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2007年10月18日(木)更新

【取材日記】WEBマーケティング総合研究所・吉本俊宏さん

昨日(10月17日)、経営者会報『注目企業研究』(12月号)の取材で、
WEBマーケティング総合研究所社長の
吉本俊宏さんにお話をうかがってきました。

これは、気鋭のライター・吉村克己氏による、
文字通り、注目に値する取り組みをしている企業及び経営者に
ご登場いただく長期連載です。

WEBマーケティング総合研究所では、中小企業に対して、
独自に作り上げた「ビジネスブログ」を使って
ツール面とコンサルティング面との両方から
販促に結びつけるお手伝いをしています。

ネットをリアルの販売や営業と切り離さず、あくまで会社トータルで
売上を上げるための場としているのが同社のスタンスです。

よしもとさん

吉本さんは都市銀行、大手シンクタンク勤務を経て独立。
あのアイワイバンク設立にも携わるなど、
一貫してシステムに関連した仕事をしておられました。

大企業に比べ人材面でハンディのある
中小企業のお手伝いをしようと独立したものの、
なかなか顧客は獲得できず、
個人で三〇〇〇万円もの借金を抱え、
一時は倒産を覚悟するなど、大変な苦労をされます。

その苦労が、吉本さんにとって財産になりました。
試行錯誤のすえ、独自のノウハウを見出し、
現在の顧客は、口コミを除けばすべてネットを通じて開拓。
集客のために苦労され、会得したノウハウを
顧客企業に提供し、大変喜ばれているというわけです。

なるほど、と思ったのは、
以下の吉本さんのたとえ話です。

「たとえば中国に初めて営業所をつくるなら、
所長にはエース級や役員級を置くはずですし、
いきなり大がかりにはやらず、少しずつ足も
とを固めていくはずです。HPも実はこの営
業所のようなもの。なのに多くの経営者が、
始める前から多くを期待し、『売れるHPに
してください』と業者任せにする。これは中
国での営業戦略立案を、現地で営業所を作っ
た建設業者にお願いするようなものです」


なんであれ、社長が内容を把握せず「丸投げ」にしていては
うまくいかないのは当然です。
しかし、普通の業務であれば、絶対に丸投げなどしない人が、
なぜかネットを活用する際は、このことを忘れてしまう傾向にあるのだそうです。

同社の具体的なサービスの内容については
以下URLをご参照いただければと思います。

ぶろぐでねっと
■WEBマーケティング総合研究所
>>>http://www.blogdehp.jp/

うかがった際、印象的だったのは、
社員のみなさんの、温かくも明るい、
それでいて強固なチームワークを感じさせる
雰囲気です。

過去、あるIT関連企業にお邪魔したとき、
社内に無機質な雰囲気を感じたことがありましたが
同社ではそんな気配はゼロ。

血を吐くような思いをしながら
「中小企業を助ける」という理念を貫かれた吉本社長に、
社員のみなさんが深く共感し、
同じ思いを抱いておられるからでしょう。

くわしくは、ちょっと先になりますが、
12月1日発売の『月刊経営者会報』12月号
お手に取っていただければと思います。

(編集部・酒井俊宏)



けいかい
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2007年10月16日(火)更新

過去の取材日記もどうかご覧ください!

この「記者・酒井の日記」では、
「取材日記」として、文字通り、
取材させていただいた方のこぼれ話や、
私自身が感銘を受けたお話を綴っています。

ただし、個人の名前で書き始めたのはつい三か月ほど前のこと。
それ以前は、当サイトの中にある、「編集部ブログ」として書いていました。

過去記事ですが、その中で書いてきた記事のリンク先を
以下に表示しておきます。

写真の入れ方などがいま以上に下手くそで、
読みにくいかもしれませんが、
ご興味をもたれた方は、ぜひ覗いてみてください。
みなさん立派な方ばかりです。

■編集部ブログ 取材日記
http://editors.keikai.topblog.jp/blog/c/index.html

以下の方々に関する記事があります。

◎ゼットン 稲本健一さん (記事はこちら。以下同)>>>
◎テムザック 高本陽一さん >>>
◎あらや滔々庵 永井隆幸さん >>>
◎シオザワ 塩澤好久さん >>>
◎木の城たいせつ 山口昭さん >>>
◎長島精工 長島善之さん >>>
◎都市デザインシステム 梶原文生さん >>>
◎近代ホーム 松本祐さん >>>
◎湖北精工 小川彰三さん >>>
◎日進乳業 水野光さん >>>
◎アオキ 青木豊彦さん >>>

