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【取材日記】ヒロカワ製靴(スコッチグレイン)社長 廣川雅一さん

投稿日時:2011/02/04(金) 14:20rss

過日、月刊ニュートップL.(リーダー)2011年2月号連載、
「小よく大を制す ビジネス兵法」の取材で
東京・墨田区に本社を置く、ヒロカワ製靴さんにお邪魔してきました。

同連載は、毎号、
ランチェスター戦略コンサルティングの第一人者・福永雅文さんが、
規模は小さくとも、戦略性をもち、大手に伍して闘っている
企業の経営者に取材。福永さんの視点で記事をまとめていただくものです。
私は記事の担当者として、お供させていただいています。

ヒロカワ製靴さんの場合は社名より、
スコッチグレインという
ブランド名のほうが通りがよいかもしれません。
同社二代目社長の廣川雅一さんは、
落ち着いた語り口ではありましたが、
靴づくりにかけた情熱が胸のうちには
ふつふつとたぎっていることが、
よく伝わってきました。

ひろかわさん

■ヒロカワ製靴(スコッチグレイン) ホームページ >>>

詳しくはぜひ発売中のニュートップL.(リーダー)
ご一読いただきたいと存じますが、一部ご紹介しましょう。

同社の歴史には、まさに日本企業の生き残りの一つの道が
示されています。

ご存じのかたも多いことと思いますが、
靴の製法は、大きく分けて以下の三つがあるそうです。

・グッドイヤー・ウエルト製法
・マッケイ製法
・セメント製法

いちばん手間がかかるのが、グッドイヤー・ウエルト。
「掬(すく)い縫い」と「出し縫い」という、二度縫いするやり方です。
本来、靴はこの製法で作られていました。
マッケイは、靴の甲革にソールを直接縫い付けるもの。
セメントは接着剤で甲革とソールを貼り合わせるもの。

廣川さんのお父上が1964年に立ち上げたヒロカワ製靴は
当初、OEMが中心だったこともあり、
先方の要請に応えるかたちで、一部、セメントやマッケイのものも
出してはいましたが、
自社ブランドであるスコッチグレインを展開することに決めた78年以降、
伝統製法のグッドイヤー・ウエルトに絞りました。

くつ

スコッチグレインの靴は
「ちゃんと手入れすれば一生履けます」(廣川さん)
とのこと。
それでいて、2万円台から手に入るのはお値打ちでしょう。
最近、軽くて履きやすい紳士靴が多くなりましたが
そのほとんどがセメント製法で、
もちろん一生モノとはいきません。

ちなみに、私がこの日履いていたのは、
けっこうお気に入りの英国製の靴だったのですが
廣川さんに見ていただいたら「セメント製法」でした(泣)。
やはり男たるもの、重くても本物の靴を履くべきだ、
と痛感した次第です。
コツコツという、足音からして存在感が違います。

さて、このようなものづくりへのこだわりにおとらず、
同社で力を注いだのが、販売力の強化でした。
雑誌広告をどんどん打ち、97年以降は直営店を開設。
現在、東京の銀座と大阪の淀屋橋にお店があります。

■店舗案内 >>>

良質なものづくりをしていなければブランドにはなれず、
かといってそれだけでもだめで、
自ら売る努力もしていなくては、ブランドにはならないことを
同社の歩みは示しています。

なお、この取材日記、ずいぶんご無沙汰してしまいました。
これから気を取り直してばりばり書いていきますので、
みなさま、よろしくお願いいたします。

(編集部 酒井俊宏)




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コメント


愛用しています

私のビジネスシューズはすべてスコッチグレインです。
6~7足をローテーションしています。
20数年前、職場の先輩が廣川さんの友人で、会社に即売に来ていただいたり、フェアに招待していただいたりしました。2~3回オールソール(底の張替え)をしても型崩れせず、今日はいているショートブーツはビブラムで雪の日にも安心です(手入れしながら20年はいています)。
一番のポイントは木型が私の足にぴったりで買うときは東銀座でフィッティングしますが一度も靴擦れや痛い思いをしたことはありません。
新聞にも「儲からない靴づくり」と書いてありましたが、オールソールするたびにアッパーもきれいになって戻ってくるのでコストパフォーマンスは高いです。
お勧めします。

Posted by 雨宮 和弘 at 2011/02/15 13:43:00 PASS:

よい靴です・・

雨宮さん


酒井です!
いい靴です。実は一足入手しまして。

張り替えてもそこまできれいにしてくれるのは
聞いたことがないですね。

長くつきあっていきたいと思いました。

廣川さんは自信に満ちた笑顔で「一生履けます」
とおっしゃっていました。
こういう人から、モノというのは買いたいものだと感じた次第です。

Posted by 酒井俊宏 at 2011/02/15 14:29:00 PASS:
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個人プロフィール

『月刊ニュートップリーダー(L.)』(前身は「経営者会報」)編集部にて社長の取材記事を担当。十数年の間に800名以上の経営者に取材、多くの経営者に感銘を受けた経験から、「日本を支えているのは中小企業とその経営者」と確信し、敬意を抱いている。『経営者会報ブログ』サイト編集部員も兼ねる。

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