酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」 | 経営者会報 (社長ブログ)
「経営者会報ブログ」&「ニュートップリーダー」編集記者・酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」
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2009年04月30日(木)更新
【取材日記】にっこう社/挨拶状ドットコム 徳丸博之さん
いまの時期、自社の事業の本質を、
トップ自身がどのように認識しているか、
それを社員のみなさんとどれだけ共有できているか、
その点が非常に重要なのではないかと考えています。
大変お世話になっている、ある税理士さんにお聞きした話ですが、
この不況下、受注が減ったために遊んでいる人材を活かそうと
自社の事業スタイルを見失い、まったく畑違いの分野に乗り出そうとする
経営者が少なくないそうです。
新事業に出ていくにしても、これでは成功する確率は低くなりますし、
やはりいまの時期は、自社の本業、
その本質に向き合う時期なのではないかと思うのです。
経営者会報本誌5月号でご登場いただいた、
にっこう社社長の徳丸博之さんに取材させていただいて、
その観を強くしました。
挨拶状の作成に特化したサイト、
『挨拶状ドットコム』を運営する同社と徳丸さんには、
前回の取材日記の王将フードサービス・大東隆行氏と同様、
「超元気企業に学ぶ」と題した特集に、
業績好調な企業経営者の代表としてご登場いただきました。
■にっこう社 ホームページ >>>
詳しくは本誌に譲りたいと思いますが、
少し、ご紹介します。
もともと同社は、ごく普通の町の印刷屋さんでした。
長男の徳丸さんが務めていた銀行を辞め、入社された96年頃は
ほとんど利益が出ない状態にありました。
徳丸さんは、持ち前の営業力で、建て直しをはかり、
年商も五倍近い6000万円まで伸ばします。
しかし、無理がたたり、入院してしまいます。
2004年の夏です。
実はその少し前、徳丸さんは、ネットでの事業展開に活路を見出すべく
勉強して、学んだことを実践しようとしておられました。
日常業務もこなしながらなので、その無理がたたった面はあります。
そして生まれたのが、その年の暮れにスタートした、
挨拶状に特化したネットビジネスです。
もともと銀行マンだった徳丸さんは、転勤族でもあります。
頻繁に出す挨拶状は、徳丸さんはお父上にお願いすればすむけれど、
そうでない人たちは大変だろう、という思いから始まったものです。
サイトを立ち上げて以降、ほぼ倍々で成長し、
現在は年商4億円を突破。
同業者も多いなかでこうなった勝因としては、
冒頭で述べたように、
徳丸さんが自社の事業の本質をきっちりと捉え、
それを従業員のみなさんと共有する努力を
惜しまなかったことが大きいと思います。
同社の経営理念は、
「きずなを深めるサービスで日本を元気にしたい!」
というもの。クレドを作成して、全社員での共有に努めておられます。
たとえば、他社では見られない「宛名印刷」を手がけておられますが、
これなど、顧客の側も、よほど業者を信頼していないかぎり、
データを出すこと自体、ためらわれるはずです。
自社の事業を「印刷物の受注」「挨拶状の作成」ではなく、
「きずなを深める」ことだと捉えたからこそ、出てきた発想といえますし、
その姿勢で応対するからこそ、顧客の信頼を得てきたといえるでしょう。
徳丸さんは次のように振り返ります。
「取り組んだ当初は、実は社内の雰囲気は決して
よくはありませんでした。挨拶状サイトの運営は、
人と人の絆を深める素晴らしい仕事だと思い始め
ていましたが、それは私一人が感じているだけで、
皆に伝えるということを一切していなかった。何
のために頑張るのかが不明瞭で、ひたすら忙しい。
これでは社員も辛いだけです」
読者のみなさまには釈迦に説法で、
よく使われるたとえではありますが、
かつてアメリカの鉄道産業が凋落していったのは、
「人とモノを快適に安全に正確に運ぶ」という
いまでは常識である運輸業の本質を見誤り、
「鉄道を走らせること」と思い違いをした点にあると言われます。
自社の事業の本質をどう捉えるか。
本質を捉えていれば、どのような時代にあっても、
対応できるニーズは見つけられると思うのです。
それは、私どものような事業でも同じだと思っています。
徳丸さん、大切なことを学ばせていただきました。
ありがとうございました!
野球にまつわる話(徳丸さんはかつてプロ野球選手を目指しておられました)も
ご紹介したかったのですが、稿を改めて、また記したいと思っております。
どうかご容赦ください。
【付記】
今回の取材では、またもや社会保険労務士の井寄奈美さんに
多大なご尽力をいただきました。
厚く御礼申し上げます。
井寄さん、ありがとうございました。
■中小企業経営者のための羅針盤『月刊経営者会報』
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トップ自身がどのように認識しているか、
それを社員のみなさんとどれだけ共有できているか、
その点が非常に重要なのではないかと考えています。
大変お世話になっている、ある税理士さんにお聞きした話ですが、
この不況下、受注が減ったために遊んでいる人材を活かそうと
自社の事業スタイルを見失い、まったく畑違いの分野に乗り出そうとする
経営者が少なくないそうです。
新事業に出ていくにしても、これでは成功する確率は低くなりますし、
やはりいまの時期は、自社の本業、
その本質に向き合う時期なのではないかと思うのです。
経営者会報本誌5月号でご登場いただいた、
にっこう社社長の徳丸博之さんに取材させていただいて、
その観を強くしました。
挨拶状の作成に特化したサイト、
『挨拶状ドットコム』を運営する同社と徳丸さんには、
前回の取材日記の王将フードサービス・大東隆行氏と同様、
「超元気企業に学ぶ」と題した特集に、
業績好調な企業経営者の代表としてご登場いただきました。
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詳しくは本誌に譲りたいと思いますが、
少し、ご紹介します。
もともと同社は、ごく普通の町の印刷屋さんでした。
長男の徳丸さんが務めていた銀行を辞め、入社された96年頃は
ほとんど利益が出ない状態にありました。
徳丸さんは、持ち前の営業力で、建て直しをはかり、
年商も五倍近い6000万円まで伸ばします。
しかし、無理がたたり、入院してしまいます。
2004年の夏です。
実はその少し前、徳丸さんは、ネットでの事業展開に活路を見出すべく
勉強して、学んだことを実践しようとしておられました。
日常業務もこなしながらなので、その無理がたたった面はあります。
そして生まれたのが、その年の暮れにスタートした、
挨拶状に特化したネットビジネスです。
もともと銀行マンだった徳丸さんは、転勤族でもあります。
頻繁に出す挨拶状は、徳丸さんはお父上にお願いすればすむけれど、
そうでない人たちは大変だろう、という思いから始まったものです。
サイトを立ち上げて以降、ほぼ倍々で成長し、
現在は年商4億円を突破。
同業者も多いなかでこうなった勝因としては、
冒頭で述べたように、
徳丸さんが自社の事業の本質をきっちりと捉え、
それを従業員のみなさんと共有する努力を
惜しまなかったことが大きいと思います。
同社の経営理念は、
「きずなを深めるサービスで日本を元気にしたい!」
というもの。クレドを作成して、全社員での共有に努めておられます。
たとえば、他社では見られない「宛名印刷」を手がけておられますが、
これなど、顧客の側も、よほど業者を信頼していないかぎり、
データを出すこと自体、ためらわれるはずです。
自社の事業を「印刷物の受注」「挨拶状の作成」ではなく、
「きずなを深める」ことだと捉えたからこそ、出てきた発想といえますし、
その姿勢で応対するからこそ、顧客の信頼を得てきたといえるでしょう。
徳丸さんは次のように振り返ります。
「取り組んだ当初は、実は社内の雰囲気は決して
よくはありませんでした。挨拶状サイトの運営は、
人と人の絆を深める素晴らしい仕事だと思い始め
ていましたが、それは私一人が感じているだけで、
皆に伝えるということを一切していなかった。何
のために頑張るのかが不明瞭で、ひたすら忙しい。
これでは社員も辛いだけです」
読者のみなさまには釈迦に説法で、
よく使われるたとえではありますが、
かつてアメリカの鉄道産業が凋落していったのは、
「人とモノを快適に安全に正確に運ぶ」という
いまでは常識である運輸業の本質を見誤り、
「鉄道を走らせること」と思い違いをした点にあると言われます。
自社の事業の本質をどう捉えるか。
本質を捉えていれば、どのような時代にあっても、
対応できるニーズは見つけられると思うのです。
それは、私どものような事業でも同じだと思っています。
徳丸さん、大切なことを学ばせていただきました。
ありがとうございました!
