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2015年10月20日(火)更新

『吉田基準』が示す、これからの日本のモノづくり


前回に引き続き、弊社の新刊をご紹介させていただきます。

今月発売の吉田基準です。
(※「吉」の字は、上が「土」の字です。以下同)



吉田基準──価値を高め続ける吉田カバンの仕事術

吉田カバン ホームページ
 >>>


基準、というと、昨今、建築基準であるとか
規制であるとかを連想される方も多いと思いますが、
これは、「吉田カバン」というカバンメーカーの、
企業としての「仕事」の進め方や考え方が記された本です。

吉田カバン、正式社名は株式会社吉田といいます。
「PORTER」(ポーター)「LUGGAGE LABEL」(ラゲッジ レーベル)などのブランド名のほうがよく知られているかもしれません。
若々しいイメージ、男性向けのイメージがありますが、実際には老若男女問わず、人気です。

もっている人を街なかや電車の中などでよく見かけますし、知っている人は多い、
吉田カバンの商品ですが、実はすべて「メイドインジャパン」であることをご存じでしょうか。

アパレル業界では、最終的に縫製を行なった場所を「生産国」にすることができますが、
同社はすべての工程を国内で行なっています。いわば真性のメイドインジャパンといえます。

もう一つ、大きな特徴が、自社内でカバンを製造するのではなく、
長いおつきあいのある外部の職人さん
(同社では必ず「職人さん」と敬意を表して“さん”づけする)と
工房に委託しています。

新しい製品は、社内のデザイナーの方と、外部の職人さんの「二人三脚」で生み出されています。
しかもすべてが手作業です。

創業80年を迎えた同社は、ずっとそうやって生き残り、堅実な成長を遂げてきました。
創業者である故・吉田吉蔵氏の創業の志と、ものづくりにかけた矜持が、そのもととなりました。

本書では、吉蔵氏の次男で三代目社長にあたる吉田輝幸氏が、
吉田カバンのものづくりと経営哲学、創業者の志を語ってくださいました。
外部の腕利きの職人さんや、デザイナー、さらに晩年の吉蔵氏からカバンの手縫いの真髄を学んだ、
輝幸氏のお姉さん・野谷久仁子さんの声も、収めています。

タイトルにある「吉田基準」とは、吉田カバンの社内で使われている言葉ではありません。
外部の職人さんたちの間で、同社のものづくりに関する要求水準の高さを指して、
誰ともなく使い始めた言葉だそうです。

本書では、同社と外部の職人さんたちが手を携えて取り組む、
ものづくりの1つの「理想形」が描かれています。
同時に、究極のプロダクトアウトを軸にした、「広告を打たない」「値引きはしない」
「修理は必ずつくった職人さんに任せる」
といった、
独自性ある同社の仕事の進め方も、あきらかにしていきます。

吉田カバンの「モノ」については、ファッションやモノ系の雑誌・ムックなどでよく紹介されますが、
「ヒト」と「仕事」については、これまでそれほど明らかにされていませんでした。

ものづくりに携わる人はもちろん、すべてのビジネスリーダー、ビジネスパーソンに、
手に取っていただきたい一冊です。





【追記】
私は、もともと吉田カバンのユーザーでファンでしたが、本書の製作に携わって、もっともっと吉田カバンが好きになりました。なお、本書も『「ネジザウルス」の逆襲』同様、雑誌『ニュートップリーダー』での取材がきっかけの1つとなっています。中小企業の経営に資する書籍を、今後も発刊してまいります。ご期待ください。
 
(編集部・酒井俊宏)

2015年10月15日(木)更新

『「ネジザウルス」の逆襲』に、中小企業はなにを学べるか


みなさんは、「ネジザウルス」という工具をご存じでしょうか。

一見、普通のペンチのようですが、
ネジ頭がつぶれてしまったりドライバーの入る溝がつぶれてしまった、
いわゆる「なめた」ネジを、しっかりつかんではずすことのできるすぐれものです。

工具の世界では、1万本売れれば大ヒットだそうで、そうした業界にあって、
2002年の発売以来、なんと250万本を超える、破格のヒット商品となっています。
この「ネジザウルス」のヒットは、多くの中小企業を勇気づけるヒントに満ちています。

