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2010年04月30日(金)更新

【取材日記】名南コンサルティングネットワーク 亀井英孝さんと「千年経営研究会」

先週末、名古屋へ出張しておりました。

弊誌・ニュートップリーダーで、
「事業承継の王道」という連載記事を
ご執筆いただいている名南コンサルティングネットワーク・
亀井英孝さんの主宰する、
「千年経営研究会」の会合に
参加させていただきました。

↓亀井さんです。
かめいさん

■名南コンサルティングネットワーク >>>
■日本法人会千年経営研究会 >>>

亀井さんの所属しておられる
名南コンサルティングネットワークさんには、
弊誌の前身である「経営者会報」時代から、
弊社は長らくお世話になっています。
亀井さんには、そのご縁で、ご執筆や取材などで
たびたび誌面にご登場いただいてきました。

その亀井さんは、コンサルティングにおいても
長く扱ってこられた事業承継問題を、
いまではライフワークとしています。

この「千年経営研究会」は、
亀井さんを慕っておられる後継予定者のかたが
なかば自然発生的に集って、昨年、発足した会です。

文字通り、会社が永続していくために、
どのような姿勢が経営者に求められるのかを
みなで話し合い、考える場です。
実費程度に会費を集めるだけで、
亀井さんは一銭も受け取っていません。

エリアと成り立ち方から、ふだんは
「三好会」「岡崎会」「瀬戸会」「豊橋会」の四つの会に別れて
定期的にミーティングを重ね、活動しておられます。

私がお邪魔させていただいたのは、
「三好会」の会合でした。

かめいさんに

かめいさんさん

経営とはそもそも何か、
経営を受け継ぐとは、譲り渡すとは
どういうことなのか。
そうした経営にかかわる根本的なテーマ
を真剣に討議されるなかで、
日々、生じる、経営への疑問も、
メンバー同士でぶつけあう。

この日は、部外者の私が傍聴させていただくためか、
「ちょっと抑え気味」(亀井氏)だったそうですが、
きれいごとではない、生々しい
親と子の衝突など、ふだんの取材では
窺い知ることのできない、
リアルな経営の現場の一端、なにがしかを
感じることができました。

亀井さんは次のようにおっしゃいます。

「この会には、悩みをもった後継者が参加しますが、
残念なことに続かない人も多い。もちろん一口には
いえませんが、いま起きている問題を、人のせいに
するのではなく、自分が原因で起こっている、と捉
えることのできる人は続くようです。そうして気づ
けた人は、そのあと目に見えて成長されるのがわか
ります」


亀井さん、「三好会」のみなさま、
温かく受け入れてくださり、
まことにありがとうございました。
大いに勉強になりました。

お許しいただけるなら、また、
お邪魔させていただきたいと思います。
ありがとうございました。


(編集部 酒井俊宏)




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2010年04月20日(火)更新

【取材日記】ニコリ 鍜治真起さん

先月末、ニュートップL.5月号の
特別記事『海外で、売る!』の取材で
ニコリ社長の鍜治真起さんに、
お話をうかがってきました。

鍜治さんは日本国内よりも、
むしろ海外で著名なかたかもしれません。

鍜治さんが命名し、新たな命を吹き込んだといえる
パズル『数独』は世界109か国に広まり、
各国で出版物が刊行されるほか、
新聞や雑誌でも日々、掲載されています。
鍜治さんは世界中の愛好者から
“数独の父”と呼ばれ、敬愛されているのです。

その鍜治さんに、企業が海外進出するさいの
要諦について、お話をうかがってきわけですが、
豪快で、かつ爽やかなお人柄に、
すっかり魅了されてしまった次第です。


かじさん

■ニコリ ホームページ >>>

くわしくは、5月1日発売予定のニュートップL.5月号を
ご参照いただければ幸いですが、ちょっとだけ、ご紹介します。

「数独」の原型は1979年にアメリカで生まれた
「ナンバープレイス」というパズルです。
しかし、当時は誰もこのパズルに注目せず、
鍛治社長が84年、偶然、手にした
アメリカのパズル雑誌で見つけた
ナンバープレイスに興味をもち、スタッフや、
後述する「作家」やファンとともに進化させてきました。