野球にまつわる話(徳丸さんはかつてプロ野球選手を目指しておられました)も
ご紹介したかったのですが、稿を改めて、また記したいと思っております。
どうかご容赦ください。
【付記】
今回の取材では、またもや社会保険労務士の井寄奈美さんに
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井寄さん、ありがとうございました。
(編集部・酒井俊宏)
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2009年04月23日(木)更新
【取材日記】王将フードサービス 大東隆行さん
この不況下で強い企業に素直に学ぼう──
そんな趣旨で、経営者会報本誌5月号では、
「超元気企業に学ぶ」と題して、
業績好調な数社の経営者にご登場いただきました。
業績好調と一口に言っても、ビジネス自体が不況向きな事業形態、
業種はたしかにあるでしょう。
ただ、そうした括り方で済ませては本質を見誤るということを、
取材でお邪魔させていただいて、強く感じさせていただいた会社が
「餃子の王将」をチェーン展開する王将フードサービスでした。
2000年から指揮を執っておられる
大東隆行社長にお話をうかがってきましたが、
やはり業績好調な会社は、やるべきこと、
あるいはやろうと思ってもなかなかできない、
面倒なことに着手しています。
■王将フードサービス ホームページ >>>
FC直営合わせ500店舗以上を展開する同社は、
この8年間、増収増益を続け、
2008年度の決算では売上が545億円、
営業利益で60億円を突破する見込みです。
とくに昨秋からの景気の落ち込みは、
一皿200円(関東圏では220円)の餃子を中心に
廉価でボリュームのある食事を提供する同社にとっては、
むしろ追い風となり、ことしの3月に入ってから
業績予想を上方修正するほどの伸びを見せています。
ファミリーレストランや居酒屋のお客さんを
かなり引き寄せているのでしょう。
ただ、先にも述べましたが、ただ安いから、早いから、
お客さんが集まっているわけではありません。
詳しくは、例によって、経営者会報5月号を
お手に取っていただきたいと思いますが、
さわりをご紹介します。
同社は実は2000年頃、新規出店した店の売上が伸び悩み、
危機的状況にありました。
創業者の義理の弟である大東さんが社長に就任したのは
その時期です。
なぜ危機に陥ったのか。
大東さんはそれにどう立ち向かっていったのか。
「かつては極力、現場で調理をしていたのに、
成長の速度が遅いということで、効率化を図
るため、ある程度セントラルキッチンで調理
済みのものをクローズドキッチンで仕上げて
お出ししたり、本来のコンセプトからずれて
いた部分がいくつもありました。450店舗の
うちオープンキッチンだったものをクローズ
ドに変えたお店が70店舗くらいがあった。業
績の上がっていないのはクローズドの店舗で
スタッフも元気がなかった」
そこで大東社長が打ち出したのは「原点回帰」でした。
店舗で極力、調理をする本来のスタイルに戻す。
メニューも主力のものを徹底的に見直す。
その“回帰”は、事業スタイルのみにとどまらず、
人材育成にも及びます。
「社員の協力なしに改革はできませんし、社
員を大切にしない企業に明日はない。これも
当社の原点。ですから赤字に陥った2002年
の決算時でも『頑張ってくれてありがとう』
という感謝の気持ちを込めて決算賞与を支給
しました。例年の半分を出すのが精一杯でし
たが、社員ありきだと考えていることを示し
たかった」
その相互の信頼感を前提に、
同社では店長に大きく権限を委譲しています。
基本のメニュー以外の、定食メニューやその店独自のメニュー、
販売・接客のスタイルも、基本を守ってさえいれば
店長の裁量に任されるのです。
もちろん、きちんとした管理・支援もしています。
業績は前日のデータが日々、精査され、
落ち込みがあれば、エリアマネージャーと店長を中心にして、
打開策をすぐに練る。
こうした努力が奏功して、同社の業績は冒頭で述べたように
上昇していくのです。
トップが確たる方針を打ち出し、
信念を持って進めたからこその成功といえます。
一方で、大東社長はいまも月に何十店舗も回り、
現場の人たちを勇気づけています。
研修を行うときも、
まず役員、部長、エリアマネージャークラスから
実施するそうです。
昨今の不況を受けて、いましきりに企業経営において
「原点回帰」の必要性が叫ばれています。
その点、王将フードサービスは模範的な存在でしょう。
ただし、その回帰は、社員に高い要求水準を求めるだけでなく、
その成長を真摯に見守り、働きに報いるという
トップ以下経営幹部の姿勢あってこそ、
可能になったという点を
見落としてはならないと思うのです。
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「超元気企業に学ぶ」と題して、
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業種はたしかにあるでしょう。
ただ、そうした括り方で済ませては本質を見誤るということを、
取材でお邪魔させていただいて、強く感じさせていただいた会社が
「餃子の王将」をチェーン展開する王将フードサービスでした。
2000年から指揮を執っておられる
大東隆行社長にお話をうかがってきましたが、
やはり業績好調な会社は、やるべきこと、
あるいはやろうと思ってもなかなかできない、
面倒なことに着手しています。
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FC直営合わせ500店舗以上を展開する同社は、
この8年間、増収増益を続け、
2008年度の決算では売上が545億円、
営業利益で60億円を突破する見込みです。
とくに昨秋からの景気の落ち込みは、
一皿200円(関東圏では220円)の餃子を中心に
廉価でボリュームのある食事を提供する同社にとっては、
むしろ追い風となり、ことしの3月に入ってから
業績予想を上方修正するほどの伸びを見せています。
ファミリーレストランや居酒屋のお客さんを
かなり引き寄せているのでしょう。
ただ、先にも述べましたが、ただ安いから、早いから、
お客さんが集まっているわけではありません。
詳しくは、例によって、経営者会報5月号を
お手に取っていただきたいと思いますが、
さわりをご紹介します。
同社は実は2000年頃、新規出店した店の売上が伸び悩み、
危機的状況にありました。
創業者の義理の弟である大東さんが社長に就任したのは
その時期です。
なぜ危機に陥ったのか。
大東さんはそれにどう立ち向かっていったのか。
「かつては極力、現場で調理をしていたのに、
成長の速度が遅いということで、効率化を図
るため、ある程度セントラルキッチンで調理
済みのものをクローズドキッチンで仕上げて
お出ししたり、本来のコンセプトからずれて
いた部分がいくつもありました。450店舗の
うちオープンキッチンだったものをクローズ
ドに変えたお店が70店舗くらいがあった。業
績の上がっていないのはクローズドの店舗で
スタッフも元気がなかった」
そこで大東社長が打ち出したのは「原点回帰」でした。
店舗で極力、調理をする本来のスタイルに戻す。
メニューも主力のものを徹底的に見直す。
その“回帰”は、事業スタイルのみにとどまらず、
人材育成にも及びます。
「社員の協力なしに改革はできませんし、社
員を大切にしない企業に明日はない。これも
当社の原点。ですから赤字に陥った2002年
の決算時でも『頑張ってくれてありがとう』
という感謝の気持ちを込めて決算賞与を支給
しました。例年の半分を出すのが精一杯でし
たが、社員ありきだと考えていることを示し
たかった」
その相互の信頼感を前提に、
同社では店長に大きく権限を委譲しています。
基本のメニュー以外の、定食メニューやその店独自のメニュー、
販売・接客のスタイルも、基本を守ってさえいれば
店長の裁量に任されるのです。
もちろん、きちんとした管理・支援もしています。
業績は前日のデータが日々、精査され、
落ち込みがあれば、エリアマネージャーと店長を中心にして、
打開策をすぐに練る。
こうした努力が奏功して、同社の業績は冒頭で述べたように
上昇していくのです。
トップが確たる方針を打ち出し、
信念を持って進めたからこその成功といえます。
一方で、大東社長はいまも月に何十店舗も回り、
現場の人たちを勇気づけています。
研修を行うときも、
まず役員、部長、エリアマネージャークラスから
実施するそうです。
昨今の不況を受けて、いましきりに企業経営において
「原点回帰」の必要性が叫ばれています。
その点、王将フードサービスは模範的な存在でしょう。
ただし、その回帰は、社員に高い要求水準を求めるだけでなく、
その成長を真摯に見守り、働きに報いるという
トップ以下経営幹部の姿勢あってこそ、
可能になったという点を
見落としてはならないと思うのです。
(編集部・酒井俊宏)
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2009年03月27日(金)更新
【取材日記】福知工業 福知香代子さん
女性経営者は、往々にして、
男性経営者より、思い切りがよいような気がしていましたが、
経営者会報4月号「シリーズ告白」で取材させていただいた、
福知工業の福知香代子さんは、まさに「決断の人」でした。
■福知工業 ホームページ >>>
福知さんは、同社の実質三代目。