・「ネジザウルス」にネーミングを変えるまでは売れなかったこと
・ヒットしたあと「もう十分売れたしこれ以上売れない」と小売店さんに言われてもあきらめず、
トップ以下、知恵を絞って新たな機能を追求したこと
・ネジザウルスのヒットを通して、ヒットを生み出す法則をとらえたこと 等々……。

このたび、ネジザウルスを開発した
株式会社エンジニア社長・髙崎充弘さんが、
貴重なご経験をまとめた本を当社より上梓されました。




『「ネジザウルス」の逆襲』

とくに、ヒットを生み出したうえ、そのヒットした商品をさらに大きく売り伸ばしたことは、
中小製造業関係者のみならず、業種を問わず、すべてのビジネスパーソンにとって
教訓になると思います。
従業員のみなさんの、モチベーションアップや組織としての一体感の醸成にも役立つヒントも満載です。

本書は、もともと「ニュートップリーダー」で取材をさせていただいたり、
対談にご登場いただいたりしたことでご縁をいただき、
担当編集者がお声がけをさせていただいて、発刊の運びとなりました。
ネジザウルスを愛用されている所ジョージさんに、オビに登場いただいています。
書店の店頭で、すっと目に入ってくるはずです。

そして、こちらもぜひご覧ください。
東洋経済オンラインに髙崎さんご自身が寄稿をされています。
商品開発や、売り伸ばしに課題を感じる中小製造業経営者、関係者のみなさんにとって、
多くの教訓が示されています。(↓)

『隠れた巨大ヒット「ネジザウルス」の秘密』

『「ネジザウルス」をヒットに導いた3つの秘訣』

株式会社エンジニア


今回、ひさしぶりのアップですが、あえて当社商品のご紹介をさせていただきました。

雑誌媒体を通して、中小企業の経営者をお手伝いし、中小企業の経営に資するのが、
『経営者会報』『ニュートップリーダー』を通じて、私どもが心がけてきたことでした。
このような書籍の発行も、同趣旨の取り組みといえます。

経営者のみなさま、中小企業関係者のみなさまのお役に立てるよう、
引き続き、さまざまな形で情報発信してまいります。
なにとぞよろしくお願いいたします。
 
(編集部 酒井俊宏)


 

2014年06月05日(木)更新

【取材日記】シューズセレクション社長 林 秀信さん


ニュートップリーダー6月号『連載・一点突破の経営』では、
傘の国内トップメーカーで小売も行なう、
シューズセレクション・林秀信社長にご登場いただいています。
偶然なのですが、梅雨時の6月号でのご登場です。

「傘なのにシューズ?」と怪訝に思われる人もいるかもしれませんが、
これは、林社長の「秀」の字を「シュー」と読みかえているのです。
「秀さんのセレクション」の意です。

ブランド名は「water-front」。
持っているという人も多いのではないでしょうか。

林さんです。



■シューズセレクション >>>

くわしくはニュートップリーダー6月号をご覧いただきたいと思いますが、
記事をまとめられたコンサルタント・福永雅文氏の文章からの引用も交えつつ、
少しだけ、ご紹介します。

林社長は、もともと飲食店などを経営し、成功を収めていました。
ものづくりに携わる事業をしようと、40歳のときに決意。
同社を立ち上げ、傘業界に参入するのです。

ホームページをご覧いただければおわかりになると思いますが、
同社の傘は非常に品揃えが多く、高機能・高品質。

一例を挙げると、2000年に売り出した、
背広の内ポケットにおさまる超コンパクトな『ポケフラット』シリーズは
月間30万本を売り上げる大ヒットとなりました。
しかも希望小売価格は500円(税抜き)。

林社長は次のように振り返ります。

「コストを積み上げて500円にしたのではなく、はじめに、
タクシーの初乗りよりも安いワンコイン、500円で、品質、
機能、デザイン、カラーで優れたものをつくることを決めま
した」


値決めこそ経営者の仕事、とはよく言われることですが、
同社のように大きく成功している例は、意外と聞こえてきません。
しかし、本来、事業とはそうあるべきではないでしょうか。



(直営店・東京自由が丘の「クール・マジック・シューズ」)

