酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」 | 経営者会報 (社長ブログ)
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【こんな社長さんに会ってきました】年功序列と「教育勅語」
何年か前に取材させていただいた、
ある地方の食品メーカーさんのことをふと思い出しました。
読まれる方の受け取り方によっては、
会社や社長さんにご迷惑がかかるかもしれませんので、
仮にA社としておきましょう。
そのA社の取り組みに関連して、
このごろ思っていることについて書いてみます。
A社は従業員数は100名ほど。多くの独創的な商品をもち、
何十年も連続して増収増益という立派な業績を上げています。
この会社では、基本的に年功序列の人事考課を行なっています。
「子供を大学に行かせられないような年収では可哀想です。
それは社会的な損失でもある。年齢相応の年収は必要です。
若い社員だって将来の生活設計ができます」
とは社長さんの弁。
A社では、年齢に応じた責任や義務を果たす姿勢を
強く社員に求めてきました。
ちょっと驚きましたが、社員教育の一環として
戦前の「教育勅語」の一部をテキストにしていました。
明治23年に発布された教育勅語に対しては、
様々な思想や立場からの意見がありますし、
アレルギー反応を示す人も少なくありません。
しかし、その社長さんは、
「戦前の日本人が大切にしていた公共心や道徳の
エッセンスが詰まっている」
と言っておられました。
個人的な見解として、私も同様に考えています。
A社の場合、「公」の精神を社員に強く求めており、
そのようにして培われた企業風土があったうえでの
「年功序列」堅持なのです。
A社の取材のあとで、労務問題に強い弁護士の方に、
なぜ年功序列が機能しなくなったか、お聞きしたことがあります。
その先生はこんなことをおっしゃっていました。
なるほどと頷きました。
「年功序列というけれど、昔だってタイムスパンが緩や
かなだけで、実は成果主義だった。長い間に実績を残し、
人望もある人が部長や役員になって、金銭面での待遇も
上がったわけです。高度成長期までは大量生産、大量消
費で、商品やサービスの寿命も長かった。そこでは「経
験」が大きくものを言い、経験に基づいた能力と処遇が
一致する必然性がありました。様々な意味で変化がめま
ぐるしい現在では、その必然性のバランスが崩れてしま
った。要は年相応の成果を出せない人がたくさん出てき
てしまったことで、年功序列が機能しなくなったのです」
もちろん、年功序列を盲目的によしとするつもりはありません。
働く側の意識全般も変わりましたし、
人事考課や制度の考え方もいろいろあって当然です。
ですが、どういった思想や制度の信奉者であっても、
年長者がその年相応以上の働きをすることを
期待しない社長さんはいないでしょうし、
年とともに自分の実力が上がることを喜ばないビジネスマンもいないはずです。
その意味で、A社の例は注目に値すると思います。
責任を全うする意識が全社員に徹底されていれば、
年をとっても、時代の要請についていくセンスや能力が
培われる可能性があることを示しているからです。
責任を自覚し、自分に負荷をかけることで、
かけた負荷のぶん、努力のぶんだけ、
人間の能力は伸びると思いますし、
部下や後輩に対して責任をもって指導にあたるとすれば、
指導する側にとっても多くの気づきを得る場になるでしょう。
素人考えで恐縮ですが、
A社の成功を見ていると、年功序列が成立しなくなった背景に、
日本人が元来もっていた美徳の喪失もあるのではないか、
と思えてきます。
さて、自分は年相応に働いているのか、働けているのか──。
40代半ばにさしかかってきた、われとわが身を振り返り、
自戒の念をあらたにしつつ、以上のようなことを思いました。
■中小企業経営者のための羅針盤 月刊経営者会報
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/
ある地方の食品メーカーさんのことをふと思い出しました。
読まれる方の受け取り方によっては、
会社や社長さんにご迷惑がかかるかもしれませんので、
仮にA社としておきましょう。
そのA社の取り組みに関連して、
このごろ思っていることについて書いてみます。
A社は従業員数は100名ほど。多くの独創的な商品をもち、
何十年も連続して増収増益という立派な業績を上げています。
この会社では、基本的に年功序列の人事考課を行なっています。
「子供を大学に行かせられないような年収では可哀想です。
それは社会的な損失でもある。年齢相応の年収は必要です。
若い社員だって将来の生活設計ができます」
とは社長さんの弁。
A社では、年齢に応じた責任や義務を果たす姿勢を
強く社員に求めてきました。
ちょっと驚きましたが、社員教育の一環として
戦前の「教育勅語」の一部をテキストにしていました。
明治23年に発布された教育勅語に対しては、
様々な思想や立場からの意見がありますし、
アレルギー反応を示す人も少なくありません。
しかし、その社長さんは、
「戦前の日本人が大切にしていた公共心や道徳の
エッセンスが詰まっている」
と言っておられました。
個人的な見解として、私も同様に考えています。
A社の場合、「公」の精神を社員に強く求めており、
そのようにして培われた企業風土があったうえでの
「年功序列」堅持なのです。
A社の取材のあとで、労務問題に強い弁護士の方に、
なぜ年功序列が機能しなくなったか、お聞きしたことがあります。
その先生はこんなことをおっしゃっていました。
なるほどと頷きました。
「年功序列というけれど、昔だってタイムスパンが緩や
かなだけで、実は成果主義だった。長い間に実績を残し、
人望もある人が部長や役員になって、金銭面での待遇も
上がったわけです。高度成長期までは大量生産、大量消
費で、商品やサービスの寿命も長かった。そこでは「経
験」が大きくものを言い、経験に基づいた能力と処遇が
一致する必然性がありました。様々な意味で変化がめま
ぐるしい現在では、その必然性のバランスが崩れてしま
った。要は年相応の成果を出せない人がたくさん出てき
てしまったことで、年功序列が機能しなくなったのです」
もちろん、年功序列を盲目的によしとするつもりはありません。
働く側の意識全般も変わりましたし、
人事考課や制度の考え方もいろいろあって当然です。
ですが、どういった思想や制度の信奉者であっても、
年長者がその年相応以上の働きをすることを
期待しない社長さんはいないでしょうし、
年とともに自分の実力が上がることを喜ばないビジネスマンもいないはずです。
その意味で、A社の例は注目に値すると思います。
責任を全うする意識が全社員に徹底されていれば、
年をとっても、時代の要請についていくセンスや能力が
培われる可能性があることを示しているからです。
責任を自覚し、自分に負荷をかけることで、
かけた負荷のぶん、努力のぶんだけ、
人間の能力は伸びると思いますし、
部下や後輩に対して責任をもって指導にあたるとすれば、
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(編集部・酒井俊宏)
■中小企業経営者のための羅針盤 月刊経営者会報
http://www.njh.co.jp/njs/keikai.htm
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社
http://www.njg.co.jp/
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