福知さんのお父上は、「灯油販売用小型移動タンク」を開発、
その後、トラック積載用の「コンテナ・ローリー」を
世に送り出したかたです。
いわゆる灯油の移動販売は、同社の存在を抜きにして語れません。
下の写真の後ろのほうにあるローリーの製造が
同社の主業務です。
ですが、昨今のエネルギー需要の変化、
加えて景気の悪化から、
福知さんは、昨年の暮れ、
事業縮小を決意します。
「ローリーの需要はあるし、お客様にはメーカーとして部品を
供給する義務があります。どうすればよいのか、考えに考えて
私は“協業先”を探すことにしました」
どういうことかと言いますと、
信頼できる経営者に話をし、
同社は受注と資材調達をメインにして、実際の製造は
協業会社がする。社員もそちらに移籍してもらうようにしたのです。
ことしの2月20日をもって、そのような形に改めたそうです。
「私なりに、社員と、お客様にとって、一番よい選択は何か、
悩み抜いた結果の決断でした。社員とお客様のことしか考え
なかった」
その決断に至るまでの紆余曲折は、
ぜひ経営者会報4月号をご覧いただきたいと思いますが、
私が強く感じたのは、冒頭で述べた、
福知さんの決断力、思い切りのよさです。
こうした場合、男性の経営者、それも、
経営をしてきた経験が豊富な人ほど、
「見栄」が邪魔をするのか、
逡巡しているうちにタイミングを逸してしまうような
気がしてなりません。
結果、社員も喜ばず、顧客も取引先も喜ばず、
そして自身も大きなダメージを負うような結果を招いてしまう。
福知さんの決断には大きな根拠があり、
ご本人のなかにも、悔いはないように見受けられました。
この、顧客と従業員が最優先、という価値観は、
お父上譲りだそうです。
それも、あとになってから、気づいたことだそうですが……
「いつか、もう一度集結できるよう、がんばろう、とみんなに
は言いました」
そう語る、福知さんの口調は、
毅然としていました。
なお、福知さんへの取材は、この経営者会報ブログの会員である
社会保険労務士・井寄奈美さんのご紹介で実現しました。
取材の日は、井寄さんにもご同席いただきました。
下の写真は、井寄さん(左)と福知さんのツーショットです。
井寄さんご自身もブログで書いておられます。
ぜひご覧ください。
■井寄さんのブログ >>>
何度も書いてきたことですが、
やっぱり、よい人のお知り合いは、必ずよい人です。
今回も強く、そのことを感じました。
もちろん、取材ソースは自分で探すべきですし、
アンテナも張っているつもりですが、
こうしたケースでは、ご紹介くださったかたを
信じて、あっさりとお邪魔させていただきます。
正直、新聞などの情報より、一人の信頼できるかたの目のほうが
信じられる、と思っているからです。
福知さん、井寄さん、
本当にありがとうございました!
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男性経営者より、思い切りがよいような気がしていましたが、
経営者会報4月号「シリーズ告白」で取材させていただいた、
福知工業の福知香代子さんは、まさに「決断の人」でした。
■福知工業 ホームページ >>>
福知さんは、同社の実質三代目。
福知さんのお父上は、「灯油販売用小型移動タンク」を開発、
その後、トラック積載用の「コンテナ・ローリー」を
世に送り出したかたです。
いわゆる灯油の移動販売は、同社の存在を抜きにして語れません。
下の写真の後ろのほうにあるローリーの製造が
同社の主業務です。
ですが、昨今のエネルギー需要の変化、
加えて景気の悪化から、
福知さんは、昨年の暮れ、
事業縮小を決意します。
「ローリーの需要はあるし、お客様にはメーカーとして部品を
供給する義務があります。どうすればよいのか、考えに考えて
私は“協業先”を探すことにしました」
どういうことかと言いますと、
信頼できる経営者に話をし、
同社は受注と資材調達をメインにして、実際の製造は
協業会社がする。社員もそちらに移籍してもらうようにしたのです。
ことしの2月20日をもって、そのような形に改めたそうです。
「私なりに、社員と、お客様にとって、一番よい選択は何か、
悩み抜いた結果の決断でした。社員とお客様のことしか考え
なかった」
その決断に至るまでの紆余曲折は、
ぜひ経営者会報4月号をご覧いただきたいと思いますが、
私が強く感じたのは、冒頭で述べた、
福知さんの決断力、思い切りのよさです。
こうした場合、男性の経営者、それも、
経営をしてきた経験が豊富な人ほど、
「見栄」が邪魔をするのか、
逡巡しているうちにタイミングを逸してしまうような
気がしてなりません。
結果、社員も喜ばず、顧客も取引先も喜ばず、
そして自身も大きなダメージを負うような結果を招いてしまう。
福知さんの決断には大きな根拠があり、
ご本人のなかにも、悔いはないように見受けられました。
この、顧客と従業員が最優先、という価値観は、
お父上譲りだそうです。
それも、あとになってから、気づいたことだそうですが……
「いつか、もう一度集結できるよう、がんばろう、とみんなに
は言いました」
そう語る、福知さんの口調は、
毅然としていました。
なお、福知さんへの取材は、この経営者会報ブログの会員である
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取材の日は、井寄さんにもご同席いただきました。
下の写真は、井寄さん(左)と福知さんのツーショットです。
井寄さんご自身もブログで書いておられます。
ぜひご覧ください。
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何度も書いてきたことですが、
やっぱり、よい人のお知り合いは、必ずよい人です。
今回も強く、そのことを感じました。
もちろん、取材ソースは自分で探すべきですし、
アンテナも張っているつもりですが、
こうしたケースでは、ご紹介くださったかたを
信じて、あっさりとお邪魔させていただきます。
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2009年03月24日(火)更新
【取材日記】平成建設 秋元久雄さん
中小企業にはなかなかよい人材は来ない──。
それは一面事実かもしれませんが、
よい人材を採用できている企業は現実にあります。
そうした企業のトップにお会いすると、
結局は、トップの熱意次第ではないのか、
と思えてきます。
最新号の経営者会報3月号「異能経営者がゆく!」で
ご登場いただいた、平成建設(静岡県沼津市)の
創業社長・秋元久雄さんの、採用にかける情熱は
凄いものがありました。
詳しくは、最新の3月号をお手に取っていただければと思いますが、
以下、少しご紹介します。
■平成建設 ホームページ >>>
代々の大工棟梁の家に生まれた秋元さんは、
一時はウェイトリフティングでの五輪出場を目指し、
自衛隊体育学校に入学します。
残念ながら夢は叶わず、ゼネコンやハウスメーカーで
営業職として飛び抜けた成績を上げたのち、独立。
1989年のことです。
減少傾向かつ高齢化する「大工」さんを
自らの手で育てるための選択でした。
もちろん、何事も下請けに出すのが当たり前の業界で、
自前で大工を育てられたら、企業としての大きな強みになる、
という経営者としての読みもありました。
「大工を社内で育成したらどうかと、何度も勤め先で
進言した。でも全く受け容れてもらえない。それはそ
うです。職人を正社員として抱えれば、教育コストも
かかるし、受注産業なので仕事の量にも波があり社会
保険料等を含めた固定費の負担もばかにならない。誰
も内製化なんてしたがりません」
そして創業して8年目の97年、
地元以外での新卒採用に踏み切ります。
地元の優秀な人材を、
毎年一人か二人は採用できるようになってきたことで
手応えを得たからです。
「静岡に一人いるなら、全国から集めたら、50人くら
い採れるだろう、と単純に考えた(笑)」
いつのときも、秋元さん自ら、説明会に出て、
熱く、仕事のやりがいを訴えるうちに、
いつしか、東京工業大や東大、早慶、
地方の国公立大学などから、優秀な新卒が
集まるようになりました。
「元来、大工は自分で設計もすれば現場の管理もやる。
棟梁ともなればそれが当然で、自分も職人でありなが
ら職人をうまく使う。高度な知識と技能、経験を要求
される仕事でした。高度成長期に分業化が進んで、そ
うした仕事は求められなくなり、大工はやりがいのな
い職業になり果ててしまった。業界挙げて分業化した
結果、大工仕事の価値を貶めてしまったのです」
秋元さんは、その価値をもう一度、
取り戻そうとしておられます。
内製化に徹することで、中間マージンはなくなり
コスト面で優位に立てるほか、
顧客の要望をダイレクトに聴き、
施工に活かすことにもつながっています。
現在、同社は、リクルートの就職人気ランキングのゼネコン部門で
大手に伍してトップテンの常連になっています。
それにしても、同業他社がやらない、
リスクのある取り組みに秋元さんが挑戦できたのはなぜなのか。
私は「成功への確信」に尽きると思います。
その確信はおそらく、単なる成功意欲からは生まれない。
秋元さんはこう危惧します。
「このままでは大工がいなくなり、日本の伝統建築を
手がけられる人間は誰もいなくなる。これは文化の損
失です」
このスケール感ある「志」があってこそ、確信は強化され、
志に裏付けされた確信を経営者がもっているから、
若者たちの心を捉えるのではないか。
そう思わずにはいられませんでした。
秋元さん、ありがとうございました!
