酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」 | 経営者会報 (社長ブログ)
「経営者会報ブログ」&「ニュートップリーダー」編集記者・酒井俊宏の「こんな社長さんに会ってきました!」
【取材日記】共伸技研 加藤克典さん
経営者会報最新号では「統率力を鍛える」というテーマで
特集を組んでいます。
つまりは、リーダーシップの話なのですが、
あえて「統率力」としたのには、理由があります。
一人のカリスマ、あるいはワンマン的なトップの指揮で
経営がうまくいった時代はとうに過ぎ、
会社全体で知恵を出し、現場で個々の社員が考えながら
真摯に動いていくことが、差別化のポイントとなりつつあります。
そこでトップが機能するうえでは、社員との関係性が
より重要になってきていると考えるからです。
事例にご登場いただいた経営者のみなさまは
壁にぶつかりながらもその方独自の考えに基づいて、
粘り強く、社員の心をつかんでいったかたばかりです。
そのうちのお一人が、工業用ブラシの開発・製造を手がける
共伸技研(大阪府門真市)の加藤克典さんでした。
■共伸技研 ホームページ >>>
■加藤さんのブログ >>>
経営者会報ブログの会員である村上肇さんの主宰する
「e製造業の会」の会員さんでもあります。
経営者会報ブログの会員さんにもご存じの方は多いことと思います。
お話をうかがって、加藤さんの取り組みは
まさに、二世経営者が社員の心をつかむうえでの
サンプルだと思いました。
詳しいお話は、経営者会報最新号をご参照いただければと思いますが、
さわりをご紹介したいと思います。
加藤さんは、お父上で創業者の重信さんの跡を継ぎ、
昨年、社長に就任しておられます。
2000年に入社した加藤さんは、
それまで在籍していたメーカーに比して
ギャップに悩んでいました。
納期や仕上がりのことで、社員さん同士、
もめることが少なくなかったのだそうです。
みんな、一所懸命やっているのに、どうしてそんなことになるのか──
加藤さんは次のように振り返ります。
「私が目指したのは、皆が楽しく、誇りをもって
働ける職場にすることでした。お客様に喜んでい
ただくには、まず作り手が楽しく働いて、自分た
ちの思いや誇りを込めてものを作ることが大切だ
と思ったんです。その思いは、今も変わっていま
せん」
やがて、加藤さんは、そうした問題を払拭するには
きちんとした生産管理が不可欠だと気づきます。
それはご本人の当初の想像以上に大変な道のりでした。
生産管理以前の問題として、いわゆる「見える化」ができていないとならず、
その事実は、必然的な帰結として、
加藤さんを3S活動へと走らせることになります。
そして、同志ともいうべき大阪府内の8企業が集い、2005年の暮れ、
「大阪生産革新研究会」(略称OPI)を結成するのです。
同会には、当経営者会報ブログ会員の澤田浩一さん率いる
サワダ製作所さんも参加しています。
しかし、活動を開始しようというころ、
「俺たちのやってきたことを否定するのか」と
お父上が猛反発。
途方に暮れた加藤さんでしたが、自ら毎朝、清掃を始め、
そのうちに徐々に見習う社員さんが出て、
その数は当時の全社員18名のうちの7名となりました。
それでも、2006年5月のOPIのキックオフ以後もお父上の許しは下りず、
全社的に取りかかることはできなかったのです。
加藤さんはこの苦しい時期をしっかり足を地につけて乗り切り、
あせらず、7名の同志とともに3S活動を続けます。
ついにキックオフから3か月後、お父上の許可が下ります。
それ以後の同社は、加藤さんを中心に
一体感のある職場となっていき、
3S活動を徹底、そして生産管理にも全社的に取り組み
生産性が大きく向上していくのです。
自ら手本を示し、あせらず、
自発的に社員さんが行動するのをじっと待ち続けたこと。
お父上をねばり強く説得したこと。
いまもお父上を深く尊敬しておられること──。
一般的にいって、二世経営者は、
ともすれば早急な改革を急ぐ傾向が強いように思われますが、
加藤さんは違います。
やりたいことを通すには、まず自分の実績を作ることだと、
ネット受注に専念し、売上をつくって社業に大きく貢献。
ネットビジネスは現在、同社の大きな収益源であり、
ブログなどでの情報発信に同社が長けているのも、
加藤さんのこの取り組みから始まっているといえます。
自分が会社を継いでもらう立場にあるとしたなら、あるいは
自分が社員として働く会社で、その会社を二世が継ぐとしたなら、
こんな人にこそ、継いでもらいたい。
加藤さんにお会いし、お話をお聞きしたならば、
誰しもそう思うのではないかと思えてなりませんでした。
取材を終え、帰途についてからも、
そして、すでに記事が誌面に出たいまでも、
その思いが消えません。
加藤さん、ありがとうございました!