(編集部・酒井俊宏)



けいかい
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2007年10月16日(火)更新

【取材日記】サンコー・下泉澄夫さん

10月上旬、経営者会報本誌連載
『異能経営者がゆく!』(11月号)の取材で、
大阪府四條畷市に本社を構える
サンコー社長の下泉澄夫さんにお話をうかがいました。

常人離れのした、抜きんでた力をおもちの経営者に
お話をお聞きするのがこの連載です。

下泉社長の凄さの一端を、
本誌で記事としてお出しする前に
ちょっとだけご紹介してしまいます。

■株式会社サンコー
http://www.sanko-flexible.com/

下泉さんは、松下電器産業に在職され、
部長職まで務められた方です。
とても元気で明るく、エネルギッシュで
圧倒されました。魅力溢れる社長さんでした。

しもいずみさん

下泉さんは、間に立つ人がいて
ぜひにと請われて松下を早期退職、
2002年の2月、後継者もなく、
業績が悪化していた同社の社長に就くことになりました。
銀行への個人保証も負い、実質すべての責任を負う形です。

企業再建というのは、大企業を見渡しても
うまくいくケースは少ないのが現状です。

よく聞く話では、銀行が主導するケースだと、
自分のところの債権を押さえればよしという感じで、
再建自体にきちんと取り組むケースは少ないようです。

下泉さんは、部長職まで務められたとはいえ、
経営の経験は当然おもちではありません。
しかし、人材育成から営業、経営ビジョンの策定まで、
すべてに全力で取り組まれ、3年で負債を完済。
いまでは売上も倍近くに伸びています。

フレキシブルチューブ(下の写真をご覧ください)の
製造をおもに手がける同社ですが、
200億円市場ともいわれ、
決して大きいとはいえないパイのなかで
ここまで伸ばしたこと自体、素晴らしいですし、
下泉さんの並々ならぬ力量を象徴しています。

しょうひん

その成功の秘訣を一つだけ挙げれば、
やはり社員の方々との絆、一体感を
見事なまでに醸成されたことにあるでしょう。

たとえば、社員の方々のご家族も参加できるイベント。
会社の敷地内での夏祭り、お花見、クリスマス会……と、
下泉さんが企画して、ご自身で社内に張り出すポスターまで作り、
これはいまもご自身の仕事と決めているそう。

夏祭りでは、社員の皆さんがグループに分かれてカレーなどのお店を
開いたり、なんと、奈良の大和郡山から本場の金魚を取り寄せて
金魚すくいのお店も出す。
子供たちは大喜びするそうです。
その笑顔を見た社員のみなさんも元気になる。

同社の経営理念の一つが、「人は会社の宝」
同様のことを掲げる会社は世に沢山あるでしょう。
でも、それを本気で貫いている社長さんは
そのうち、どれほどおられるのか。

下泉さんの場合、
社員の方々のご家族までも「宝」と思っておられるように
お見受けしました。

「ちょっと儲けたからってそれが3年や5年で終わっては意味はない。
社員は30年、40年と勤めるんですから、永続的に繁栄しないとい
けないんです」


そんな人物をトップにいただいたからでしょうか、
社員さんは皆さん、幸せそうな雰囲気でした。

長年、ご自身が一つの会社に勤めていたご経験も
ものをいっているのでしょう。

とはいえ、個人保証までして
中小企業のトップに転じるというのは
尋常な肚のすわりではありません。
掛け値なしに、すごい人だと思いました。

くわしくは、11月1日発売の『月刊経営者会報』11月号
お手に取っていただければと思います。

なお、下泉社長に取材をさせていただくことになったのは、
当経営者会報ブログの会員さんでいらっしゃる
枚岡合金工具社長・古芝保治さんが、
ご自身のブログで下泉社長を紹介しておられたことがきっかけです。

■枚岡合金工具 古芝保治さん
>>>社員のご家族も大切にする松下流経営に感動!