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それは一面事実かもしれませんが、
よい人材を採用できている企業は現実にあります。
そうした企業のトップにお会いすると、
結局は、トップの熱意次第ではないのか、
と思えてきます。
最新号の経営者会報3月号「異能経営者がゆく!」で
ご登場いただいた、平成建設(静岡県沼津市)の
創業社長・秋元久雄さんの、採用にかける情熱は
凄いものがありました。
詳しくは、最新の3月号をお手に取っていただければと思いますが、
以下、少しご紹介します。
■平成建設 ホームページ >>>
代々の大工棟梁の家に生まれた秋元さんは、
一時はウェイトリフティングでの五輪出場を目指し、
自衛隊体育学校に入学します。
残念ながら夢は叶わず、ゼネコンやハウスメーカーで
営業職として飛び抜けた成績を上げたのち、独立。
1989年のことです。
減少傾向かつ高齢化する「大工」さんを
自らの手で育てるための選択でした。
もちろん、何事も下請けに出すのが当たり前の業界で、
自前で大工を育てられたら、企業としての大きな強みになる、
という経営者としての読みもありました。
「大工を社内で育成したらどうかと、何度も勤め先で
進言した。でも全く受け容れてもらえない。それはそ
うです。職人を正社員として抱えれば、教育コストも
かかるし、受注産業なので仕事の量にも波があり社会
保険料等を含めた固定費の負担もばかにならない。誰
も内製化なんてしたがりません」
そして創業して8年目の97年、
地元以外での新卒採用に踏み切ります。
地元の優秀な人材を、
毎年一人か二人は採用できるようになってきたことで
手応えを得たからです。
「静岡に一人いるなら、全国から集めたら、50人くら
い採れるだろう、と単純に考えた(笑)」
いつのときも、秋元さん自ら、説明会に出て、
熱く、仕事のやりがいを訴えるうちに、
いつしか、東京工業大や東大、早慶、
地方の国公立大学などから、優秀な新卒が
集まるようになりました。
「元来、大工は自分で設計もすれば現場の管理もやる。
棟梁ともなればそれが当然で、自分も職人でありなが
ら職人をうまく使う。高度な知識と技能、経験を要求
される仕事でした。高度成長期に分業化が進んで、そ
うした仕事は求められなくなり、大工はやりがいのな
い職業になり果ててしまった。業界挙げて分業化した
結果、大工仕事の価値を貶めてしまったのです」
秋元さんは、その価値をもう一度、
取り戻そうとしておられます。
内製化に徹することで、中間マージンはなくなり
コスト面で優位に立てるほか、
顧客の要望をダイレクトに聴き、
施工に活かすことにもつながっています。
現在、同社は、リクルートの就職人気ランキングのゼネコン部門で
大手に伍してトップテンの常連になっています。
それにしても、同業他社がやらない、
リスクのある取り組みに秋元さんが挑戦できたのはなぜなのか。
私は「成功への確信」に尽きると思います。
その確信はおそらく、単なる成功意欲からは生まれない。
秋元さんはこう危惧します。
「このままでは大工がいなくなり、日本の伝統建築を
手がけられる人間は誰もいなくなる。これは文化の損
失です」
このスケール感ある「志」があってこそ、確信は強化され、
志に裏付けされた確信を経営者がもっているから、
若者たちの心を捉えるのではないか。
そう思わずにはいられませんでした。
秋元さん、ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2009年02月02日(月)更新
【取材日記】サワダ製作所 澤田浩一さん
この、「経営者会報ブログ」の会員さんには、
さまざまな形で経営者会報本誌にご登場いただくことが増えています。
みなさまが日々、ブログで発信してくださることで
当方が読者にご紹介したい、他の経営者にとって
参考度の高い取り組みをしておられることが確信でき、
変な表現ですが、「自信をもって」
取材依頼することができるからです。
それは弊誌だけでなく、他誌、同業他社も同様と思われ、
多くのかたが、ブログを通じて、
取材依頼を受けるケースが増えているようです。
しっかりした経営をしておられること、
そしてその言葉に嘘がないことが
文面から伝わってくるからでしょう。
トップ自身が情報発信することで
メディアの目に留まる確率はどんどん高まるように思います。
最新の2月号では、サワダ製作所社長の澤田浩一さんに
ご登場いただいています。
これは「社長の声」という、体験した人でしかわからない
取り組みや事件をご紹介する枠で、
自社の新工場移転の効果について、振り返っていただきました。
澤田さんご自身が、ブログでずっと綴ってこられたことで、
いつか、まとまったかたちで記事にさせていただきたいと
私は考えていました。
■澤田さんのブログ >>>
■サワダ製作所 ホームページ >>>
詳しくは本文をご覧いただければ幸いですが、
少しだけご紹介します。
澤田さんは、かねてより懸案だった第一工場と第二工場の統合、
従業員のみなさんの職場環境の改善、3S活動へのよりいっそうの注力、
といった課題を解決するため、新たに工場を建て、移転することを決意。
その際、きわだって素晴らしいと思いましたが、
新工場のレイアウト案を、チーム編成された社員のみなさんから募り、
なんと「社内コンペ」を開いてしまったのです。
澤田さんは次のようにおっしゃいます。
「皆でレイアウトを考えることで、各自が自分の仕事を
見つめ直すことにつながり、自部署の都合だけを優先す
ることの愚を、多くの社員が理解してくれるようになり
ました。文科系の出身の私は現場のことは一通り、理解
はしているつもりですが、細かい点になると現場で叩き
上げてきた人間にはかなわない。製造も営業もできない、
技術もわからない、ダメ経営者の私では、彼らの意見を
聞き、ベクトルを一致させていかないと会社自体、成り
立っていかない。そう考えてきたので、新工場のプラン
策定には絶対に社員に参加してもらいたかったんです」
2007年夏に開かれたコンペを経て、
昨年夏に、愛着のある大阪市淀川区から尼崎市の新工場に移転。
コンペで最優秀となった案をもとにレイアウトが練られ、
全員参加でできあがった工場から、
丹精込められた同社の製品が生み出されています。
澤田さん御自ら、ご案内くださり、
ありがとうございました。
工場をあとにするとき、ふと振り返ると、
なにか、従業員のみなさまの、
「俺たちの工場だ!」という思いや気概が、
たちのぼってくるような気がしました。
会員のみなさまには、すでにこの新工場に
行かれたかたもおられることと存じますが、
まだのかたはぜひ、澤田さんにご連絡され、
見学されることをお勧めしたいと思います。
(澤田さんへ。 …と書いてしまいましたが、大丈夫ですよね?)