大変勉強になりました。
なお、このたびも、会員さんである社会保険労務士・井寄奈美さんに
お口添えをいただき、共伸技研さんへの取材は実現しました。
深く感謝申し上げます。
そして、前出・サワダ製作所の澤田浩一さんも
共伸技研さんの弊誌へのご登場のことを書いておられます。
こちらも、ぜひご覧ください。
■OPI 共伸技研・加藤氏が「経営者会報」に登場 >>>
井寄さん、澤田さん、そして、加藤さんをよく知る
経営者会報ブログの会員のみなさまにも、深く感謝申し上げます。
加藤さんが、普通ならなかなかお話しいただけないはずの
立ち入ったお話を、初対面の私にしてくださったのも、
みなさまと加藤さんの強い絆のおかげだと思っております。
ありがとうございました!
■中小企業経営者のための羅針盤『月刊経営者会報』
ご購読のお申し込みはこちら >>>
見本誌の無料お取り寄せができます! お申し込みはこちら >>>
■経営者会報ブログにご興味をおもちの方・入会ご希望の方はこちら >>>
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社 >>>
特集を組んでいます。
つまりは、リーダーシップの話なのですが、
あえて「統率力」としたのには、理由があります。
一人のカリスマ、あるいはワンマン的なトップの指揮で
経営がうまくいった時代はとうに過ぎ、
会社全体で知恵を出し、現場で個々の社員が考えながら
真摯に動いていくことが、差別化のポイントとなりつつあります。
そこでトップが機能するうえでは、社員との関係性が
より重要になってきていると考えるからです。
事例にご登場いただいた経営者のみなさまは
壁にぶつかりながらもその方独自の考えに基づいて、
粘り強く、社員の心をつかんでいったかたばかりです。
そのうちのお一人が、工業用ブラシの開発・製造を手がける
共伸技研(大阪府門真市)の加藤克典さんでした。
■共伸技研 ホームページ >>>
■加藤さんのブログ >>>
経営者会報ブログの会員である村上肇さんの主宰する
「e製造業の会」の会員さんでもあります。
経営者会報ブログの会員さんにもご存じの方は多いことと思います。
お話をうかがって、加藤さんの取り組みは
まさに、二世経営者が社員の心をつかむうえでの
サンプルだと思いました。
詳しいお話は、経営者会報最新号をご参照いただければと思いますが、
さわりをご紹介したいと思います。
加藤さんは、お父上で創業者の重信さんの跡を継ぎ、
昨年、社長に就任しておられます。
2000年に入社した加藤さんは、
それまで在籍していたメーカーに比して
ギャップに悩んでいました。
納期や仕上がりのことで、社員さん同士、
もめることが少なくなかったのだそうです。
みんな、一所懸命やっているのに、どうしてそんなことになるのか──
加藤さんは次のように振り返ります。
「私が目指したのは、皆が楽しく、誇りをもって
働ける職場にすることでした。お客様に喜んでい
ただくには、まず作り手が楽しく働いて、自分た
ちの思いや誇りを込めてものを作ることが大切だ
と思ったんです。その思いは、今も変わっていま
せん」
やがて、加藤さんは、そうした問題を払拭するには
きちんとした生産管理が不可欠だと気づきます。
それはご本人の当初の想像以上に大変な道のりでした。
生産管理以前の問題として、いわゆる「見える化」ができていないとならず、
その事実は、必然的な帰結として、
加藤さんを3S活動へと走らせることになります。
そして、同志ともいうべき大阪府内の8企業が集い、2005年の暮れ、
「大阪生産革新研究会」(略称OPI)を結成するのです。
同会には、当経営者会報ブログ会員の澤田浩一さん率いる
サワダ製作所さんも参加しています。
しかし、活動を開始しようというころ、
「俺たちのやってきたことを否定するのか」と
お父上が猛反発。
途方に暮れた加藤さんでしたが、自ら毎朝、清掃を始め、
そのうちに徐々に見習う社員さんが出て、
その数は当時の全社員18名のうちの7名となりました。
それでも、2006年5月のOPIのキックオフ以後もお父上の許しは下りず、
全社的に取りかかることはできなかったのです。
加藤さんはこの苦しい時期をしっかり足を地につけて乗り切り、
あせらず、7名の同志とともに3S活動を続けます。
ついにキックオフから3か月後、お父上の許可が下ります。
それ以後の同社は、加藤さんを中心に
一体感のある職場となっていき、
3S活動を徹底、そして生産管理にも全社的に取り組み
生産性が大きく向上していくのです。
自ら手本を示し、あせらず、
自発的に社員さんが行動するのをじっと待ち続けたこと。
お父上をねばり強く説得したこと。
いまもお父上を深く尊敬しておられること──。
一般的にいって、二世経営者は、
ともすれば早急な改革を急ぐ傾向が強いように思われますが、
加藤さんは違います。
やりたいことを通すには、まず自分の実績を作ることだと、
ネット受注に専念し、売上をつくって社業に大きく貢献。
ネットビジネスは現在、同社の大きな収益源であり、
ブログなどでの情報発信に同社が長けているのも、
加藤さんのこの取り組みから始まっているといえます。
自分が会社を継いでもらう立場にあるとしたなら、あるいは
自分が社員として働く会社で、その会社を二世が継ぐとしたなら、
こんな人にこそ、継いでもらいたい。
加藤さんにお会いし、お話をお聞きしたならば、
誰しもそう思うのではないかと思えてなりませんでした。
取材を終え、帰途についてからも、
そして、すでに記事が誌面に出たいまでも、
その思いが消えません。
加藤さん、ありがとうございました!