ふだんは、慎重に取材先を選ばせていただいていますが、
古芝さんが太鼓判を押す方なら間違いないと確信して
下泉社長に取材をお申し入れさせていただいた次第です。

下泉さんは、古芝さんがブログで書かれていた通りの素晴らしい方でした。
まさに、プロ野球などで「一流は一流を知る」といわれるのと同様、
「素晴らしい経営者は素晴らしい経営者を知る」のでしょう。

古芝さん、ありがとうございました!
そして下泉さん、素晴らしいお話をありがとうございました!

(編集部・酒井俊宏)



けいかい
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2007年10月15日(月)更新

【取材日記】三州製菓・斉之平伸一さん

経営者会報本誌・特集『“前向き社員”をつくる』(11月号)の取材で、
埼玉県・春日部市に本社を構える
三州製菓さんにお邪魔してきました。

お相手は、IT活用の先駆者としても名高い、
同社社長の斉之平(さいのひら)伸一さんです。

斯業界で初めてトレーサビリティシステムを構築され、
一昨年、昨年と連続して
経済産業省認定の「IT経営百選」の最優秀賞に選ばれています。

正社員だけでなく、パート社員の方も含めて
前向きな人たちで構成される組織を作り上げておられます。

■三州製菓株式会社のホームページ
>>>http://www.sanshu.com/

斉之平社長にお会いして
すぐ「人格者」という印象をもちましたし、
取材から時間の経った今、
ますますそのイメージが膨らんでいます。

さいのひら社長

三州製菓さんは
斉之平社長が二〇代後半で入社された頃、
苦戦していました。

その頃までは、問屋を通してスーパーに商品を卸す
大手と競合する少品種大量生産でしたが、
売上は年々減少、
斉之平社長は、直販での多品種少量、高級贈答品へと
舵を大きく切ります。

会社の方向性を変えた以上、
組織や社員の意識を変革する必要がある──
そう斉之平社長は考え、そのことを徹底的していかれます。

ざっと挙げてみても、
・パートさんにまで社長と同じレベルの情報を公開
・年に二度の社員さんへのアンケート
(会社への信頼度をはかるもの)
・委員会制度
(パートさんを含めて、誰もが必ず一つの組織横断的な委員会に属し、活動する)

……と、このほかにも
さまざまなトライをしておられて、
とても書ききれません。
斉之平社長はこういった取り組みを通して、
社員の方々の意識改革をしてこられました。

これは本社屋の1階から2階への階段です。
こんなところにも、その徹底ぶりが現れています。

りねん

もちろん、取り組みをただ示しただけで
社員の方々が前向きになり、当事者意識が上がるというわけにはいきません。
何より、社長その人が社員さんに信頼されていない限り、
絵に描いた餅になってしまうのがオチでしょう。

斉之平社長はどのようにして、
社員の方々の心をつかんでいったのか。
その一端をご紹介しましょう。

同社では10年来、5S活動に力を入れていますが、
最初はなかなか浸透しなかったそうです。

そこで、斉之平社長は
自ら社内のトイレ清掃を始めたといいます。
それにならう形で
自然に皆さんが力を入れるようになったとのこと。

つまりは「率先垂範」──。
社長自身を例外としない姿勢が
社員の皆さんの心をつかむうえで
重要なのだなと思いました。

これだけではなく、斉之平社長の取り組み・姿勢は
他の経営者の方々にとって参考度が高いと思われる、
賞賛に値するものでした。

くわしくは、11月1日発売の『月刊経営者会報』11月号
お手に取っていただければと思います。

斉之平社長、ありがとうございました!

