酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」 | 経営者会報 (社長ブログ)
「経営者会報ブログ」&「ニュートップリーダー」編集記者・酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」
【取材日記】にっこう社/挨拶状ドットコム 徳丸博之さん
いまの時期、自社の事業の本質を、
トップ自身がどのように認識しているか、
それを社員のみなさんとどれだけ共有できているか、
その点が非常に重要なのではないかと考えています。
大変お世話になっている、ある税理士さんにお聞きした話ですが、
この不況下、受注が減ったために遊んでいる人材を活かそうと
自社の事業スタイルを見失い、まったく畑違いの分野に乗り出そうとする
経営者が少なくないそうです。
新事業に出ていくにしても、これでは成功する確率は低くなりますし、
やはりいまの時期は、自社の本業、
その本質に向き合う時期なのではないかと思うのです。
経営者会報本誌5月号でご登場いただいた、
にっこう社社長の徳丸博之さんに取材させていただいて、
その観を強くしました。
挨拶状の作成に特化したサイト、
『挨拶状ドットコム』を運営する同社と徳丸さんには、
前回の取材日記の王将フードサービス・大東隆行氏と同様、
「超元気企業に学ぶ」と題した特集に、
業績好調な企業経営者の代表としてご登場いただきました。
■にっこう社 ホームページ >>>
詳しくは本誌に譲りたいと思いますが、
少し、ご紹介します。
もともと同社は、ごく普通の町の印刷屋さんでした。
長男の徳丸さんが務めていた銀行を辞め、入社された96年頃は
ほとんど利益が出ない状態にありました。
徳丸さんは、持ち前の営業力で、建て直しをはかり、
年商も五倍近い6000万円まで伸ばします。
しかし、無理がたたり、入院してしまいます。
2004年の夏です。
実はその少し前、徳丸さんは、ネットでの事業展開に活路を見出すべく
勉強して、学んだことを実践しようとしておられました。
日常業務もこなしながらなので、その無理がたたった面はあります。
そして生まれたのが、その年の暮れにスタートした、
挨拶状に特化したネットビジネスです。
もともと銀行マンだった徳丸さんは、転勤族でもあります。
頻繁に出す挨拶状は、徳丸さんはお父上にお願いすればすむけれど、
そうでない人たちは大変だろう、という思いから始まったものです。
サイトを立ち上げて以降、ほぼ倍々で成長し、
現在は年商4億円を突破。
同業者も多いなかでこうなった勝因としては、
冒頭で述べたように、
徳丸さんが自社の事業の本質をきっちりと捉え、
それを従業員のみなさんと共有する努力を
惜しまなかったことが大きいと思います。
同社の経営理念は、
「きずなを深めるサービスで日本を元気にしたい!」
というもの。クレドを作成して、全社員での共有に努めておられます。
たとえば、他社では見られない「宛名印刷」を手がけておられますが、
これなど、顧客の側も、よほど業者を信頼していないかぎり、
データを出すこと自体、ためらわれるはずです。
自社の事業を「印刷物の受注」「挨拶状の作成」ではなく、
「きずなを深める」ことだと捉えたからこそ、出てきた発想といえますし、
その姿勢で応対するからこそ、顧客の信頼を得てきたといえるでしょう。
徳丸さんは次のように振り返ります。
「取り組んだ当初は、実は社内の雰囲気は決して
よくはありませんでした。挨拶状サイトの運営は、
人と人の絆を深める素晴らしい仕事だと思い始め
ていましたが、それは私一人が感じているだけで、
皆に伝えるということを一切していなかった。何
のために頑張るのかが不明瞭で、ひたすら忙しい。
これでは社員も辛いだけです」
読者のみなさまには釈迦に説法で、
よく使われるたとえではありますが、
かつてアメリカの鉄道産業が凋落していったのは、
「人とモノを快適に安全に正確に運ぶ」という
いまでは常識である運輸業の本質を見誤り、
「鉄道を走らせること」と思い違いをした点にあると言われます。
自社の事業の本質をどう捉えるか。
本質を捉えていれば、どのような時代にあっても、
対応できるニーズは見つけられると思うのです。
それは、私どものような事業でも同じだと思っています。
徳丸さん、大切なことを学ばせていただきました。
ありがとうございました!