澤田さん、ありがとうございました!
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それは弊誌だけでなく、他誌、同業他社も同様と思われ、
多くのかたが、ブログを通じて、
取材依頼を受けるケースが増えているようです。
しっかりした経営をしておられること、
そしてその言葉に嘘がないことが
文面から伝わってくるからでしょう。
トップ自身が情報発信することで
メディアの目に留まる確率はどんどん高まるように思います。
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ご登場いただいています。
これは「社長の声」という、体験した人でしかわからない
取り組みや事件をご紹介する枠で、
自社の新工場移転の効果について、振り返っていただきました。
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いつか、まとまったかたちで記事にさせていただきたいと
私は考えていました。
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澤田さんは、かねてより懸案だった第一工場と第二工場の統合、
従業員のみなさんの職場環境の改善、3S活動へのよりいっそうの注力、
といった課題を解決するため、新たに工場を建て、移転することを決意。
その際、きわだって素晴らしいと思いましたが、
新工場のレイアウト案を、チーム編成された社員のみなさんから募り、
なんと「社内コンペ」を開いてしまったのです。
澤田さんは次のようにおっしゃいます。
「皆でレイアウトを考えることで、各自が自分の仕事を
見つめ直すことにつながり、自部署の都合だけを優先す
ることの愚を、多くの社員が理解してくれるようになり
ました。文科系の出身の私は現場のことは一通り、理解
はしているつもりですが、細かい点になると現場で叩き
上げてきた人間にはかなわない。製造も営業もできない、
技術もわからない、ダメ経営者の私では、彼らの意見を
聞き、ベクトルを一致させていかないと会社自体、成り
立っていかない。そう考えてきたので、新工場のプラン
策定には絶対に社員に参加してもらいたかったんです」
2007年夏に開かれたコンペを経て、
昨年夏に、愛着のある大阪市淀川区から尼崎市の新工場に移転。
コンペで最優秀となった案をもとにレイアウトが練られ、
全員参加でできあがった工場から、
丹精込められた同社の製品が生み出されています。
澤田さん御自ら、ご案内くださり、
ありがとうございました。
工場をあとにするとき、ふと振り返ると、
なにか、従業員のみなさまの、
「俺たちの工場だ!」という思いや気概が、
たちのぼってくるような気がしました。
会員のみなさまには、すでにこの新工場に
行かれたかたもおられることと存じますが、
まだのかたはぜひ、澤田さんにご連絡され、
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(澤田さんへ。 …と書いてしまいましたが、大丈夫ですよね?)
澤田さん、ありがとうございました!
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2009年01月20日(火)更新
【取材日記】リングアンドリンク 金丸信一さん
新規事業を起こす際、よくいわれるのは
落下傘方式ではダメで、自社の事業の延長線上でやるべき、
ということです。
実際、それが大きな前提ではあるのでしょう。
しかし、自社の事業の本質をよく捉えていないと
単に裾野を広げただけで、
今度は既存の事業が手薄になったりすることもあるでしょう。
過日、経営者会報2月号の特集「高収益企業になる!」で
取材をさせていただいた
リングアンドリンク社長の金丸信一さんの取り組みは
その点、とても参考になります。
精密機械製造がメインでしたが、
ソフトウェア事業にも乗り出し、
これがわずか5年あまりで、
全体の3割を売り上げるまでに伸びているのです。
■リングアンドリンク ホームページ >>>
もちろん、「高収益企業になる」という企画の趣旨に関しても
同社は十二分に読者にヒントを示しておられます。
99年、経営危機に陥ってから、
金丸社長は、抜本的に組織を改革しました。
チーム制を採り入れ、会社の数字をすべて公開。
利益を重視する姿勢を打ち出し、それはご自身も徹底され、
社員のかたにはいっさい指示を出さず、
「利益は出るか、出たのか」を確認するだけ。
それで業績は奇跡的な回復を遂げていくのです。
(くわしくは、経営者会報2月号をご覧ください)
合わせて、先に述べた、新規事業=ソフトウェア事業が
大きな伸びを見せます。
これは自社で独自に構築していたシステムを
応用できる業種はないかを探し、
不動産事業者向けに特化して世に送り出されたものです。
「ウェブに関する技術も、工場内でLANを構築していた
関係でネットワークの技術もあり、データベース化に関し
てもノウハウがありました。この三つの技術を一括で提供
しているシステム業者は意外にない。ビジネスに活かせな
いかと考えて、成算ありと判断したのが不動産業界です。
サポートに力を入れていますが、機械屋である私どもにと
って機械が壊れたら修理するのは当たり前です」
……だから、畑違いの業種への無謀な進出ではなく、
同社の既存事業の延長線上で生まれたビジネスモデルといえます。
おやりになっていることの本質を
きちんとつかんでおられたから、成功したのでしょう。
くわしくはこちらをどうぞ。
■@dream2000 >>>
金丸さんは、いまでは不動産業者にとっては
救いの神のようになり、全国を講演や指導で
回っておられるとのことです。
昨年は154回!講演されたとのこと。
同社のシステムでホームページを作成している業者も
なんと1600社にのぼるそうです。
金丸さん、ありがとうございました!