大変勉強になりました。
なお、このたびも、会員さんである社会保険労務士・井寄奈美さんに
お口添えをいただき、共伸技研さんへの取材は実現しました。
深く感謝申し上げます。
そして、前出・サワダ製作所の澤田浩一さんも
共伸技研さんの弊誌へのご登場のことを書いておられます。
こちらも、ぜひご覧ください。
■OPI 共伸技研・加藤氏が「経営者会報」に登場 >>>
井寄さん、澤田さん、そして、加藤さんをよく知る
経営者会報ブログの会員のみなさまにも、深く感謝申し上げます。
加藤さんが、普通ならなかなかお話しいただけないはずの
立ち入ったお話を、初対面の私にしてくださったのも、
みなさまと加藤さんの強い絆のおかげだと思っております。
ありがとうございました!
(編集部・酒井俊宏)
■中小企業経営者のための羅針盤『月刊経営者会報』
ご購読のお申し込みはこちら >>>
見本誌の無料お取り寄せができます! お申し込みはこちら >>>
■経営者会報ブログにご興味をおもちの方・入会ご希望の方はこちら >>>
■ライフ&ビジネスアドバイザー 日本実業出版社 >>>
- 『勝ち続ける会社をつくる 起業の教科書』ぜひご一読ください! [06/12]
- 八戸で経会ブログイベント・セミナーを開きました! その② [02/24]
- 八戸で経会ブログイベント・セミナーを開きました! その① [02/24]
- 村上肇さん第1作『中小製造業のための 儲かるWebブランディングの教科書』、ぜひ手に取ってください! [11/22]
- 久米信行さん『すぐやる人だけがチャンスを手に入れる』をお勧めします! [10/20]
- 【ブログピックアップ】双和食品工業・高尾幸子さん 《熊本地震・支援のお願い》 [05/06]
- 熊本地震・双和食品工業【餃子の王国】さんを支援願います [05/02]
- 『本当にわかる地球科学』著者・鎌田浩毅氏 出版記念講演会のお知らせ [04/20]
- 『真田丸』と『ランチェスターの法則で読み解く 真田三代 弱者の戦略』 [01/08]
- 謹賀新年 [01/08]
- 『吉田基準』が示す、これからの日本のモノづくり [10/20]
- 『「ネジザウルス」の逆襲』に、中小企業はなにを学べるか [10/15]
- 【取材日記】シューズセレクション社長 林 秀信さん [06/05]
- 自然の造形へのおそれを教えてくださった山田さん親子に感謝! [02/03]
- 久米信行さんの新刊『ピンで生きなさい』の、すごい効能! [01/31]
- 【取材日記】和郷園代表理事 木内博一さん [01/28]
- 寺田元さん『「売らない」から売れる!』出版記念パーティー、感動しました! [12/19]
- 【取材日記】イシド(石戸珠算学園)会長 石戸謙一さん [10/31]
- 【取材日記】埜庵 石附浩太郎さん [08/20]
- 【取材日記】中里スプリング製作所 中里良一さん [07/03]
- 2017年6月(1)
- 2017年2月(2)
- 2016年11月(1)
- 2016年10月(1)
- 2016年5月(2)
- 2016年4月(1)
- 2016年1月(2)
- 2015年10月(2)
- 2014年6月(1)
- 2014年2月(1)
- 2014年1月(2)
- 2013年12月(1)
- 2013年10月(1)
- 2013年8月(1)
- 2013年7月(1)
- 2013年4月(1)
- 2013年2月(1)
- 2013年1月(1)
- 2012年10月(2)
- 2012年8月(5)
- 2012年7月(2)
- 2012年6月(2)
- 2012年5月(3)
- 2012年4月(2)
- 2012年2月(1)
- 2012年1月(2)
- 2011年12月(2)
- 2011年8月(3)
- 2011年7月(8)
- 2011年4月(1)
- 2011年3月(2)
- 2011年2月(5)
- 2010年7月(1)
- 2010年4月(3)
- 2010年1月(1)
- 2009年12月(1)
- 2009年11月(2)
- 2009年10月(2)
- 2009年9月(3)
- 2009年8月(2)
- 2009年7月(5)
- 2009年6月(6)
- 2009年5月(4)
- 2009年4月(7)
- 2009年3月(7)
- 2009年2月(5)
- 2009年1月(11)
- 2008年12月(6)
- 2008年11月(8)
- 2008年10月(8)
- 2008年9月(5)
- 2008年8月(6)
- 2008年7月(8)
- 2008年6月(11)
- 2008年5月(12)
- 2008年4月(13)
- 2008年3月(10)
- 2008年2月(11)
- 2008年1月(10)
- 2007年12月(9)
- 2007年11月(12)
- 2007年10月(16)
- 2007年9月(6)
- 2007年8月(5)
- 2007年7月(3)
コメント一覧
- :匿名 ㈱サンコー 元社員[10/21]
- 【取材日記】サンコー・下泉澄夫さんにうかがった「嬉しいお話」
- 現在の 下泉澄夫元会長と井本幸三元社長...
