つぶやきます。

「賞与は現金でお渡ししたいです。
 本当は銀行から賞与を振り込みたくないんです」

(続きはこちら)>>>
http://footmark.keikai.topblog.jp/blog/102/10007042.html

 *      *      *
 

取材でお話をうかがっていると、
磯部さんと同じ思いをおもちの経営者は多数いらっしゃると感じます。
現金支給は無理でも、
明細は手渡ししているというかたもおられました。
 
私の子供の頃は、現金支給が当たり前。

母は、日立系列の企業に勤める父から月給や賞与の袋を預かると、
いつも、居間の神棚に賞与の袋を立てかけて拝んでいました。

よく「給料や賞与が銀行振込になってからオヤジの威厳がなくなった」
と嘆く人がいますが、たしかに当時は視覚的に、
「ああ、父ちゃんに感謝しなきゃな」
と素直に思えたものです。
 
社長は社員に感謝の念を込めて手渡しし、
一家の大黒柱は、感謝の気持ちを込めて奥さんに手渡す──。
「お金」を介して感謝の念をやりとりするような時代が、たしかにありました。
そんなことを考えると、当時のお金には、
いま以上の価値があったように思えてなりません。

(編集部・酒井俊宏)



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2007年12月06日(木)更新

【取材日記】伊藤景パック産業・伊藤景一郎さん

去る11月30日、月刊経営者会報・新年1月号掲載予定の
「特集 社長の品格」の取材で、
東京・台東区に本社を構える伊藤景パック産業さんに
取材をさせていただきました。
お相手は同社三代目の伊藤景一郎さん。

正直、「品格」という言葉自体、『国家の品格』『女性の品格』と
ベストセラー本が続き、もはやブームを超えた観があります。
手垢がついてしまっている言葉かもしれませんが、
このところ食品メーカーを中心に企業の不祥事が頻発していることを受け、
社長の「品格」をテーマとして採りあげることにしました。

私自身は、本来、社長本人であれ経営姿勢であれ、
当然に品格を含んでいるものでなければならず、
そうでないかぎり、短期的に利益を上げることはできても、
決して“永続”はしないのではないか、と考えています。

伊藤景パック産業さんは、その典型といえる永続企業です。

経木屋さんとして現社長のお祖父様が明治43年に創業し、
現在では、ケーキなどお菓子のパッケージングを企画から提案、
多くの食品メーカー、ケーキ屋さん、スーパーなどから
頼られる存在になっています。

時代に合わせて微妙に業態を変えてきていますが、
立派な老舗といえるでしょう。

伊藤社長は、ご覧の通り、フランクな印象でありながら、
内面の品格を感じさせる方でした。

いとうさん

■伊藤景パック産業 HPはこちら 
>>> http://www.itokei.com/

伊藤さんには、ご自身が考えるトップの品格の定義や、
不祥事が起こる背景、メカニズムについて、
ご意見をうかがいました。

くわしい話は、1月発行予定の経営者会報1月号を
ご覧いただきたいと思いますが、
印象深かったご発言を少しだけ、ご紹介します。

「私だけじゃないと思いますが、経営者は臆病なんです。
倒産させてしまった夢をよく見ます。びっしょり汗をか
いて目覚める。こうなってはいけないなということをい
つも思っています。お取引先、社員、お客様とすべての
方に多大なご迷惑をおかけするわけですからね」


そのためには適正な利潤を上げ続けなければならないと、
おっしゃり、こう続けます。

「品格とは「存在価値」と言い換えてもよいと思います。
利益をきちんと上げている会社は、必ずお客様から価値、
商品価値も含めてその企業に対して高い価値を認められ
ている。不祥事が露見するようなことを陰でやっている
企業というのは、自ら存在価値を損なうリスクをつくっ
てしまっている。まったく理解ができません」


実際、多くの良心的な経営をしておられる社長さんにとっては、
このところの企業不祥事は、迷惑千万な話なのでしょう。

ところで、伊藤さんは終始、

「本当に私に語る資格があるのでしょうか。品格どころ
か品すらないですし」

とご謙遜しながら、慎重に言葉を選んで、
質問に答えてくださいました。

品格というのは、たしかに、
そうそう自覚できるものではないでしょうし、
自分に品格があるなどと思った瞬間に、
損なわれるものなのかもしれません。

ですが、同社の「品格」はこんなところに
よく現れていると思います。

はりがみ

取材にうかがう際、同社の玄関を入ってすぐの場所に掲げられていた
このボードに驚いていると、
忙しそうに玄関ホール前を通りがかった男性社員の方が、足を止め、
「いらっしゃいませ、ご案内はお済みでしょうか?」
と私に声をかけてくださいました。

この応対の素晴らしさといい、ボードの件といい、
社長さん以下、みなさん、
ごく自然なホスピタリティを
おもちなのです。

品格の定義は、人それぞれだと思いますが、
私は、企業の品格とは、つまりこういうことなのだ、
と感じ、この時点で、取材の成功を確信した次第です。

(編集部・酒井俊宏)



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