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ということです。
実際、それが大きな前提ではあるのでしょう。
しかし、自社の事業の本質をよく捉えていないと
単に裾野を広げただけで、
今度は既存の事業が手薄になったりすることもあるでしょう。
過日、経営者会報2月号の特集「高収益企業になる!」で
取材をさせていただいた
リングアンドリンク社長の金丸信一さんの取り組みは
その点、とても参考になります。
精密機械製造がメインでしたが、
ソフトウェア事業にも乗り出し、
これがわずか5年あまりで、
全体の3割を売り上げるまでに伸びているのです。
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もちろん、「高収益企業になる」という企画の趣旨に関しても
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99年、経営危機に陥ってから、
金丸社長は、抜本的に組織を改革しました。
チーム制を採り入れ、会社の数字をすべて公開。
利益を重視する姿勢を打ち出し、それはご自身も徹底され、
社員のかたにはいっさい指示を出さず、
「利益は出るか、出たのか」を確認するだけ。
それで業績は奇跡的な回復を遂げていくのです。
(くわしくは、経営者会報2月号をご覧ください)
合わせて、先に述べた、新規事業=ソフトウェア事業が
大きな伸びを見せます。
これは自社で独自に構築していたシステムを
応用できる業種はないかを探し、
不動産事業者向けに特化して世に送り出されたものです。
「ウェブに関する技術も、工場内でLANを構築していた
関係でネットワークの技術もあり、データベース化に関し
てもノウハウがありました。この三つの技術を一括で提供
しているシステム業者は意外にない。ビジネスに活かせな
いかと考えて、成算ありと判断したのが不動産業界です。
サポートに力を入れていますが、機械屋である私どもにと
って機械が壊れたら修理するのは当たり前です」
……だから、畑違いの業種への無謀な進出ではなく、
同社の既存事業の延長線上で生まれたビジネスモデルといえます。
おやりになっていることの本質を
きちんとつかんでおられたから、成功したのでしょう。
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金丸さんは、いまでは不動産業者にとっては
救いの神のようになり、全国を講演や指導で
回っておられるとのことです。
昨年は154回!講演されたとのこと。
同社のシステムでホームページを作成している業者も
なんと1600社にのぼるそうです。
金丸さん、ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2009年01月19日(月)更新
【取材日記】タビオ 越智直正会長
接するだけでこちらが元気をいただくような、
魅力的な経営者にお会いすることができる。
それは、この経営者会報という雑誌に携わることの
大きな「役得」だと思っております。
ものの考え方やスケールに刺激を受けますし、
なにより、単純に、パワーをいただいた感じになります。
実際、その会社がうまく行っているのも、
経営者のモチベーションや明るさに
多くの社員さんが刺激を受けている、
という面はあると思います。
そうしたかたは、やはり創業者に多いなというのが
私の実感です。
事業を自ら創り上げてきた自信がおありなのでしょうし、
ご自身が手塩にかけてきた会社、そして社員のみなさんに対して
大きな愛情を注いでいるのが伝わってきます。
経営者会報2月号の特集「高収益企業になる!」にご登場いただいた
タビオ創業者の越智直正会長は、まさに、そんなかたでした。
取材の窓口になってくださった、広報グループの伊藤さんと。
■タビオ ホームページ >>>
タビオはもとの社名をダンといいます。
社名変更して2年あまりなので、
こちらで記憶されているかたも多いと思います。
靴下卸から始まって、現在は企画から製造・卸売・小売まで手がけ、
「靴下屋」のブランドを中心に
FC、直営合わせて全国約280店舗を有しています。
一足800円前後からという同社の主力商品の靴下は
高品質で耐久性に優れ、ファッション性も高く、
消費者に強く支持されてきました。
多くの同業者、アパレル関係者が中国に生産拠点を置き、
彼の地での生産をメインとするなか、国内生産にこだわり、
製造などの関係する企業と手を携えた経営を貫いてきています。
(数%は同社でも中国生産していますが)
90年代初期に、生産工場(協力工場)と仕入れ先である糸関係の商社、
そして小売店をつなぐ、
サプライチェーン・マネジメントシステムを構築しているのです。
業界では嚆矢といえるでしょう。
そうしてできあがった、「売れるぶんだけ作る」体制が
同社の、売上高経常利益率12%超という高収益の根幹です。
詳しくは、2月1日発行予定の、
弊誌2月号をご覧いただければと思いますが、
越智会長は、人こそ高収益の源泉とおっしゃっています。
「システムは道具です。道具を真似すれば成功するなら、
長嶋さんのバット使えば誰でもホームランが打てること
になる。作家先生の使てる万年筆使えば同じ文章が書け
ることになる。そんなわけない。システムではなくてそ
れを支える人が重要なんです」
もう一つ。
世界中を回ってきた越智会長は、日本人と日本という国に
強い誇り、自信をもっておられます。
「わし程度の男の考えることは、日本という国で、日本
人と一緒なら、必ず叶えられる。日本人は優秀です。な
のにメディアは悲観論ばかり。日本人は自信をもたなく
てはいけません」
つい悲観的になりがちな昨今ですし、
多くのマスメディアの姿勢は、たしかに
総じて悲観的な論調が幅をきかせています。
もちろん理性的な検証は必要ですが、
メディアのそうした論調が余計に
人々から活力を奪っている面は
否めないのではないか、と思います。
弊誌は、悲観論に陥らない、明るい将来を描くための
ヒントを示していきたいと、越智会長にお会いして、
改めて肝に銘じた次第です。
読めば元気の出る、越智会長のお話、
ぜひ弊誌を手に取って、ご覧いただければと思います。
越智会長、元気をいただきました。
ありがとうございました!
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それは、この経営者会報という雑誌に携わることの
大きな「役得」だと思っております。
ものの考え方やスケールに刺激を受けますし、
なにより、単純に、パワーをいただいた感じになります。
実際、その会社がうまく行っているのも、
経営者のモチベーションや明るさに
多くの社員さんが刺激を受けている、
という面はあると思います。
そうしたかたは、やはり創業者に多いなというのが
私の実感です。
事業を自ら創り上げてきた自信がおありなのでしょうし、
ご自身が手塩にかけてきた会社、そして社員のみなさんに対して
大きな愛情を注いでいるのが伝わってきます。
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タビオ創業者の越智直正会長は、まさに、そんなかたでした。
取材の窓口になってくださった、広報グループの伊藤さんと。
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タビオはもとの社名をダンといいます。
社名変更して2年あまりなので、
こちらで記憶されているかたも多いと思います。
靴下卸から始まって、現在は企画から製造・卸売・小売まで手がけ、
「靴下屋」のブランドを中心に
FC、直営合わせて全国約280店舗を有しています。
一足800円前後からという同社の主力商品の靴下は
高品質で耐久性に優れ、ファッション性も高く、
消費者に強く支持されてきました。
多くの同業者、アパレル関係者が中国に生産拠点を置き、
彼の地での生産をメインとするなか、国内生産にこだわり、
製造などの関係する企業と手を携えた経営を貫いてきています。
(数%は同社でも中国生産していますが)
90年代初期に、生産工場(協力工場)と仕入れ先である糸関係の商社、
そして小売店をつなぐ、
サプライチェーン・マネジメントシステムを構築しているのです。
業界では嚆矢といえるでしょう。
そうしてできあがった、「売れるぶんだけ作る」体制が
同社の、売上高経常利益率12%超という高収益の根幹です。
詳しくは、2月1日発行予定の、
弊誌2月号をご覧いただければと思いますが、
越智会長は、人こそ高収益の源泉とおっしゃっています。
「システムは道具です。道具を真似すれば成功するなら、
長嶋さんのバット使えば誰でもホームランが打てること
になる。作家先生の使てる万年筆使えば同じ文章が書け
ることになる。そんなわけない。システムではなくてそ
れを支える人が重要なんです」
もう一つ。
世界中を回ってきた越智会長は、日本人と日本という国に
強い誇り、自信をもっておられます。
「わし程度の男の考えることは、日本という国で、日本
人と一緒なら、必ず叶えられる。日本人は優秀です。な
のにメディアは悲観論ばかり。日本人は自信をもたなく
てはいけません」
つい悲観的になりがちな昨今ですし、
多くのマスメディアの姿勢は、たしかに
総じて悲観的な論調が幅をきかせています。
もちろん理性的な検証は必要ですが、
メディアのそうした論調が余計に
人々から活力を奪っている面は
否めないのではないか、と思います。
弊誌は、悲観論に陥らない、明るい将来を描くための
ヒントを示していきたいと、越智会長にお会いして、
改めて肝に銘じた次第です。
読めば元気の出る、越智会長のお話、
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ありがとうございました!