- :河村 信一郎[10/23]
- 【取材日記】エルプ 千葉三樹さん
- 千葉さんの、お名前が「さんじゅ」である事を、お書き戴き有難うございます。...
- :酒井 俊宏[12/24]
- 寺田元さん『「売らない」から売れる!』出版記念パーティー、感動しました!
- 寺田さん 酒井です!...
- :寺田 元[12/20]
- 寺田元さん『「売らない」から売れる!』出版記念パーティー、感動しました!
- 酒井さん こんにちは。【タオルはまかせたろ.com】タオルソムリエの寺田で...
- :酒井 俊宏[10/22]
- 東京スカイツリーのお膝元で経営者会報ブログ・オフ会
- おわっ! S山さん、おそれいります。 どないかします(笑)。
最新トラックバック
-
「勝ち続ける会社をつくる起業の教科書」を参考にさせて頂いて講義を
from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
恥ずかしいんですがリユース業の市場がこんなに大きく、それを扱う企業がまた大企業になっていることを、この本を読むまで知りませんでした。 株式会社トレンジャー・ファクトリー、東証1部上場で2017年2月期の売上高が132億円、店舗数142、従業員(正社員)511名、創業以来20年連続増収の会社の代表取締役社長の野坂英吾さん44歳がこの6月に日本実業出版社から、資金30万円から100億円企業を作っ -
熊本地震 「餃子の王国」の支援をお願いします。
from ベローズ 案内人
熊本の双和食品工業㈱の高尾幸子社長さんは、私と同じ当初からの経営者会報ブログの会員さんです。 この双和食品工業株式会社さんの工場も熊本地震の被害にあいインフラが整うまでの間、工場が操業できず、ようやく工場が動くようになったそうです。 それまでの状況... -
熊本地震・双和食品工業【餃子の王国】さんを支援願います
from (株)京都工芸【タオルはまかせたろ.com】 タオルソムリエ 寺田 元 の日記
こんにちは。【タオルはまかせたろ.com】タオルソムリエの寺田です。 経営者会報ブログサロンを運営する事務局である日本実業出版社から 連絡が来たのは昨日のことである。 サロン立ち上げ初期の頃からブログで発信し続けておられる 双和食品工業株式会社の高尾幸子社長の会社が被災されたという情報が 回覧されたのだ。 熊本発のネット通販で餃子といえば 双和食品工業株式会社 さんで 熊 -
「ネジザウルスの逆襲」と「吉田基準」の紹介
from フレキシブルチューブ、ベローズの三元ラセン管工業株式会社 高嶋 博 社長の日記
大阪産業創造館が2013年から始めている、ものづくりの現場で働く若者を取り上げた「ゲンバ男子」が話題になり、幻冬舎から、この12日に40人の若者を紹介した「ゲンバ男子写真集」として発売になります。 我社の若者も紹介されています。 今日はその写真集ではなく日本実業出版社の新刊書2冊、どちらも自社の製品がなぜ売れ続けているのか? その秘密が書かれています。 一冊目は、「e製造業の -
タビオ 越智直正会長講演
from 次代を創る製造業 特殊変圧器メーカー 治部電機株式会社 代表取締役 治部 健 (じぶけん)日記
タビオ 越智直正会長の講演に出席しました。 経営者会報ブログ【取材日記】2009年1月19付でも紹介されていました。 現役で経営理念浸透にご尽力されている背景をリアルタ...
コメント