偶然ですが、当経営者会報ブログの会員の方々が、
斉之平社長のご講義を聴講され、その模様を書かれていました。
こちらもぜひご覧いただければと思います。

■三元ラセン管工業 高嶋博さん
>>>今月のエグゼクティブプログラム「IT経営講座」
■枚岡合金工具 古芝保治さん
>>>三州製菓さんの人と技術が育つ仕組みと仕掛け
■サカエヤ 新保吉伸さん
>>>三州製菓社長の講義

(編集部・酒井俊宏)



けいかい
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2007年10月01日(月)更新

【取材日記】三和メッキ工業・清水栄次さん

去る9月某日、経営者会報本誌(10月号)の特集で
当経営者会報ブログの会員さん、
三和メッキ工業専務・清水栄次さんに取材させていただきました。

記事は前回この場でご紹介した
ドクターユキオフィス・臼井由妃社長にもご登場いただいている
「社長の“パフォーマンス力”」です。

清水専務にお会いするのは、
当経営者会報ブログのオフ会なども含め
これで三度目。
実は「社長の“パフォーマンス力”」という企画の担当になって、
一番最初に浮かんだのが清水専務のお顔でした。

経営者4人でFMラジオ局で“番組ジャック”して
二年以上もリスナーから好評を得ているケースなんて
まずないでしょう。

番組名は『全開! 福井あばさけビジネス道』。
毎週火曜日午後5時から、好評放送中です。
ウェブ上で番組を聞くこともできますので、
ぜひアクセスしてみてください。

あばさけ

■全開! 福井あばさけビジネス道 HPはこちら>>>
http://www.abasake.com/

■清水さんのブログはこちら>>>
http://sanwa.keikai.topblog.jp/

「あばさけ」とは福井弁で「やんちゃな」という意味で、
「お前、あばさけとるなあ」という具合に使うそうです。

それでは、記事にさせていただいたエピソードのなかから一部、
ご紹介します。

清水さんはもともとラジオで自社のスポットCMを流していたそうですが、
ご自身を含む4名の「あばさけた」経営者同士で喫茶店で話をしていたある日、
「いっそ番組を買って、自分たちで出てしまおう!」という結論に達します。

しかし、FM局の上層部は「素人には無理」と冷たい反応。
ここで清水さんたちのハートに火がつきます。
局内で理解のある現場の方の協力を得てパイロット版を録音。
それが局内で絶賛され、実現の運びになったそう。

もともとは自社の宣伝になればという
「純粋に不純な動機(笑)」(清水さん)だったはずが、
ゲストを招くスタイルに変えてからは、
番組自体が純粋に楽しくなったとおっしゃいます。

リスナーからの反響も大きく、
たとえば、当サイトでもおなじみのメルマガのカリスマ・平野友朗さんは
リスナーからのリクエストが多かったため、清水さん自ら出演を打診、
平野さんも快諾し、出演されたそうです。
■平野さんのブログはこちら>>>
http://mail.keikai.topblog.jp/

清水さんに“タレント活動”を通じて得たものをお聞きすると、
こんなお返事が。

「性格が変わったみたいです。あまり自覚はないけど
“面白い奴だ”と思われることが多くなったみたい」


デメリットをお聞きすると、
「そのあとテレビにも出たりしてすっかり顔がばれてしまったので、
家族連れでデパートなんかに行ったときも大人しくしています(笑)」

とのこと。

詳しくは『月刊経営者会報』10月号を
お手に取っていただければと思います。

私は「面白くなってから」の清水さんしか知りませんが、
実際、楽しく面白い取材でした。

もちろん、それだけでなく、
清水さんの社員さんへの思いやりの深さ、
強さがうかがえた、充実した取材でした。
記事自体、そこが結論になったのです。

清水さん、ありがとうございました!