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2009年01月07日(水)更新
【取材日記】イケヒコ・コーポレーション 猪口芳範さん
複数の経営者にワンテーマでご登場いただく記事では、
当方の狙い通りに帰結することもあれば、
取り組んでみて結論が浮かび上がってくる場合もあります。
経営者会報1月号『特集・自主独立の経営』は後者のようで、
登場された経営者も識者も一様に「自立した社員」の存在が
カギだと指摘されています。
とすると、トップがそのような社員を育成する情熱を
もてるかどうか。その点を試される話であるともいえます。
過日、私が取材をさせていただいた
イケヒコ・コーポレーションの猪口芳範社長は、
非常に教育熱心なかたでした。
■イケヒコ・コーポレーション ホームページ >>>
地場の伝統産業である「い草」の卸だった同社は、
猪口社長が三代目として会社を継いでから、
い草製品のメーカーに転じます。
同時に、高度成長末期のそのころ、
大きく伸長していたスーパー業界に営業をかけ、
全国に販売網を広げます。
結果、業界シェアトップとなり、この時期にあっても
増収増益基調を保ち続けています。
まさに、地方にあって「自主独立」を貫いておられます。
詳しくは弊誌1月号をご覧いただければと思いますが、
記事にならなかった話を含め、少しご紹介します。
同社のある福岡県大木町エリアには、
同社ほどの規模・業容(年商113億円・従業員310名)の
会社は、ほとんどない様子でした。
この日の取材は、工場の二階にしつらえられた
ショールームでさせていただいたのですが、
来客には必ず挨拶するようにとの教育が徹底されているのでしょう、
社員のかたが上がってくるたび、猪口さんと私の近くまで足を運び、
「本日はいらっしゃいませ!」
と元気に、そして丁重に挨拶をしていかれるのには驚きました。
(そのたびに何を訊いていたのか、一瞬忘れそうになりましたが)
そうした精神面や礼儀面だけでなく
「健康でないと幸せになれない」との社長の考えから、
毎朝礼のあとには、なんと全員で500メートル走をするそうです。
「二日酔いや体調不良で歩いている人間もいますが、
そういうのは大目に見ています(笑)。でもたいてい
みんな一所懸命走ってますね」
OJTと申しますか、同社の場合、
事業の強みである組織運営のあり方がそのまま、
従業員さんの成長につながっているようです。
同社では、早くから事業部制を採ってきていて、
各事業部は合計60を超えるユニットに分かれています。
各ユニットは、リーダー含め3、4名で構成。
この人たちはよほどのことがないかぎり、
異動しないというのが、大きな特長です。
「人間、あれもこれもはできない。でも一つのことを
掘り下げていけば、相当な知識と経験が身に付くもの
です。それが自信にもつながりますし、当然、社業に
も大きく貢献することになる」
地方に居を置きつつ全国区になった成功例としても、
さらには伝統産業の生き残り策の成功例としても、
同社ほどの例は、少ないといえます。
それは、猪口さんご自身の、社会的な使命感に発しています。
ご本人のこのご発言が象徴的です。
「かつて、い草業界には新卒の大卒なんて来てくれま
せんでした。地方というのはどこもそうかもしれませ
んが、地元の優秀な若者が都会に出ていったきり戻っ
てきてくれない。地元に雇用を生み出したい、という
思いは強かった。そのためには経済的な待遇も整えな
くてはいけません。同時に、社員が自立した立派なお
父さん、お母さんになれる、学びの場にしたいと考え
てきました。それが社会の基礎ですから」
トップのこうした姿勢こそ、
真の「自立」への要諦なのかもしれません。
猪口さん、大変勉強になりました。
ありがとうございました!
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当方の狙い通りに帰結することもあれば、
取り組んでみて結論が浮かび上がってくる場合もあります。
経営者会報1月号『特集・自主独立の経営』は後者のようで、
登場された経営者も識者も一様に「自立した社員」の存在が
カギだと指摘されています。
とすると、トップがそのような社員を育成する情熱を
もてるかどうか。その点を試される話であるともいえます。
過日、私が取材をさせていただいた
イケヒコ・コーポレーションの猪口芳範社長は、
非常に教育熱心なかたでした。
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地場の伝統産業である「い草」の卸だった同社は、
猪口社長が三代目として会社を継いでから、
い草製品のメーカーに転じます。
同時に、高度成長末期のそのころ、
大きく伸長していたスーパー業界に営業をかけ、
全国に販売網を広げます。
結果、業界シェアトップとなり、この時期にあっても
増収増益基調を保ち続けています。
まさに、地方にあって「自主独立」を貫いておられます。
詳しくは弊誌1月号をご覧いただければと思いますが、
記事にならなかった話を含め、少しご紹介します。
同社のある福岡県大木町エリアには、
同社ほどの規模・業容(年商113億円・従業員310名)の
会社は、ほとんどない様子でした。
この日の取材は、工場の二階にしつらえられた
ショールームでさせていただいたのですが、
来客には必ず挨拶するようにとの教育が徹底されているのでしょう、
社員のかたが上がってくるたび、猪口さんと私の近くまで足を運び、
「本日はいらっしゃいませ!」
と元気に、そして丁重に挨拶をしていかれるのには驚きました。
(そのたびに何を訊いていたのか、一瞬忘れそうになりましたが)
そうした精神面や礼儀面だけでなく
「健康でないと幸せになれない」との社長の考えから、
毎朝礼のあとには、なんと全員で500メートル走をするそうです。
「二日酔いや体調不良で歩いている人間もいますが、
そういうのは大目に見ています(笑)。でもたいてい
みんな一所懸命走ってますね」
OJTと申しますか、同社の場合、
事業の強みである組織運営のあり方がそのまま、
従業員さんの成長につながっているようです。
同社では、早くから事業部制を採ってきていて、
各事業部は合計60を超えるユニットに分かれています。
各ユニットは、リーダー含め3、4名で構成。
この人たちはよほどのことがないかぎり、
異動しないというのが、大きな特長です。
「人間、あれもこれもはできない。でも一つのことを
掘り下げていけば、相当な知識と経験が身に付くもの
です。それが自信にもつながりますし、当然、社業に
も大きく貢献することになる」
地方に居を置きつつ全国区になった成功例としても、
さらには伝統産業の生き残り策の成功例としても、
同社ほどの例は、少ないといえます。
それは、猪口さんご自身の、社会的な使命感に発しています。
ご本人のこのご発言が象徴的です。
「かつて、い草業界には新卒の大卒なんて来てくれま
せんでした。地方というのはどこもそうかもしれませ
んが、地元の優秀な若者が都会に出ていったきり戻っ
てきてくれない。地元に雇用を生み出したい、という
思いは強かった。そのためには経済的な待遇も整えな
くてはいけません。同時に、社員が自立した立派なお
父さん、お母さんになれる、学びの場にしたいと考え
てきました。それが社会の基礎ですから」
トップのこうした姿勢こそ、
真の「自立」への要諦なのかもしれません。
猪口さん、大変勉強になりました。
ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2008年12月26日(金)更新
【取材日記】はせがわ酒店 長谷川浩一さん
過日、経営者会報1月号(1月1日発行予定)、
福永雅文氏の連載 「小が大に勝つ」戦略 の取材に随行し、
はせがわ酒店(東京都江東区)さんにおじゃましてまいりました。
お相手は社長の長谷川浩一さんです。
■はせがわ酒店 ホームページ >>>
はせがわ酒店さんは、下の写真でおわかりいただけると思いますが、
一見して、小洒落た酒屋さん。
しかし、業界内で知らない者はいない、というほど凄いお店(会社)です。
なんとビールが1本もない。
日本酒、それも地方の銘酒と呼ばれるものを中心に扱っていて、
そのほとんどが、現社長の長谷川さんが自らの足と舌で、
探しあててきた銘酒なのです。
ただの町の酒屋さんが、どのようにして
“勝って”いったのか。
それは、気鋭のコンサルタント・福永氏の筆による
経営者会報1月号の記事をご覧いただければと思いますが、
少しだけ、ご紹介します。
長谷川さんはもともと別の会社に勤務していて
お父さんの立ち上げた酒屋さんを継ぐ予定ではありませんでした。
しかし、跡継ぎだったお兄さんが急逝。
長谷川さんが引き継ぐことになったのです。
ただの町の酒屋さんではじり貧だと考えた長谷川さんは
当初、自分が好きだったワインに絞ろうとしますが、
やはり江東区という下町では受け容れられず、頓挫。
そして「実はあまり好きではなかった」という日本酒に絞ることに。
ある地酒に巡り会い、日本酒の本当のうまさを知ったからでもあります。
しかし著名な地酒はなかなか入手できない。
そんなとき、知り合いの居酒屋店主のひと言で、
長谷川さんの人生は動き出し始めます。
「全国には3000以上の蔵がある。自分の足と舌で
探したらいいじゃないか」──
まだバブルが弾ける前の頃です。
そしていま、長谷川さんの集めた自慢の地酒が
はせがわ酒店さんには並び、卸売りもやっておられます。
コンビニエンスストアや大手居酒屋チェーンも
長谷川さんと提携しようと、足を運ぶまでになっています。
日本一の地酒の目利き──それがいまの長谷川さんの
通り名でもあります。
近年では、表参道ヒルズにパイロットショップを出すなど、
美味しい日本酒の存在を、
より広く知ってもらうための取り組みも始めています。
「儲けだけ考えたら、この店(亀戸本店)一店だけ
やるのが一番。でも日本酒に育ててもらった私たち
ですから、恩返しのつもりで取り組んでいます」
戦略的な正しさもさりながら、それを貫くうえで
“志”がいかに大切かを、改めて知った取材でした。
長谷川さん、ありがとうございました!