林社長は、傘業界の常識を一つ、打ち破っています。
「アソート販売」です。

カラフルな傘をセット売りすることで、売り場全体が賑やかになり、
雨の日にしか売れなかった傘が、晴れた日にファッション雑貨として
売れるようになったそうです。

成熟産業といわれた傘業界においても、
経営者次第で、ここまで市場を切り拓くことができたわけです。
林社長の成功には、学ぶべき点が非常に多いと思います。

くわしくお知りになりたい方は、ぜひ本誌6月号を、
そして、林社長ご自身が書かれたこちら↓のご本、
『晴れの日に、傘を売る。』も、ぜひ、ご覧ください。
もちろん、直営店に足を運ばれるのも、よいと思います。


 
(編集部 酒井俊宏)





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2014年01月28日(火)更新

【取材日記】和郷園代表理事 木内博一さん


過日、ニュートップリーダー2月号の取材で、
ランチェスター戦略コンサルタント・福永雅文さんに随行して、いま大いに注目されている
農事組合法人・和郷園をお訪ねし、代表理事の木内博一さんにお話をうかがってきました。

詳しくは、本誌にて福永氏の連載『一点突破の経営』を
ご覧いただきたいと思いますが、少しだけ紹介いたします。

和郷園は、千葉県北東部を中心に多くの農家を
組織化して「六次産業化」を果たしました。

六次産業化とは、念のため記しますと、一次産業に従事する生産者が、
加工(二次産業)および流通(三次産業)まで視野に入れた展開をはかること(1×2×3=6)。
同法人は、その代表的な成功例として注目されています。
その和郷園を設立されたのが木内さんです。



(撮影・photographer 山本信介)

◇和郷園 >>>


和郷園の取り組みは、一見するとシンプルです。

「野菜は鮮度を最優先する」
「穫れすぎた旬の野菜は冷凍保存し、旬でない時期に流通させる」
「形のよくない野菜は加工して市場に出す」────

いずれも、そう言われてみれば、なるほど、と思えます。
それなのに、同社ほどの規模で組織的に成果を上げている例があまりみられないのは、
考えつくことと、実際に遂行するのとでは違うことを如実に示しているようです。

農家に生まれた木内さんは、
「苦労が報われる農業にしたい」との思いで、
様々な挑戦を重ね、賛同する農家も増やしていきました。
現在その数は92軒にものぼります。

ふと、「やらなければならないこと」や「実現できたらみんなが喜ぶこと」は、
案外明確に存在しているのかもしれない、と思いました。
それ以上に大きな問題として、その課題の実現に、
「誰」が「どこまで真剣に取り組んでいるか」その点にあるのではないか、とも……。

大事を成し遂げる経営者の要件を、
木内さんに教えていただいた気がします。
ありがとうございました。

TPP参加も日本の農業が世界にはばたくチャンスと
前向きにとらえる木内さんの記事、読めば元気になれます。
ぜひご一読ください!
(編集部 酒井俊宏)


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2013年10月31日(木)更新

【取材日記】イシド(石戸珠算学園)会長 石戸謙一さん


過日、取材で、千葉県白井(しろい)市の白井そろばん博物館にお邪魔し、
同館館長の石戸謙一さんにお話をうかがってきました。

くわしくは11月1日発行の月刊ニュートップリーダー11月号
連載『小よく大を制す ビジネス兵法』をお読みいただきたいと思いますが、
少し、ご紹介します。

石戸さんは、石戸珠算学園(運営企業・イシド)の創設者で現会長。
そろばん塾業界の革命児です。

それまで、いわば厳しい修行の場、就職に有利な資格を取得する場であったそろばん塾を、
「子供のための楽しい学びの場」と定義して幼稚園児から学べるようにすることで人気を博し、
業界における新たな流れをつくります。

腕の立つ段持ちの先生を採るのはやめ、素直で性格のよい若者に理念とそろばんを教えて、
先生として育成する形に変えたのだそうです。



↑石戸さんです。


◇イシド >>>
◇石戸珠算学園 >>>

具体的にどういう指導かといいますと、
その子にとっての小さな課題を見つけてあげて、
「すごいね。あとちょっと、ここに気をつけてがんばると、もう5点取れちゃうよ」
というふうに、小さな成功体験を積ませて褒めながら、
やる気にさせるのが基本のスタイルだそうです。