野球にまつわる話(徳丸さんはかつてプロ野球選手を目指しておられました)も
ご紹介したかったのですが、稿を改めて、また記したいと思っております。
どうかご容赦ください。
【付記】
今回の取材では、またもや社会保険労務士の井寄奈美さんに
多大なご尽力をいただきました。
厚く御礼申し上げます。
井寄さん、ありがとうございました。
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トップ自身がどのように認識しているか、
それを社員のみなさんとどれだけ共有できているか、
その点が非常に重要なのではないかと考えています。
大変お世話になっている、ある税理士さんにお聞きした話ですが、
この不況下、受注が減ったために遊んでいる人材を活かそうと
自社の事業スタイルを見失い、まったく畑違いの分野に乗り出そうとする
経営者が少なくないそうです。
新事業に出ていくにしても、これでは成功する確率は低くなりますし、
やはりいまの時期は、自社の本業、
その本質に向き合う時期なのではないかと思うのです。
経営者会報本誌5月号でご登場いただいた、
にっこう社社長の徳丸博之さんに取材させていただいて、
その観を強くしました。
挨拶状の作成に特化したサイト、
『挨拶状ドットコム』を運営する同社と徳丸さんには、
前回の取材日記の王将フードサービス・大東隆行氏と同様、
「超元気企業に学ぶ」と題した特集に、
業績好調な企業経営者の代表としてご登場いただきました。
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詳しくは本誌に譲りたいと思いますが、
少し、ご紹介します。
もともと同社は、ごく普通の町の印刷屋さんでした。
長男の徳丸さんが務めていた銀行を辞め、入社された96年頃は
ほとんど利益が出ない状態にありました。
徳丸さんは、持ち前の営業力で、建て直しをはかり、
年商も五倍近い6000万円まで伸ばします。
しかし、無理がたたり、入院してしまいます。
2004年の夏です。
実はその少し前、徳丸さんは、ネットでの事業展開に活路を見出すべく
勉強して、学んだことを実践しようとしておられました。
日常業務もこなしながらなので、その無理がたたった面はあります。
そして生まれたのが、その年の暮れにスタートした、
挨拶状に特化したネットビジネスです。
もともと銀行マンだった徳丸さんは、転勤族でもあります。
頻繁に出す挨拶状は、徳丸さんはお父上にお願いすればすむけれど、
そうでない人たちは大変だろう、という思いから始まったものです。
サイトを立ち上げて以降、ほぼ倍々で成長し、
現在は年商4億円を突破。
同業者も多いなかでこうなった勝因としては、
冒頭で述べたように、
徳丸さんが自社の事業の本質をきっちりと捉え、
それを従業員のみなさんと共有する努力を
惜しまなかったことが大きいと思います。
同社の経営理念は、
「きずなを深めるサービスで日本を元気にしたい!」
というもの。クレドを作成して、全社員での共有に努めておられます。
たとえば、他社では見られない「宛名印刷」を手がけておられますが、
これなど、顧客の側も、よほど業者を信頼していないかぎり、
データを出すこと自体、ためらわれるはずです。
自社の事業を「印刷物の受注」「挨拶状の作成」ではなく、
「きずなを深める」ことだと捉えたからこそ、出てきた発想といえますし、
その姿勢で応対するからこそ、顧客の信頼を得てきたといえるでしょう。
徳丸さんは次のように振り返ります。
「取り組んだ当初は、実は社内の雰囲気は決して
よくはありませんでした。挨拶状サイトの運営は、
人と人の絆を深める素晴らしい仕事だと思い始め
ていましたが、それは私一人が感じているだけで、
皆に伝えるということを一切していなかった。何
のために頑張るのかが不明瞭で、ひたすら忙しい。
これでは社員も辛いだけです」
読者のみなさまには釈迦に説法で、
よく使われるたとえではありますが、
かつてアメリカの鉄道産業が凋落していったのは、
「人とモノを快適に安全に正確に運ぶ」という
いまでは常識である運輸業の本質を見誤り、
「鉄道を走らせること」と思い違いをした点にあると言われます。
自社の事業の本質をどう捉えるか。
本質を捉えていれば、どのような時代にあっても、
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それは、私どものような事業でも同じだと思っています。
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ありがとうございました!
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(編集部・酒井俊宏)
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