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お相手は社長の長谷川浩一さんです。
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一見して、小洒落た酒屋さん。
しかし、業界内で知らない者はいない、というほど凄いお店(会社)です。
なんとビールが1本もない。
日本酒、それも地方の銘酒と呼ばれるものを中心に扱っていて、
そのほとんどが、現社長の長谷川さんが自らの足と舌で、
探しあててきた銘酒なのです。
ただの町の酒屋さんが、どのようにして
“勝って”いったのか。
それは、気鋭のコンサルタント・福永氏の筆による
経営者会報1月号の記事をご覧いただければと思いますが、
少しだけ、ご紹介します。
長谷川さんはもともと別の会社に勤務していて
お父さんの立ち上げた酒屋さんを継ぐ予定ではありませんでした。
しかし、跡継ぎだったお兄さんが急逝。
長谷川さんが引き継ぐことになったのです。
ただの町の酒屋さんではじり貧だと考えた長谷川さんは
当初、自分が好きだったワインに絞ろうとしますが、
やはり江東区という下町では受け容れられず、頓挫。
そして「実はあまり好きではなかった」という日本酒に絞ることに。
ある地酒に巡り会い、日本酒の本当のうまさを知ったからでもあります。
しかし著名な地酒はなかなか入手できない。
そんなとき、知り合いの居酒屋店主のひと言で、
長谷川さんの人生は動き出し始めます。
「全国には3000以上の蔵がある。自分の足と舌で
探したらいいじゃないか」──
まだバブルが弾ける前の頃です。
そしていま、長谷川さんの集めた自慢の地酒が
はせがわ酒店さんには並び、卸売りもやっておられます。
コンビニエンスストアや大手居酒屋チェーンも
長谷川さんと提携しようと、足を運ぶまでになっています。
日本一の地酒の目利き──それがいまの長谷川さんの
通り名でもあります。
近年では、表参道ヒルズにパイロットショップを出すなど、
美味しい日本酒の存在を、
より広く知ってもらうための取り組みも始めています。
「儲けだけ考えたら、この店(亀戸本店)一店だけ
やるのが一番。でも日本酒に育ててもらった私たち
ですから、恩返しのつもりで取り組んでいます」
戦略的な正しさもさりながら、それを貫くうえで
“志”がいかに大切かを、改めて知った取材でした。
長谷川さん、ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
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2008年11月28日(金)更新
【取材日記】教育基礎研究所 中川研作さん
経営者会報本誌では、新年1月号より、
新シリーズ「社長の声」(仮)をスタートさせます。
「特集」などの器には収まりにくい、
やや特殊なテーマで、なおかつ
経営者のみなさんに参考度の高いエピソードや考えを
社長さんの肉声の形で、お伝えしようというものです。
実はこの企画、経営者会報ブログ会員の
教育基礎研究所社長・中川研作さんからのご提案がきっかけです。
■中川さんのブログ >>>
■教育基礎研究所 ホームページ >>>
ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんが、
ことしのGW明け、中川さんはバイクで走行中、交通事故に遭われ、
3週間あまり、入院される重傷を負いました。
その後、無事、退院され、
第5回のオフ会(6月27日)の二次会の場でお話しした際、
中川さんはこんなことをおっしゃっていました。
「入院してみて、初めて分かったんです。自分がどれだけ
リスク管理をしていなかったか。権限委譲もしているつも
りだったけど、現実には違いました」
……その体験を、同じ経営者のみなさまにお伝えしたい、
そういう企画の枠はないですか?
とおっしゃるのです。なるほど、と思い、
同時に、つい大上段に構えた企画
(それも重要だと思っていますが)を
考えがちだった自分を反省することになりました。
「風評被害に遭った」「工場の移転はこんなに大変だ」
「こうしたらテレビで紹介してもらえた」……等々、
実際に体験しないと言えないことは沢山あります。
現実に経営に努力しておられる経営者のみなさんにとっては
中川さんがなさったような「なった者にしかわからない」体験こそ
真に価値ある情報なのかもしれない。
そう考えて、そのような“声”をお載せする枠として、
上記「社長の声」を新たに設けた次第です。
ところで、ここで言いたいのはそれだけではありません。
中川さんには、改めて取材をさせていただこうと思い、
先月の半ば、その旨を申し入れ、ご快諾いただきました。
すると数日して中川さんからメールが。
「取材の参考になればと思い、ざっとメモ的に書いてみました」
添付ファイルを開いて拝読してびっくり。
そこには臨場感あふれる筆致で、
事故の模様から、その後の思いまで、
流れるような文章で書かれていたのです。
お書きになっているブログを拝見して
文章がお上手だとは思っていましたが、
ここまで文才がおありとは……。
素晴らしいものでした。
「メモ」どころではなく、ほぼそのまま原稿として通用しますし、
ライターさんに原稿をお願いした場合、
ここまで“読ませる”ものが上がってくることは
正直、滅多にないのです。
おかげで取材では当方が確認したい点をうかがうだけですみ、
中川さんのさまざまなご経験や知識の一端をお聞きする、
私にとっては楽しい時間となりました。
その中川さんの原稿は経営者会報2009年1月号に
掲載されます。どうかお手に取ってみてください。
中川さん、素晴らしい原稿と
重要なヒントをくださったことに
深く感謝申し上げます。
ありがとうございました!
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「特集」などの器には収まりにくい、
やや特殊なテーマで、なおかつ
経営者のみなさんに参考度の高いエピソードや考えを
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実はこの企画、経営者会報ブログ会員の
教育基礎研究所社長・中川研作さんからのご提案がきっかけです。
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ご存じのかたもいらっしゃるかもしれませんが、
ことしのGW明け、中川さんはバイクで走行中、交通事故に遭われ、
3週間あまり、入院される重傷を負いました。
その後、無事、退院され、
第5回のオフ会(6月27日)の二次会の場でお話しした際、
中川さんはこんなことをおっしゃっていました。
「入院してみて、初めて分かったんです。自分がどれだけ
リスク管理をしていなかったか。権限委譲もしているつも
りだったけど、現実には違いました」
……その体験を、同じ経営者のみなさまにお伝えしたい、
そういう企画の枠はないですか?
とおっしゃるのです。なるほど、と思い、
同時に、つい大上段に構えた企画
(それも重要だと思っていますが)を
考えがちだった自分を反省することになりました。
「風評被害に遭った」「工場の移転はこんなに大変だ」
「こうしたらテレビで紹介してもらえた」……等々、
実際に体験しないと言えないことは沢山あります。
現実に経営に努力しておられる経営者のみなさんにとっては
中川さんがなさったような「なった者にしかわからない」体験こそ
真に価値ある情報なのかもしれない。
そう考えて、そのような“声”をお載せする枠として、
上記「社長の声」を新たに設けた次第です。
ところで、ここで言いたいのはそれだけではありません。
中川さんには、改めて取材をさせていただこうと思い、
先月の半ば、その旨を申し入れ、ご快諾いただきました。
すると数日して中川さんからメールが。
「取材の参考になればと思い、ざっとメモ的に書いてみました」
添付ファイルを開いて拝読してびっくり。
そこには臨場感あふれる筆致で、
事故の模様から、その後の思いまで、
流れるような文章で書かれていたのです。
お書きになっているブログを拝見して
文章がお上手だとは思っていましたが、
ここまで文才がおありとは……。
素晴らしいものでした。
「メモ」どころではなく、ほぼそのまま原稿として通用しますし、
ライターさんに原稿をお願いした場合、
ここまで“読ませる”ものが上がってくることは
正直、滅多にないのです。
おかげで取材では当方が確認したい点をうかがうだけですみ、
中川さんのさまざまなご経験や知識の一端をお聞きする、
私にとっては楽しい時間となりました。
その中川さんの原稿は経営者会報2009年1月号に
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