(編集部・酒井俊宏)



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2007年09月28日(金)更新

【取材日記】ドクター ユキ オフィス  臼井由妃さん

少し前、経営者会報本誌特集(10月号)の取材で、
当経営者会報ブログの会員さんでもある
ドクター ユキ オフィス社長・臼井由妃さんのオフィスに
お邪魔させていだたきました。

臼井氏
■ドクターユキオフィスHPはこちら>>>
http://www.dr-yuki.com/
■臼井さんのブログはこちら>>>
http://dryuki.keikai.topblog.jp/

記事は『特集 社長のパフォーマンス力』です。
ここでいうパフォーマンス力とは、演技力とお考えください。

社内外に対するイメージアップや
よりよいメッセージ発信のために
社長にはどのような“演技”が求められるか、
考えてみようというのが企画の趣旨です。

臼井さんのほかにも、同じく会員さんである
三和メッキ工業の清水栄次専務にもご登場いただいています。
決して会員さんだから出ていただいたというわけではありません。
企画趣旨に見事に合致したお二方だからこそ
ご登場いただきました。

清水さんは、地元のFMラジオ局で“番組ジャック”を
された強者です。清水さんの取材の模様ものちほど書きます。

臼井さんは、ご存じの通り、
テレビで人気番組だった『マネーの虎』にも登場され、
“銀座の女社長”としてブレイクされました。
メディアを上手に活用されたことが、
実質継がれてから10年あまりで
年商を8倍にも伸ばした秘訣だと、ご自身振り返っておられます。

知らない方は、臼井さんがさぞ戦略的に
メディアへの露出をはかったに違いない、
とお思いになるかもしれませんが、まったく違います。

社長だったご主人が病に倒れたため、
社会経験もアルバイトしかなかった臼井さんは
30そこそこの若さで代わりを務めることになりました。

当時は専務の肩書きで、古参の社員さんからは
「なんにもできま専務」などと呼ばれるほど、
右も左もわからなかったそうです。

そんな臼井さんがメディアに出られたきっかけは、
自社製品の海賊版が出回り、その海賊版が粗悪なために巻き添えを食う形で
クレームが頻発したことにあったそうです。

差別化のために選んだメディアは「写真週刊誌」でした。
商品ではなく、「自分という人間」を売り込み、取材を受けたことが
その後、メディアにひっぱりだこになる、
すべてのきっかけになったそうです。
いわば、やむにやまれず採った策ではあったのです。

ここから先は、10月1日発売予定の『月刊経営者会報』10月号を
ぜひ、お手に取っていただければと思います。

それにしても驚いたのは、臼井さんのお話の見事さです。
普通の取材ですと、多くの社長さんは訴えたいことが多すぎて
当方の質問に答えるという形にならないことも少なくありません。

そうした方に対しては事業への思い入れが感じられ、
いつも好ましく思っていますが、
時間の制約もあり、はらはらすることも多かったりします。

ところが、臼井さんの場合、話に無駄というものがない。
テープを起こせばそのまま記事になるような、見事なお話でした。
講演を数々こなされているからでもあるでしょうが、
私は、一番の理由は、記者そして、読者への思いやりなのではないかと感じました。

臼井さんがメディアからひっぱりだこな理由を
もしも一つだけに絞るなら、
そこにあるのではないかと思います。

(編集部・酒井俊宏)



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2007年09月07日(金)更新

【取材日記】エーワン精密・梅原勝彦さん

先日、経営者会報本誌『異能経営者がゆく!』(10月号)の取材で、
東京・府中市に本社を構えるエーワン精密さんにお邪魔してきました。
お相手は創業経営者の梅原勝彦さん。