そろばんであきらめない心、努力するクセをつける「いしど式」は、
一生モノの生きる力を身につける、
効果的な幼児教育法としても注目されています。

そろばんは、段持ちにでもならないかぎり、「学んだ」と胸を張っていえない空気もあって、
かつて勉強したことのある人でも、挫折感とともに、距離を置く感覚でいたりするようです。

石戸さんは、そんな風潮をなんとかしたいという思いを強くおもちです。
上記のような手法にいたったのも、そろばんは本来楽しいもの、と思ってきたからだそう。

会長に退いたいまは、2年前に地元にオープンした「白井そろばん博物館」の館長として
そろばんの楽しさを教える伝道師としての仕事に力を入れています。

「ここ(そろばん博物館)を白井市の新名所にして、町おこしに力を入れていきたいんです」
と語る石戸さんからは、大変僭越ながら「私欲」のようなものがまるで感じられませんでした。
大をなす創業者は、そうしたところが共通しているように思います。

以下はそろばん博物館の写真です。
歴史的に価値あるそろばんも多数収蔵され、
見応えのあるコレクションが並んでいました。





◇白井そろばん博物館 >>>
 
(編集部 酒井俊宏)

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2013年08月20日(火)更新

【取材日記】埜庵 石附浩太郎さん


過日、月刊ニュートップリーダーの取材で、
神奈川県藤沢市・鵠沼海岸のかき氷店『埜庵』(のあん)に行ってまいりました。
店主・石附浩太郎さんへのインタビューです。
 
弊社より単行本「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」
出していただいた(川上徹也氏との共著)ご縁から、
誌面にもご登場いただこうという流れになりました。
 
上記のタイトルの通り、石附さんのお店・埜庵は、
真冬でも行列ができるという、それまでになかったかき氷屋さんです。
自然の素材でつくるシロップの味わいと
天然氷を丁寧に削ったふわっとした食感が人気を呼び、
シーズンなら多い日で一日500人以上が来店。
しかも全国各地から熱心なリピーターがやってくるそうです。
 
石附さんです。
 



 
冬でも行列ができる、埜庵のかき氷。
 

 
埜庵 ホームページ >>>
「なぜ、真冬のかき氷屋に行列ができるのか」 >>>
 
いくらおいしいとはいえ、なぜ、それほど熱心なファンがついたのか?
 
詳しくは、月刊ニュートップリーダー7月号と、
石附さんのご著書をご覧いただければと思いますが、
本誌記事から引用しつつ少しだけ、記します。
 
音響メーカーで営業マンをしていた石附さんは、
あるかき氷屋さんで口にしたかき氷に衝撃を受け、独立を決意。
当初二年間は鎌倉市内に出店。その後、現在の鵠沼海岸に移転します。
 
しかし、なかなかうまくいきません。
ランチメニューなどを充実させたことから、
特徴の薄い店になっていたのです。
 
「かき氷屋をやりたくて、勤めを辞め、あえてこの道に入ったのに、
かき氷以外のことに振り回されているのは、やはりおかしい」
 
そう考え、かき氷一本でやっていくと決意してから、
すべては好転していったそうです。
 
とはいえ、埜庵はおいしいだけのお店ではありません。
とにかく、居心地がよい。店員さんの感じがよい。
足を運んだ人は、ほとんどがそう思うはずです。
そうしたお店の雰囲気自体、かき氷と同じく、
石附さんが手ずからこしらえたものと言っていいでしょう。
 
いまは夏の盛りで、連日行列だと思いますが、それでも、
興味をもたれたかたは、ぜひ、訪ねてみてください。
 
石附さんが人生賭けてつくりあげたお店には、
人が引き寄せられる魅力とは何かを知るヒントがつまっています。
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 
 




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2013年07月03日(水)更新

【取材日記】中里スプリング製作所 中里良一さん


過日、『月刊ニュートップリーダー』の取材で、
中里スプリング製作所・中里良一社長にお会いしてきました。
 
『トップが育てば会社が育つ』と題した特集記事で、経営危機や不祥事、
あるいは社内の軋轢などをきっかけに、ご自身を成長させることの大切さを痛感し、
自分で自分を鍛えてこられた社長さんにご登場いただいています。