鍜治さん自身、次のように語るほどの人気なのです。

「外国の空港の売店ではどこでも数独コーナー
がありますし、ブリティッシュ・エアウェイズ
の全コックピットでは数独禁止令が出るほど乗
務員が熱中して困っているらしいですよ」

「数独」という名称は、鍜治さんが考えました。
1から9までの数字しか使わないパズルなので
「一ケタ数字→シングル→独身」という連想で、
「数字は独身に限る」……
それが縮まって「数独」になったというわけです。

ニコリでは季刊『パズル通信ニコリ』を八〇年から発行。
これは、パズルファンの投稿で成り立っています。
投稿者は全国に2000人ほど、
常連が500人ほどいるそうです。

にこりさん

優れた問題をコンスタントにつくれるようになると、
「作家」と呼ばれるようになり、社員さんも作家出身者が大半。
ニコリのパズルは紙と鉛筆を使って考えられているのが大きな特長で、
パソコンで自動的に作る、他社のものとはまったく違うそうです。

パズルといえど、手間暇をかけた日本的ものづくりを
貫いていることが、多くのファンの心をつかみました。

海外進出の要諦については、
鍜治さんは次のように語ります。

「海外企業との契約は、フレンドリーシップで始
めるとパートナーシップまでもっていくのにエネ
ルギーがいる。最初からパートナーシップを結び、
企業間の信頼関係を高めることが大切です」


とくにアメリカなどでは、契約は収益のみならず、
想定しうるリスクをどのように分担するか、も
問われるそうで、互いに繁栄しよう、という
パートナーシップが求められるそうです。

それにしても、海外経験豊富な鍜治さんのお話は
大変ユニークで、目を瞠るようなお話をたくさんうかがうことができました。
たとえば、こんな話です。

「海外では先方企業で初めて商談する際、数十分、
社長室などで待たされることがある。非礼でそう
しているのではなく、そうしたスペースには社長
その人を物語る、書籍や趣味のものなどが置いて
あり、それを見て、人となりを知り、フレンドリ
ーになる手がかりをつかんで欲しい、という意味
があるそうです」


「海外のメディアは、『皇太子家の問題について
どう思うか』など仕事に関係ない分野でも日本の
ことについてコメントを求められる。一番違うの
は、海外では話したことを、聞いたままを記事に
してしまう。日本の場合、新聞社にせよ出版社に
せよテレビ局にせよ、一つの番組、記事をともに
つくる、という目的意識を共有できることが多い。
だから“適当”にしゃべっても、ちゃんと記事に
してくれる、という安心感がある」

 
どちらがよいのかはさておき、メディアの世界でも
なにやら日本的な特徴があるようですし、
どこか職人的なところは、
やはり失ってはならない部分であるように思った次第です。

このほかにも、競馬好きな鍜治さんは、
海外で趣味を問われて、そう答えると、
「馬は何頭もっているんだい」とか
「馬の買い付けにいくなら紹介するよ」などと言われたこともあるそう。
単にギャンブル扱いの日本と違って、英国などでは
紳士の、大人の楽しみという扱いで、競馬好き、というと、
「さすがは……」という反応になるのだそうです。

とにかく、面白いお話のオンパレードで
記事にできないのがほんとうにもったいないくらいでした。

鍜治さん、楽しい取材で、大いに勉強になりました。
ありがとうございました。


(編集部 酒井俊宏)




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2010年04月16日(金)更新

【取材日記】ヱビナ電化工業 海老名伸哉さん

過日、弊誌・ニュートップL.4月号の取材、
「特集 デキる人材はトップ自ら採る!」
東京都大田区に本社を構える、
ヱビナ電化工業さんにお邪魔してきました。

お話をうかがったのは、
3代目社長の海老名伸哉さん。

お父上である先代・信緒さんが昨年末、急逝され、
伸哉さんは33歳で社長に就任しました。
大変失礼ながら、その若さでありながら、
実に堂々として、自社の事業を熱く熱く語る
非常にエネルギッシュなかたでした。