同社は、なんと創業以来、40年にもわたって
売上高経常利益率35%以上という凄い会社です。
2003年にはジャスダック市場での
株式上場も果たしています。

■株式会社エーワン精密>>>
http://www.a-one-seimitsu.co.jp/

二代目、三代目の経営者の方々には大変失礼ながら、
経験上、お話が面白いのは、やっぱり創業者です。

みなさん歯に衣着せず、豪快で、言いたいことをおっしゃる割には、
一種の愛嬌を感じさせ、しかも誰も傷つけない(ように思える)のは、
一体どうしてなのか。

梅原さんも大変魅力的な方でした。
どうですか、この素晴らしい笑顔。

umeharasan

梅原さんの座右の銘は「人間本来無一物」。

自分でつくった会社だから、
仮に潰れてしまっても、もともと何もなかったんだから、
振り出しに戻っただけ──
そんな“肚の坐り”が漂ってきます。

梅原さんの座右の銘をお聞きして、
多くの創業経営者に共通する魅力の源もまた、
“肚の坐り”や“覚悟”にあるのでは、と思いました。

12歳(!!)のときから、この世界に身を置いてきたと語る
梅原さんの経営は非常に独創的です。

この取材のときも、

「景気が悪いときや会社が苦しいときこそ設備投資をする」
「社員に言葉でメッセージは送らない」
「組織図はいらない。リーダーは自然に決まる。猿山のボスと一緒」

といった刺激的なフレーズをしばしばお聞きしました。
もちろん、きちんとした論理的な裏付けがあってのご発言です。

コレットチャックという特殊な部品を製造・販売する同社では、
最速で、受注した翌日に納品するという
超スピード体制を取っており、
取引企業から高い評価を得ています。

同業他社では受注から納品まで一週間はかかるのが普通で、
納期に間に合わせられない同業他社から
仕事が回ってくることも多いそうです。

どうしてそんな超短納期が可能なのか。

一つには、ありきたりなIT化はせずに、
ファクシミリと電話で受注し、顧客からの送信票を
ほぼそのまま現場に回していることにあります。
事務系の方々を含め、全社員が応対できるレベルにあることが
このオペレーションを可能にしています。

もう一つ。実は、顧客の要請に応えられる「半完成品」を
在庫としてもっていて、
最後の仕上げにじっくり時間をかけて完成させているのです。

ただし、梅原さんは、同社の成長の要因は、
「社員がみんな頑張ってくれるから」だとおっしゃいます。
「本当に感謝しています」とも……。

たしかに、いくら効率的な体制を整えようと、
いや、整えれば整えるほど、社員への負担は増すでしょう。

となると、仕組みを整えるだけではなく、
負担が増しても頑張ってくれる社員の存在が
必要不可欠といえます。
そして、そのモチベーションを引き出すのは、
やはりトップの仕事なのでしょう。

梅原社長はいかにしてそれを引き出したのか。
そして、十分資金調達にゆとりがありながら、
なぜ上場を目指したのか──。

ここから先は、10月1日発売予定の『月刊経営者会報』10月号を
ぜひ、お手に取っていただければと思います。

(編集部・酒井俊宏)



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2007年07月30日(月)更新

取材日記 中村ブレイス 中村俊郎社長 ─2─

(から読んでください)

企業の社会貢献とは、まず、サービスや商品など、
本業そのもので貢献することでしょう。
そしてきちんと利益を上げて納税し、雇用を維持、創出する。

それだけで十分に社会に貢献しているわけですが、
中村社長の場合、そのレベルにとどまりませんでした。

なんと約30年にもわたって、後継者が都会に出てしまうため、
廃屋になりかけた近隣の家々を私財を投入して買い取り、その数、実に
30軒以上。年商に近いくらいの額を投資してきたそうです。
それらの家を修繕して社員寮や工場に活用したりと
保存に努めておられます。

中村社長自身、知事からの要請も受けて、県の教育委員長も務め
「世界遺産を目指す会」の理事にも就任。
そして数年間の活動を経て、今年の7月2日、めでたく正式に
石見銀山の世界遺産への登録が決まりました。
「登録延期」勧告を覆しての登録はほとんど前例がないそうです。

中村社長は「町民や県民の皆さんや、ユネスコ日本政府代表部の
近藤誠一特命全権大使など、関係者の方々の努力のお陰です」と
おっしゃいます。

私も取材のあとで、周辺を回ってみました。
なるほど、こんなところで育ったら、郷土愛も湧くなあ、
と思わせられる、よいところでした。
下手な写真で恐縮ですが、ご覧下さい。


代官屋敷
(代官屋敷跡・現在は石見銀山資料館)



町並み
(旧大森町の町並み)



羅漢
(五百羅漢の入り口)