 
中里社長です。


 
 

工場内部。キリンのオブジェは自作されたものです。

 
 
■中里スプリング製作所 ホームページ >>>
 
 
群馬県甘楽(かんら)町に工場をかまえる同社は、
技術力あるばねメーカーとして業界内外から高い評価を得ています。
それだけでなく、独自の経営でも注目されています。
くわしくはニュートップリーダー6月号をご覧いただきたいと思いますが、
少しだけ紹介します。
 
大きな特徴は、企業としての判断基準を「好きか嫌いか」に置いていること。
営業は社長だけがやるそうです。中里社長はこう言います。
 
「中小製造業で社員が一番嫌で苦手なのは営業です。
嫌なことはやらせたくないので社長がやる」
 
毎月一回、全社員で集まり、半日から一日かけて、
それぞれの個人的な夢を語り合うという「夢会議」。
社長が独断で年に一度、がんばっている人を1、2名表彰する「ご褒美制度」。
後者では、受賞者に「会社にある材料と設備を使って好きなものをつくれる権利」か、
「嫌いな取引先を一社、切ることのできる権利」を与えるそうです。
いずれも30年以上続けているそうです。
 
中里社長は、社員が会社を「好き」でいられるように心を砕いてきました。
 
「儲かるか儲からないか、うまくいくかいかないかで
考えるから失敗する。善良な人間の集う組織であるな
ら、好き嫌いで決めればいいんです」
 
独自の経営は、経営者個人の強い自負や器の大きさがあってこそ、可能になります。
 
二代目の中里社長は、東京で商社に勤務したのち、25歳で入社します。
そして、すぐに、社員との距離を感じます。
二代目として尊重されこそすれ、誰からも尊敬はされず、侮られてすらいると感じたのです。
 
そこでまず、誰にも負けない技術力を磨こうと決意します。
毎晩、社員が帰ったあと、工場に戻って明け方近くまでばねをつくる。
両親には「飲みに行ってくる」と言い残し、工場に戻る。
そんな生活を続けて技能を身につけ、五年もすると全員に一目置かれるまでになっていました。
 
並行して、自分の甘さを克服しようと、それまでの知人・友人関係を断ったというから驚きます。
こちらも、五年ほどして、それでも会いたい、教えを乞いたい、という人には詫びて、
つきあいが復活していったそうです。
 
「二世、三世は裏口入学みたいなもの。だからよほど
覚悟を決めて、自分を鍛えないとダメ」
 
なかなかできないことです。己を鍛え抜いてこられたこと、鍛えられたという自覚が、
経営者としての自信を育み、求心力を手にすることになったのでしょう。
 
自らを鍛えて得た強さと、従業員さんにむける眼差しの温かさ、優しさ──。
こういう社長さんのもとで働ける従業員のみなさんは、幸せだと思いました。
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 
 
 


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2013年02月25日(月)更新

テストマーケティング研究所in八戸そして講演会


さる2月22日、23日の両日、
経営者会報ブログのイベントを青森県八戸市にて開きました。
 
経営者会報ブログ会員さんである、八戸ニューシティホテル常務、
“虎鯖棒寿司”谷口圭介さんのご要望と、
多くの会員さんのリクエストにもお応えしての、
「テストマーケティング研究所 in 八戸」です。
 
同ホテルに到着したその足で、さっそく夕方17時からスタートした
「テストマーケティング研究所」では、谷口さんの新しい鯖棒寿司の可能性と、
地元からご参加いただいた株式会社・ひろの屋代表取締役、
下苧坪(したうつぼ)之典さんによる、国産=北三陸天然ワカメの素晴らしさ、
そしてワカメとイカをふんだんに使った地元有志のコラボ商品「イカシウマイ」について、
活発なご意見が交わされました。
 
■八戸ニューシティホテル ホームページ >>>
■ひろの屋 ホームページ >>>
 
 


 
鯖寿司は2種類。どちらも美味しく、意見も百出。
 
 
 