えびなしんやさん


■ヱビナ電化工業 ホームページ >>>


この特集は、大企業でなくとも
優秀な人材を採用している企業に
なぜそれが可能なのかをお聞きし
経営者のみなさまのご参考に供するものです。

人材育成はもちろん重要ですが、
それ以前に重要なのは、
どれだけ優秀な人材を採用できるか
(優秀、とは学業のことだけを言っているわけではありません、念のため)、
まずはそこなのではないかと思います。
しかしながら、そもそも中小企業には優秀な人材はこない、
と諦めてしまっているかたも多い。
本当にそうなのでしょうか。

一面、それは事実かもしれません。
でも諦めずに努力を続けている企業では
やはり、成果が上がっているのも事実です。

ヱビナ電化工業さんは、テレビ東京の
『カンブリア宮殿』などにも登場されていますので、
ご存じのかたも多いと思いますが、
優秀な技術系の女性を多く採用し、育てておられます。

↓海老名さんじきじきにご案内いただきました。
えびなさんしゃない

えびなさんに


詳しくは発売中の、ニュートップL.4月号を
ご覧いただければと思いますが、
海老名社長のご発言を一部、引用してご紹介します。

「本格的に新卒採用を始めたのは一〇年前。
以来、毎年五~七人の技術系社員を採用して
います。企業文化の醸成の面からも新卒から
育てるのが一番。本来は男女均等に採用した
いのですが、実力重視で選んだ結果、女性が
多くなってしまった」


なぜそうなるのか。

同社では、先代・信緒氏が主導し、
めっきの技術を、科学的にデータ解析することにシフトし、
従来の職人の勘と経験頼みを脱しています。

そのうえ、営業マンを置かず、
技術者が顧客企業と折衝するスタイルのため、
分析・解析装置を活用できて、
顧客企業に様々な提案ができる人材を求めています。
当然、コミュニケーション能力を重視することになります。

「技術者といえどもお客さんとコミュニケー
ションが取れなければ仕事になりません。と
ころがうちを受けに来る理系の男子学生はま
ともに話すことすらできない人が少なくない」


……ゆえに、結果的に女性が残るというわけです。
男である私は、ちょっと複雑な思いがしますが。

その女性たちの側に選ばれるのもわけがあります。
同社では新しく研究所を建てたり、
工場を改築する設備投資に加え、
パートさんがたくさん勤務しているからでもありますが、
食堂やトイレを拡張したり、ゆったりとお化粧のできる
洗面台を設置したりと、女性が働きやすい環境づくりを
心がけてきました。
一方で、海老名社長は、入社前に仕事を体験させる
インターン研修や、入社後も定期的に社員さんと
個別の面談をもって、悩みも聞いておられます。
そうした努力もあって、離職率も低いそうです。

仕事で高いレベルを求められ、
自分が成長できる会社であること、
環境面においても、
社員を大切にする姿勢のある会社だということが、
自ずと学生側にも伝わることでしょう。

つまりは、よい会社であることがまず先で、
あとは、嘘をつかず、そのことが伝わるよう
努力を重ねていく、ということが大切なように
思われます。

なお、26歳で入社した海老名社長は
先代さんから次のように言われ、
ずっと責任者として採用に力を注いでこられたそうです。

「これから長い間、お前と一緒に仕事をしていく
人たちなんだから、お前が人物を見なさい」


素晴らしいと思いました。

以下は、4月号の編集後記にも書いたことではありますが、
新人の採用は、スムーズな事業承継とともに
企業の「永続・発展」を期すうえで不可欠のものである以上、
承継を念頭に置きながら、自社の採用活動のあり方を考えるのは、
ごく自然なことなのではないか、と感じた次第です。

素晴らしい父、子、そして親子の関係が、承継にせよ、採用にせよ、
その成功の要因であることを思わずにはいられませんでした。

海老名さん、ありがとうございました。


(編集部 酒井俊宏)




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個人プロフィール

『月刊ニュートップリーダー(L.)』(前身は「経営者会報」)編集部にて社長の取材記事を担当。十数年の間に800名以上の経営者に取材、多くの経営者に感銘を受けた経験から、「日本を支えているのは中小企業とその経営者」と確信し、敬意を抱いている。『経営者会報ブログ』サイト編集部員も兼ねる。

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