ちなみに、取材を終えた26日の午後は、中村社長が後援会長を
務める地元の大田高校野球部が県ベスト4に進出、
強豪・江の川高校(中日ドラゴンズ・谷繁選手の母校)
との準決勝があり、これから応援に向かうとのお話でした。
(残念ながら3対2で惜敗)

奥様にもお話をうかがいましたが、
中村社長は大田高校の応援となると、
そのソフトなルックスから想像もつかないくらい熱くなるそうで
太鼓や鉢巻きも自前のものをもって駆けつけるそうです。

郷土への深い愛情と誇り──。

世界遺産登録にしても、
中村ブレイスというスモールトップ企業の存在も、
成功の要因を一つだけに絞るなら、
中村社長の地元への深い愛情に尽きるでしょう。

中小企業の経営者、というより、一人の人間には、
これほどのことができるということに深く感じ入った次第です。
大きな感銘を受けた取材でした。

中村社長、奥様、写真撮影に快く応じてくださった社員の皆様、
本当にありがとうございました!

■中村ブレイス株式会社
■過去の取材日記はこちら…


(編集部・酒井俊宏)




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2007年07月30日(月)更新

取材日記 中村ブレイス 中村俊郎社長 ─1─

先週の25日、26日と
経営者会報の連載『異能経営者がゆく!』の取材で
島根県の大田市へ行ってまいりました。

ご存じない方のためにご説明すると
『異能経営者がゆく!』は経営者会報の巻頭カラー記事。
「異能」という言葉を辞書で引くと「人に秀でた能力」と
あります。経営者として、その方のどこが秀でているのか、
ワンテーマ的かつドキュメンタリータッチで示すものです。

今回ご登場いただいたのは中村ブレイス中村俊郎社長(59)。

同社は先頃、世界遺産に認定された石見銀山の入り口、
旧大森町にあります。
ここは、かつて江戸幕府の代官屋敷が存在したエリアです。
実は中村社長ご自身、石見銀山の世界遺産への認定に
大きく貢献されたかたなのです(ご本人は否定されますが)。

取材の申し込みをさせていただいた直後に
石見銀山の世界遺産登録が決まり、偶然とはいえ、
いいタイミングでの取材となりました。


本社
(中村ブレイス本社屋。和風な感じが周囲の景観とよくマッチしています)

中村社長のお父上は、合併前の大森町で収入役を務めるなど、
中村家は町の名士でした。お父上は中村社長が幼い頃から
「石見銀山は日本だけじゃなく世界に貢献した町なんだ」
と言ってきかせたそうです。

京都やアメリカで義肢装具などの製作の修業を積んだ中村社長は
1974年、26歳で故郷の大森町に戻り、
過疎化の進む町に少しでも貢献しようと実家の納屋を改装して
たった一人で義肢装具の会社を起こします。
この「郷土愛」こそが中村社長の「異能」たるゆえんです。

「こんな田舎では無理だ」という周囲の声をよそに
中村社長は奮闘を続けます。(その奮闘ぶりについては、
9月1日発行の経営者会報9月号をどうかご覧ください!)

その甲斐あって、義肢装具のほか、
乳がんで乳房を失った女性のための「人工乳房」をはじめとする
芸術作品とすら言ってもおかしくない製品開発も可能になり
同社の製品は多くの人に生きる希望を与えています。
最近では、人工肛門なども開発し、医学界からも大きな期待を
寄せられています。

同社の存在は、独自性さえあれば、地方都市に拠点を置くことは
なんらハンディにはならないということを
示しているのではないでしょうか。(へ続く)

■中村ブレイス株式会社
■過去の取材日記はこちら…

(編集部・酒井俊宏)




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■中小企業経営者のための羅針盤 『月刊経営者会報』
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/
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会社概要

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個人プロフィール

『月刊ニュートップリーダー(L.)』(前身は「経営者会報」)編集部にて社長の取材記事を担当。十数年の間に800名以上の経営者に取材、多くの経営者に感銘を受けた経験から、「日本を支えているのは中小企業とその経営者」と確信し、敬意を抱いている。『経営者会報ブログ』サイト編集部員も兼ねる。

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