こちらはイカシウマイ。絶品です。
個人的には、おでんの具に入っていたらうれしい、と思いました。
 
 
続いて、ご参加いただいたみなさま。




八戸ニューシティホテル常務・谷口圭介さん。



ひろの屋代表取締役・下苧坪之典さん。


久米繊維工業会長・久米信行さん。

 
創代表・村上肇さん。


日本金属工芸研究所社長・山田敏晶さん。


小高莫大小工業社長・小高集さん。

京都工芸社長・寺田元さん。

エビスヤ社長・山岸健一さん。

レーザーテック社長・浜野太郎さん。
(すみません、この絵しかピントが合っていなかったもので……)


ジェイ・ポート社長・樋下茂さん。


そして、NTTデータ・津田博史さん、
 
 
懇親会のあと、
翌日は皆さんで八戸港、「八食センター」などを観光。
記念に一枚。



午後から、八戸市役所勤務の相模将喜さん、
学校法人光星学院八戸大学さんのご尽力で開催した、
株式会社創代表・村上肇さんのご講演と、久米繊維工業会長・久米信行さん、
京都工芸社長・寺田元さん、八戸ニューシティホテル・谷口圭介さんに
村上さんを加えた4名さんでのパネルディスカッション。





 
 
中小企業経営者がいかにして、ご自身と会社の価値をアピールし、
お客さんの支持を広げていくか、その具体的な実践法を、前段のご講演で。
そして実体験をもつ経営者のみなさんによる、熱のこもった語り口で紹介されるエピソードの数々は、
きっと聴講された方々にとって、ご参考になったことと思います。
 
それにしても、八戸はすばらしいところでした。
その魅力、そして今回の「八戸旅」の面白さは、すばらしい書き手の揃った、経営者会報ブログ・
ブロガーのみなさんのエントリでお楽しみいただきたいと思います。
 
 
■久米繊維工業 久米信行さん 
 
 
■コクホー 庄山悟さん
 
■八戸ニューシティホテル 谷口圭介さん 
 
■エビスヤ 山岸健一さん 
 
■京都工芸 寺田元さん 
■ジェイ・ポート 樋下茂さん
 
■小高莫大小工業 小高集さん 
 
最後に、残念ながら風邪を召されてご参加いただけなかった、
クエストリーの櫻田さんのブログです。
板長のコメントと合わせて、こちらもご覧いただきたいと思います。
 
■クエストリー 櫻田弘文さん
 
 
会員のみなさまの会社をお互いにお訪ねするこうした機会は、
これからも、定期的に設けたいと思います。
よろしくお願いいたします。
 
 
 
(編集部 酒井俊宏)
 


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2013年01月18日(金)更新

【取材日記】湯佐和 湯澤剛さん

制作中の『月刊ニュートップリーダー』2月号の取材で、
神奈川県鎌倉市内を中心に居酒屋を複数営んでおられる
湯佐和社長・湯澤剛氏にお会いしてきました。
 
『失敗に学び 生かす経営』と題した特集記事の中の事例として、
湯澤さんと同社にご登場いただいたものです。

同チェーンは、新鮮な海鮮料理と、明るくゆきとどいた接客で、
どのお店も人気店になっています。
 
 

(撮影・柚木裕司氏 以下同)

湯澤剛社長です。
下は、『七福水産』にて。
お刺身は絶品でした。




 
■湯佐和 ホームページ >>>
 
いうまでもなく、求めて失敗をする経営者はいません。
一方で、失敗は発明の母といわれるように、
経営者自身の失敗ほど、教訓として、
経営やご自身の成長に生かされるものもないでしょう。
 
この特集では、組織マネジメントや事業推進上、失敗をし、
窮地に陥ったご経験をもつ経営者にご登場いただき、
その経験を、どのように生かしたかをお聞きしています。
 
湯澤社長の場合は、経営を引き継いだとき、すでに債務超過にあったことから、
利益追求、利益重視の経営に偏り、そのことで虎口を脱することはできたものの、
会社の雰囲気はすさみ、事故も招いてしまいます。
 
その状況をどのようにして好転させていったのかは、
2月1日発行予定の『月刊ニュートップリーダー』2月号をご覧いただきたいと思いますが、
一つ、ここでご紹介しておきたいのが、ご自身が失敗をおかす以前の、
債務超過に陥っていたころのエピソードです。
 
それこそ常に死を考えるような日常だったそうですが、
湯澤さんは、あることをきっかけに立ち直ります。
 
「債務は利息だけで年に1億円以上返さなくてはならず、
当時の売上では完済まで何十年もかかる計算でした。そう
考えるのでやる気も出てこない。そこで、まず五年だけが
んばってみよう、と思ったんです」
 
そう考えて、自作したのが、日めくりカレンダーでした。
カレンダーといっても、この写真のような(実物です)、
残りの日数を示すだけのもの。
 
 
 
しかし不思議なことに、毎日、めくって、少しずつやれることに取りかかるうち、
不安も消え、徐々にやり甲斐すら感じだしたそうです。
 
行き詰まったときの打開策には魔法などはなく、
「正しいルーティン」をこなしていくことが重要なのではないか、
と思った次第です。
 
経営者でなくてもビジネスマンならあてはまる気がしています。
 
湯澤さん、様々にヒントをいただきました。
ありがとうございました!
 
 
(編集部 酒井俊宏)





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2012年10月17日(水)更新

【取材日記】リブラン社長 鈴木雄二さん

 
過日、月刊ニュートップリーダーの取材で、
都内のマンションデベロッパー・リブラン社長、鈴木雄二さんにお目にかかってきました。
 
マンションといえば一般的には、広さと立地(駅近か否か)、
ゼネコンやデベロッパーのブランドで価値が決まってしまうものですが、
同社がプロデュースする物件は、
そうした枠から大きくはみ出した付加価値や個性をもっています。
 
一言でいってしまえば、「エコ」な物件ということになります。



(エコヴィレッジ朝霞本町/写真提供:リブラン)


鈴木社長です。
ところどころ、ホワイトボードを使って、
熱心に自社の事業について話してくださいました。




(撮影・フォトグラファー 山本信介)
 
 
◇緑のカーテン応援団 >>>
 
◇リブラン >>>
 
同社のエコヴィレッジシリーズは、風の抜けるつくりや間取りを追求していて、
共有部分にはゴーヤなどを利用したグリーンカーテンや蔓系の植物を這わせ、省エネに貢献。
 
ベランダでのグリーンカーテンのつくりかたをお客さんにレクチャーしたり、
住民同士のコミュニティをつくろうとしている点も同社の大きな特徴です。
 
それらの取り組み全体で、とくに大手デベロッパーでは手がけにくい、
付加価値あるマンションを世に送り出しています。
 
鈴木社長によると、たとえば大震災後に建てられた東北地方の仮設住宅では、
真夏の日中、室内の体感温度は、なにも処置をしなければ、45度以上に上昇してしまいますが、
窓の外にグリーンカーテンをつくると同30度くらいにまで下がるそう。
私も2年連続で、拙宅にゴーヤカーテンをつくっていますが、
あるのとないのとではまったくと言っていいほど違いました。
 
同社と鈴木社長について、詳しくは掲載予定の
月刊ニュートップリーダー11月号・連載/福永雅文の小よく大を制すビジネス兵法」を
ご覧いただきたいと思いますが、素晴らしいと思ったのは、
何年も前から鈴木社長が「NPO法人 緑のカーテン応援団」をつくり、
自ら理事長に就いて活発に活動しておられること。
 
いま例に出した東北地方の仮設住宅がテレビに映る際、
グリーンカーテンがきれいに設えられている映像を見た人も多いと思いますが、
実は同法人の活躍が大きかったようです。
鈴木社長はおっしゃいます。
 
「緑に覆われた建物はわが国ではあまりイメージがよくありませんでした。
お化け屋敷みたいだと…そのイメージを覆さないといけない」

 
自社で手がける製品やサービスの価値を知ってもらうには、
広告という手段がありますが、鈴木社長は、己が信じる価値を、
広く世間にご自身と社員の方々の行動で、
楽しみながら訴えることにしたのです。
 
自社が儲かる儲からない、という立ち位置からは決して出てこない
発想であり、行動なのではないかと思いました。
 
 
(編集部・酒井俊宏)
 
 

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『月刊ニュートップリーダー(L.)』(前身は「経営者会報」)編集部にて社長の取材記事を担当。十数年の間に800名以上の経営者に取材、多くの経営者に感銘を受けた経験から、「日本を支えているのは中小企業とその経営者」と確信し、敬意を抱いている。『経営者会報ブログ』サイト編集部員も兼ねる。

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